絵画、図形及び彫刻の著作物(pictorial, graphic, and sculptural works

わが国の著作権法(10条)と同様に、アメリカ著作権法においても、具体的な著作物の例示規定が置かれています(102条(a))。これによれば、著作権(copyright)の対象となる「著作者の作成に係るオリジナルの著作物」(original works of authorshipには、次に掲げるカテゴリーのものを含むとしています。
なお、以下のカテゴリーはあくまで例示的列挙であって、これら以外のものの著作物性を否定する趣旨ではないことはわが国と同様です。
① 言語の著作物(literary works
② 音楽の著作物(これに伴う歌詞を含む。)(musical works, including any accompanying words
③ 演劇の著作物(これに伴う音楽を含む。)(dramatic works, including any accompanying music
④ 無言劇及び舞踊の著作物(pantomimes and choreographic works
⑤ 絵画、図形及び彫刻の著作物(pictorial, graphic, and sculptural works
⑥ 映画及びその他の視聴覚著作物(motion pictures and other audiovisual works
⑦ 録音物(sound recordings
⑧ 建築の著作物(architectural works

上述のように「絵画、図形及び彫刻の著作物」は、著作権の対象となる著作物の1つのカテゴリーとして明記されています。
(注)わが国では、「絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物」と「地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物」とは、それぞれ別のカテゴリーに属するものとして例示されています(著作権法10条1項参照)。

「絵画、図形及び彫刻の著作物」のカテゴリーに入るものにとしては、次のものが明記されています(101条)。
なお、平面的(two-dimensional works)か立体的(three-dimensional works)かは問いません(どちらも含まれます)。
「純粋美術作品」(works of fine art
「グラフィックアート作品」(works of graphic art
「応用美術作品」(works of applied art
「写真」(photographs
「版画」(prints
「美術複製品」(art reproductions
「地図、地球儀、海図、図表、模型、技術的な図面(建築設計図を含む。)」(maps, globes, charts, diagrams, models, and technical drawings, including architectural plans
「美術工芸品」(works of artistic craftsmanship
(注)もっとも、「その機械的な[構造的な]若しくは実用的な側面ではなく、その形状[形態]に関する限り」(insofar as their form but not their mechanical or utilitarian aspects are concerned)という枠があります。
実用品のデザイン」(the design of a useful article
(注)もっとも、「当該デザインが、当該物品の実用的な側面とは別個に識別することができ、かつ、そのような側面から独立して存在することが可能である、絵画的、図形的又は彫刻的な特徴を取り込んでいる場合にのみ、その限りにおいて」(only if, and only to the extent that, such design incorporates pictorial, graphic, or sculptural features that can be identified separately from, and are capable of existing independently of, the utilitarian aspects of the article)という枠があります。

以上は、法律の条文(定義規定)に明記されている例ですが、次のものも、一般的には、「絵画、図形及び彫刻の著作物」のカテゴリーに入るものと解されます(アメリカ著作権局の公開資料による):
広告、ラベル、造花、Tシャツなどについている絵柄、ステッカー、風刺漫画、続き漫画(新聞等におけるいわゆる4コマ漫画)、コラージュ、人形、壁画、ゲーム((注)参照)、パズル、グリーティングカード、ポストカード、ホログラム、宝石のデザイン、モザイク画、刺繍、モンタージュ写真、ポスター、レコードジャケット、レリーフ、リトグラフ(石版画)、ステンドグラスデザイン、織物・レースのデザイン、タペストリーなど。
(注)「ゲーム」について(アメリカ著作権局の取扱い)
著作権は、「ゲーム」のやり方(アイディア)や名前(タイトル)を保護しません。したがって、ある新しい「ゲーム」が考案され公表された場合に、著作権法によっては、他の者がその「ゲーム」のアイディアをもとに別のゲームを開発することを禁止することはできません。著作権法は、具体的な「表現」を保護するものだからです。一方、ある「ゲーム」が考案され、それとの関係で、何らかの「表現物」、例えば、そのゲームの遊び方やルールを記述したテキスト(「解説書」など)や、そのゲームがボード(台)や容器を使ってするものであれば、そのボードや容器に描かれている絵やグラフィックデザインに、「(著作物性が認められる程度に)十分な量の言語的又は絵画的表現」(a sufficient amount of literary or pictorial expression)が含まれている場合には、その表現部分に応じて、当該「ゲーム」のアメリカ著作権局への登録を容認しているようです。

