著作権の原始的帰属とその例外

≪著作権の原始的帰属≫

米国著作権法においても、著作権は、著作者が著作物を創作した時点で、それと同時に自動的に発生します。いかなる「方式」<formality>の履行も必要とされません。著作権の発生及び保護に関するこのような考え方を「無方式主義」と呼んでいますが、国際的に了解された考え方です(ベルヌ条約5条(2)、著作権法17条2項参照)。もっとも、アメリカでは、「著作物を創作した時点」が著作物を「(有体物に)固定」した時点になる点で、必ずしも「固定性」を著作物性とは考えないわが国(「ライブ放送のドラマ」や「楽譜のない即興演奏の音楽」もわが国では「著作物」に該当する。)とは、差異を生じることになります。
なお、米国著作権法には、著作権局への「著作権登録」<copyright registration>408条等)や著作物への「著作権表示」<notice of copyright>401条等)といった制度があり、これらを履践しておくと著作権の保護の面で法律上いくつか重要な効果が得られますが、かかる登録や表示をしなかったからといって著作権の発生すなわち著作権の原始的帰属自体が否定されるわけではありません(もっとも、「二重移転」の際の登録の扱いには注意を要します。この点については後述します)。

米国著作権法201条は、「著作権の帰属」<ownership of copyright>について規定していますが、その(a)では、「(著作権の)原始的取得」<initial ownershi>に関して次のように述べています:
(a) Initial Ownership. — Copyright in a work protected under this title vests initially in the author or authors of the work. The authors of a joint work are co-owners of copyright in the work.
(対訳)
(a) 原始的帰属―本編に基づいて保護される著作物に対する著作権は、当該著作物の著作者に原始的に帰属する。共同著作物の著作者は、当該著作物に対する著作権の共有者である。

すなわち、201条(a)前段は、著作権は著作物の著作者に原始的に帰属するという著作権制度の大原則を規定したものです。「共同著作物」<a joint work>に関しては、その各著作者が当該共同著作物にかかる著作権の「共有者」<co-owners>となります(同後段)。
(注)「共同著作物」の意義については、次の定義規定(101条)を参照
A “joint work” is a work prepared by two or more authors with the intention that their contributions be merged into inseparable or interdependent parts of a unitary whole.
(対訳)
「共同著作物」とは、2以上の著作者によって作成される著作物であって、その各人の寄与物が単一物全体の中で分離できないか又は相互に依存する部分に統合されるという(当該著作者の)意図[意思]をもって作成されるものをいう。

「集合著作物の寄与物」<contributions to collective works>については、201条(c)に次のような規定があります:
(c) Contributions to Collective Works. — Copyright in each separate contribution to a collective work is distinct from copyright in the collective work as a whole, and vests initially in the author of the contribution. In the absence of an express transfer of the copyright or of any rights under it, the owner of copyright in the collective work is presumed to have acquired only the privilege of reproducing and distributing the contribution as part of that particular collective work, any revision of that collective work, and any later collective work in the same series.
(c) 集合著作物への寄与物―集合著作物を構成するそれぞれ別個の寄与物に対する著作権は、当該集合著作物全体に対する著作権とは別個のものであり、当該寄与物の著作者に原始的に帰属する。著作権又は著作権に基づく諸権利の明示的な移転がない場合には、集合著作物の著作権者は、その特定の集合著作物、その改訂版及びその同一の叢書[シリーズ]における以後の集合著作物の一部として、当該寄与物を複製し及び頒布する特別の権利のみを取得したものと推定する。

