[e009]保護期間(権利の存続期間)

本件経過規定中の「・・・の際」という文言は,一定の時間的な広がりを含意させるために用いられることもあり,「・・・の際」という文言だけに着目すれば,「この法律の施行の際」という法文の文言が本件改正法の施行日である平成16年1月1日を指すものと断定することはできない。しかし,一般に,法令の経過規定において,「この法律の施行の際現に」という本件経過規定と同様の文言(以下「本件文言」という。)が用いられているのは,新法令の施行日においても継続することとなる旧法令下の事実状態又は法状態が想定される場合に,新法令の施行日において現に継続中の旧法令下の事実状態又は法状態を新法令がどのように取り扱うかを明らかにするためであるから,そのような本件文言の一般的な用いられ方(以下「本件文言の一般用法」という。)を前提とする限り,本件文言が新法令の施行の直前の状態を指すものと解することはできない。所論引用の立法例も,本件文言の一般用法によっているものと理解できるのであり,上告人らの主張を基礎付けるものとはいえない。
したがって,本件文言の一般用法においては,「この法律の施行の際」とは,当該法律の施行日を指すものと解するほかなく,「・・・の際」という文言が一定の時間的な広がりを含意させるために用いられることがあるからといって,当該法律の施行の直前の時点を含むものと解することはできない。
本件経過規定における本件文言についても,本件文言の一般用法と異なる用いられ方をしたものと解すべき理由はなく,「この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が存する映画の著作物」とあるのは,本件改正前の著作権法に基づく映画の著作物の保護期間が,本件改正法の施行日においても現に継続中である場合を指し,その場合は当該映画の著作物の保護期間については本件改正後の著作権法54条1項が適用されて原則として公表後70年を経過するまでとなることを明らかにしたのが本件経過規定であると解すべきである。そして,本件経過規定は,「この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が消滅している映画の著作物については,なお従前の例による」と定めているが,これは,本件改正法の施行日において既に保護期間の満了している映画の著作物については,本件改正前の著作権法の保護期間が適用され,本件改正後の著作権法の保護期間は適用されないことを念のため明記したものと解すべきであり,本件改正法の施行の直前に著作権の消滅する著作物について本件改正後の著作権法の保護期間が適用されないことは,この定めによっても明らかというべきである。したがって,本件映画を含め,昭和28年に団体の著作名義をもって公表された独創性を有する映画の著作物は,本件改正による保護期間の延長措置の対象となるものではなく,その著作権は平成15年12月31日の終了をもって存続期間が満了し消滅したというべきである。
平成19年12月18日最高裁判所第三小法廷[平成19(受)1105]

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