[e018]過失責任論<カラオケリース業者>

1 飲食店等の経営者が,音楽著作物である歌詞及び楽曲の上映機能を有するレーザーディスク用カラオケ装置又は音楽著作物である歌詞の上映及び楽曲の再生機能を有する通信カラオケ用カラオケ装置(以下「カラオケ装置」という。)を備え置き,客に歌唱を勧め,客の選択した曲目につきカラオケ装置により音楽著作物である歌詞及び楽曲を上映又は再生して,同楽曲を伴奏として客や従業員に歌唱させるなど,音楽著作物を上映し又は演奏して公衆に直接見せ又は聞かせるためにカラオケ装置を使用し,もって店の雰囲気作りをし,客の来集を図って利益をあげることを意図しているときは,上記経営者は,当該音楽著作物の著作権者の許諾を得ない限り,客や従業員による歌唱,カラオケ装置による歌詞及び楽曲の上映又は再生につき演奏権ないし上映権侵害による不法行為責任を免れない(最高裁昭和59年(オ)第1204号同63年3月15日第三小法廷判決参照)。
2 カラオケ装置のリース業者は,カラオケ装置のリース契約を締結した場合において,当該装置が専ら音楽著作物を上映し又は演奏して公衆に直接見せ又は聞かせるために使用されるものであるときは,リース契約の相手方に対し,当該音楽著作物の著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結すべきことを告知するだけでなく,上記相手方が当該著作権者との間で著作物使用許諾契約を締結し又は申込みをしたことを確認した上でカラオケ装置を引き渡すべき条理上の注意義務を負うものと解するのが相当である。けだし,(1)カラオケ装置により上映又は演奏される音楽著作物の大部分が著作権の対象であることに鑑みれば,カラオケ装置は,当該音楽著作物の著作権者の許諾がない限り一般的にカラオケ装置利用店の経営者による前記1の著作権侵害を生じさせる蓋然性の高い装置ということができること,(2)著作権侵害は刑罰法規にも触れる犯罪行為であること(著作権法119条以下),(3)カラオケ装置のリース業者は,このように著作権侵害の蓋然性の高いカラオケ装置を賃貸に供することによって営業上の利益を得ているものであること,(4)一般にカラオケ装置利用店の経営者が著作物使用許諾契約を締結する率が必ずしも高くないことは公知の事実であって,カラオケ装置のリース業者としては,リース契約の相手方が著作物使用許諾契約を締結し又は申込みをしたことが確認できない限り,著作権侵害が行われる蓋然性を予見すべきものであること,(5)カラオケ装置のリース業者は,著作物使用許諾契約を締結し又は申込みをしたか否かを容易に確認することができ,これによって著作権侵害回避のための措置を講ずることが可能であることを併せ考えれば,上記注意義務を肯定すべきだからである。
平成13年3月2日最高裁判所第二小法廷[平成12(受)222]

業務用通信カラオケ(製造・販売)事業者

被告は,楽曲データを,著作権者から複製又は公衆送信の許諾を得て作成し,自らの製造に係るカラオケ端末機のハードディスクに搭載する等した上,通信カラオケリース業者に対してカラオケ端末機の販売等を行う株式会社であるところ,このような業務用通信カラオケ事業者であれば,他人の著作物を利用する際には,その著作権を侵害することのないよう,当該著作権の帰属を調査し,事前に著作権者から複製又は公衆送信の許諾を得るべく万全の注意を尽くす義務がある。特に,本件においては,平成13年10月1日の著作権等管理事業法の施行後は,JASRAC以外の著作権等管理事業者が存在する可能性があり,争いのない事実等のとおり,現に,平成14年6月28日に原告が著作権等管理事業者として登録し,同年8月以降,被告の加入するAMEIを訪問する等して,断続的ながら交渉していたものであり,また,請求対象期間である平成14年6月28日から平成16年7月末日までの間は,韓国の唯一の著作権管理事業者のKOMCAとJASRACとの間の相互管理契約の締結による著作権の管理も行われておらず,そのことは周知の事実であったのであるから,被告においては,利用しようとする楽曲に関し,事前に著作権の所在等について調査検討し,著作権者から許諾を得る等して,著作権侵害の結果を防止すべき注意義務があった。
しかしながら,被告は,これを怠り,漫然と請求対象楽曲の利用を継続してきたのであるから,被告には,過失があったというべきである。
被告は,原告から楽曲のリストの交付を受けるまでは対象となる楽曲が分からず,その後も,被告が求めても原告は説明・資料を提出せず,平成
18年2月1日に根拠資料を提出するに至ったから,請求対象期間すべて,又は,少なくとも平成15年5月までの間は,過失はない等と主張する。
しかしながら,上記のとおり,他人の著作物を利用しようとする場合には,自ら,著作権者の許諾を得るべく,事前に著作権の所在等について調査し,検討すべきところ,被告は,何ら積極的に権利関係について調査検討した様子はないから,原告の対応が上記のとおりであったとしても,被告が注意義務を果たしたということはできない。
平成22年02月10日東京地方裁判所[平成16(ワ)18443]

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