「集合著作物への寄与物」すなわち集合著作物を構成する個々の寄与物については、その著作権は、当該集合著作物(全体)に対する著作権とは当然に別個のものであるため、そのような寄与物の著作権は、その寄与物を創作した個々の著作者に原始的に帰属することになります((c)前段)。そして、当該集合著作物の著作権者は、寄与物に係る著作権の明示的な移転がない場合には、その集合著作物、その改訂版及びその同一のシリーズにおける以後の集合著作物の一部として、当該寄与物を複製し又は頒布する特別の権利だけを取得したものと推定されます(同後段)。
(注)「集合著作物」の意義については、次の定義規定(101条)を参照
A “collective work” is a work, such as a periodical issue, anthology, or encyclopedia, in which a number of contributions, constituting separate and independent works in themselves, are assembled into a collective whole.
(対訳)
「集合著作物」とは、定期刊行物、アンソロジー[選集・作品集]、又は百科事典などのように、それ自身が別個独立の著作物となる多数の寄与物が1つの集合体に編成されている著作物をいう。

≪著作権の原始的取得の例外≫

201条(b)は、「職務著作物」<works made for hire>について次のように規定しています:
(b) Works Made for Hire. — In the case of a work made for hire, the employer or other person for whom the work was prepared is considered the author for purposes of this title, and, unless the parties have expressly agreed otherwise in a written instrument signed by them, owns all of the rights comprised in the copyright.
(b) 職務著作物―職務著作物の場合、使用者[雇用主]その他当該著作物が作成される者は、本編において著作者とみなされ、また、当事者がその署名した書面で別段の明示的な合意をしていない場合に限り、当該著作権に含まれるすべての権利を有する。

著作権は、上述したように、著作物を創作した者すなわち著作者に原始的に帰属するのが原則ですが、「職務著作物」に関しては、「使用者(雇用主)その他当該著作物が作成される者」(多くの場合、従業員を雇用する会社)が「著作者」とみなされ、当事者がその署名した書面で別段の明示的な合意をしていない場合には、この使用者(主に会社)が、著作権に含まれるすべての権利を保有するという重大な例外があります。
(注)「職務著作」の意義については、次の定義規定(101条)を参照
A “work made for hire” is —
(1) a work prepared by an employee within the scope of his or her employment; or
(2) a work specially ordered or commissioned for use as a contribution to a collective work, as a part of a motion picture or other audiovisual work, as a translation, as a supplementary work, as a compilation, as an instructional text, as a test, as answer material for a test, or as an atlas, if the parties expressly agree in a written instrument signed by them that the work shall be considered a work made for hire. For the purpose of the foregoing sentence, a “supplementary work” is a work prepared for publication as a secondary adjunct to a work by another author for the purpose of introducing, concluding, illustrating, explaining, revising, commenting upon, or assisting in the use of the other work, such as forewords, afterwords, pictorial illustrations, maps, charts, tables, editorial notes, musical arrangements, answer material for tests, bibliographies, appendixes, and indexes, and an “instructional text” is a literary, pictorial, or graphic work prepared for publication and with the purpose of use in systematic instructional activities.
(対訳)
「職務著作物」とは、次のいずれかをいう。
(1) 被用者の職務の範囲内で、その被用者によって作成される著作物、又は
(2) 集合著作物への寄与物、映画その他の視聴覚著作物の一部分、翻訳物、補足的著作物、編集著作物、教科書、試験問題、試験問題の解答資料、又は地図帳のいずれかとして使用するために、特別に(制作の)注文又は委託がされた著作物であって、当事者が、その署名した文書によって、当該著作物が職務著作物であることに明示的に同意を与えたものをいう。前段において、「補足的著作物」とは、ある著作物の二次的な付加物として発行するために他の著作者によって作成される著作物で、例えば、序文、あとがき、挿絵、地図、海図、一覧表、編集後記、編曲、試験問題の解答資料、参考[引用]文献目録、付録、索引などのように、他の著作物を紹介し、結び、図解し、説明し、修正し、論評し又はその使用を助けることを目的とするものをいう。また、「教科書」とは、言語、絵画又は図形の著作物であって、発行に向けて[発行を予定して]、かつ、体系的組織的な教育活動において使用されることを目的として作成されるものをいう。




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