[c004]違約金支払規定の有効性
平成16年11月25日大阪地方裁判所[平成15(ワ)10346等]

【コメント】
本件本訴は、原告が被告に対し、被告の製造販売する菓子類のおまけとして各種のフィギュアの模型原型を原告が製造し、これを被告に提供するに当たり、両者の間で複数の著作権使用許諾契約を順次締結し、許諾料(ロイヤルティ)や違約金について定めていたところ、被告が原告に商品の製造数量について実際より過小の虚偽の報告をし、あるいは未払のロイヤルティがあるとして、これらの契約に基づくロイヤルティ及び約定違約金の支払並びに商事法定利率による遅延損害金の支払を求めている事案です。一方、本件反訴は、被告が、原告に対し、上記複数の著作権使用許諾契約のうちの一部について、ロイヤルティ支払条項の料率が高額に過ぎ、錯誤あるいは公序良俗違反ゆえに無効であるなどとして、被告が原告に対して支払ったロイヤルティの一部を不当利得として返還請求している事案です。
被告は、卵形のチョコレートの中におまけを入れる商品シリーズ(「チョコエッグ」)を企画し、製造販売していたところ、原告と被告は、そのおまけに関し、原告が模型原型を製造して被告に渡し、被告が当該模型原型の複製品をおまけとして使用し、菓子と一体化した商品(「指定商品」)を製造販売することについて、「本件各契約」を締結しました。そして、その契約のほとんどで、次のような規定がありました:
「ロイヤルティ」について
被告は、原告に対し、毎月末締めで指定商品の製造数量を集計し、
<希望小売価格(150円)×2.5%=ロイヤルティ単価
<ロイヤルティ単価×指定商品製造数量=ロイヤルティ
の計算式で算出したロイヤルティを翌月20日までに支払う。
「製造数量の報告」について
被告は、原告に対し、毎月末締めで指定商品の製造数量を集計し、翌月10日までに原告に書面で報告する。
「違約金」について
被告による指定商品の実際の製造数量が原告への報告数量を上回っていた場合には、被告は、原告に対し、上回っていた指定商品1個につきロイヤルティ単価3.75円の2倍=7.5円の違約金を支払う。

【裁判所の判断】
3 争点(3)(本件各契約の違約金支払規定は公序良俗違反か)について
(略)
(2) 被告は、ロイヤルティ方式を採用したことにより原告が本件各契約によって多額の金員を得ていること、原告が造形原型を外注した場合には、外注先に支払う金額(制作費)と被告から受け取る金額との差額が大きいこと、にもかかわらず、更に原告が違約金としてロイヤルティの2倍相当額を受け取ることができるとするならば、その結果は暴利行為というほかないとして、本件各契約の違約金支払規定が公序良俗に反し無効である旨主張する。
しかしながら、違約金支払規定は、被告が虚偽の報告をした場合に限り適用されるものであるから、被告が虚偽の報告をしない限りこれを支払う必要はない。また、数量が正確に報告されることを前提として成り立つロイヤルティ支払方式が採られる場合、報告数量の正確性を担保するために虚偽報告の事実が判明したときにはロイヤルティの2倍以上の違約金を支払うとの合意をすることは合理的であり、また通常行われているものと推測されるから、ロイヤルティの2倍相当額の違約金を支払う旨の規定が暴利行為であるなどということはできない。なお、 暴利行為として公序良俗に反すると評価されるのは、一方当事者の窮迫、無知、無経験などにつけ込んで、他方当事者が過度に不公正な取引を行う場合であるが、本件において被告は本件各契約締結前からおまけの原型に関する取引等を行っており、窮迫、無知、無経験等の状況にあったということはできないから、その点においてもロイヤルティ支払規定及びその適用が暴利行為であるということはできない。本件において原告が被告に対して膨大な違約金を請求しているのは、被告も認めるとおり被告が膨大な製造数量を原告に報告しなかった結果にすぎない。
真実の数量を報告することを前提にするロイヤルティ支払方式に合意した上で、その真実報告義務に違反しながら、違約金支払規定及びその適用は公序良俗違反であるとする被告の主張は、到底採用できない。

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