「実用品」(a useful article)とは、「単にその外観を示し又は情報を伝えるためだけではない、本来的に実用的な機能を備えた物品」(an article having an intrinsic utilitarian function that is not merely to portray the appearance of the article or to convey information)をいいます(101条)。例えば、洋服や家具、機械、食器類、照明器具、乗り物などです。また、「通常の場合実用品の一部である物品」an article that is normally a part of a useful article)も「実用品」とみなされます。例えば、乗り物の車輪など。
著作権による保護は、このような実用品の「機械的又は実用的な側面」(mechanical or utilitarian aspects)には及びません。したがって、機械的又は実用的な側面のみに特徴を有する「実用品のデザイン」は、著作権による保護の射程範囲外ということになります(つまり、「著作物」に該当しない)。しかしながら、実用品のデザインが、「当該物品の実用的な側面とは別個に識別することができ、かつ、そのような側面から独立して存在することが可能である、絵画的、図形的又は彫刻的な特徴を取り込んでいる場合にのみ、その限りにおいて」、例外的に、絵画、図形又は彫刻の著作物に該当するものとして、著作権法上の保護を受け得ることになります。例えば、椅子の背もたれ部分に「彫刻」が施されている場合や、食器皿に花の「レリーフ」が浮き出ている場合、これらの「彫刻」や「レリーフ」は著作権によって保護される可能性がありますが、その椅子自体のデザイン、その食器皿自体のデザインは、通常、著作権によって保護されることはありません。つまり、「実用品のデザイン」が著作権法によって保護される場合、著作権が及ぶのは、あくまで「絵画的、図形的又は彫刻的な特徴を取り込んでいる」部分(上記の例で言えば、「彫刻」を施した部分、「レリーフ」が現われている部分)に限られ、その実用品全体の(形態の)デザインに及ぶことはないということです。
もっとも、この点は日本でも事情は同じですが、著作権による要保護性が認められない工業(産業)デザイン[意匠]と著作権による要保護性の認められる応用美術作品との境界線をどこで引くのかの問題は、必ずしも明確なものではありません(The line between uncopyrightable works of industrial design and copyrightable works of applied art is not always clear.)。平面的な絵画や図形、グラフィックデザインが、例えば、洋服の生地や壁紙、容器類などの上にプリントされている場合には、その絵画や図形等は、著作権による要保護性は認められると解されますが、一方、その実用品自体のデザインについては、上述しましたように、それがいかに機能的(実用的)に優れたものであっても、著作権による保護を受けることはできないと解されます。

なお、アメリカ著作権局には、次のような規則(CFR202.10(a))が定められています:
絵画、図形又は彫刻の著作物として(アメリカ著作権局に)受け入れられるためには、当該作品が、その描写[輪郭]又は表現[形態]の中でいくらかの創作的著作性(some creative authorship)を具現化していなければならない。そのような作品の登録可能性は、当該作品の利用(法)又は複製されるコピーの数に関する著作者の意図によって影響を受けることはない。実用新案又は意匠に係わる法律に基づく保護可能性又は(現実の)保護の付与は、絵画、図形又は彫刻の著作者の作成にかかる創作的な[オリジナルの]著作物における著作権主張の登録可能性に影響を与えることはない。
In order to be acceptable as a pictorial, graphic, or sculptural work, the work must embody some creative authorship in its delineation or form. The registrability of such a work is not affected by the intention of the author as to the use of the work or the number of copies reproduced. The availability of protection or grant of protection under the law for a utility or design patent will not affect the registrability of a claim in an original work of pictorial, graphic, or sculptural authorship.




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