[e020]共同不法行為性

本件メモリーカードは,前記のとおり,その使用によって,本件ゲームソフトについて同一性保持権を侵害するものであるところ,前記認定事実によれば,上告人は,専ら本件ゲームソフトの改変のみを目的とする本件メモリーカードを輸入,販売し,多数の者が現実に本件メモリーカードを購入したものである。そうである以上,上告人は,現実に本件メモリーカードを使用する者がいることを予期してこれを流通に置いたものということができ,他方,前記事実によれば,本件メモリーカードを購入した者が現実にこれを使用したものと推認することができる。そうすると,本件メモリーカードの使用により本件ゲームソフトの同一性保持権が侵害されたものということができ,上告人の前記行為がなければ,本件ゲームソフトの同一性保持権の侵害が生じることはなかったのである。したがって,専ら本件ゲームソフトの改変のみを目的とする本件メモリーカードを輸入,販売し,他人の使用を意図して流通に置いた上告人は,他人の使用による本件ゲームソフトの同一性保持権の侵害を惹起したものとして,被上告人に対し,不法行為に基づく損害賠償責任を負うと解するのが相当である。
平成13年2月13日最高裁判所第三小法廷[平成11(受)955]≫


原告は,被告NTTリースが被告ビリングソリューションに対して本件各プログラムを使用させたことによる上記貸与権侵害については,被告ビリングソリューションによる共同不法行為も成立すると主張する。
しかし,著作権法上,貸与行為について一定の行為が著作権(貸与権)侵害とされているにもかかわらず,被貸与者の行為について著作権侵害となる行為が規定されていないこと,著作権法113条2項が,プログラム著作物の違法複製物の使用について,違法複製物であることを知って複製物の使用権原を取得した場合に限って著作権侵害を構成するものとしていることに照らせば,プログラム著作物について貸与権侵害行為が行われた場合においても,被貸与者の行為が独自に著作権侵害を構成することはなく,ただ,被貸与者において貸与者が権限なく貸与行為を行っていることを知りながら貸与を受けた場合につき貸与者の行為に意を通じて加功したものとして,共同不法行為者としての責任を負う場合があるにすぎない。
本件においては,本件全証拠を総合しても,被告ビリングソリューションにおいて,被告NTTリースが本件各プログラムの複製物を貸与する権原を有していないことを知りながら,訴外財団からリース契約上の地位の譲渡を受けたとまでは認められない。したがって,貸与権侵害につき被告ビリングソリューションが共同不法行為者としての責任を負うとする原告の主張は,採用できない。
平成16年06月18日東京地方裁判所[平成14(ワ)15938]

一般に,監修とは,書籍の著述や編集を監督することといわれるが(広辞苑第5版),監修者としての関与の程度には,出版物の権威付けのために名義のみを貸すにすぎないものあるいは単に表現上の軽微な事項や内容的に不適切な点を指摘するものから,監修者自ら内容を検討し,相当部分について加筆補正するなど,監修者が著作物の実質的な内容変更を行うものまでさまざまな形態が考えられる。後者の場合のように,本来の著作者とともに共同著作者と評価され得る程度に関与している場合は,監修者も著作者とともに著作権侵害について共同不法行為による損害賠償責任を負う場合があるというべきであるが,監修者としての関与の程度が出版物の権威付けのために名義のみを貸すにすぎない場合又は単に表現上の軽微な事項や内容的に不適切な点を指摘するにすぎない場合は,特段の事情がない限り,共同不法行為責任を負わないというべきである。
平成17年05月17日東京地方裁判所[平成15(ワ)12551]

(1) 原告は,まず,被告(百貨店)が被告(会社)による著作権及び著作者人格権の侵害行為を幇助したと主張する。
そこで判断するに,原告は本件看板の作成行為及び本件売場への設置行為について著作権及び著作者人格権の侵害があると主張するところ,まず,本件看板の作成は被告(会社)により行われたものであって,作成行為自体に被告(百貨店)が関与したことをうかがわせる証拠はない。また,本件看板を本件売場に設置し,これを訪れた買物客らに見える状態に置くことは,それ自体として原告写真についての原告の著作権又は著作者人格権の侵害となるものではない(著作権法25条参照)。なお,原告は,本件各パネルを本件売場において組み立てて本件看板とする行為が著作権又は著作者人格権を侵害するものであって,被告(百貨店)はこれを幇助したとも主張するが,上記行為は複数のパネルを順番に並べるという単純な行為であって,これを独立の侵害行為とみることは相当でない。したがって,被告(百貨店)が被告(会社)による著作権等の侵害行為を幇助したと認めることはできない。
(2) 原告は,次に,被告(百貨店)には百貨店としてテナントに対して適切な管理監督をする条理上の義務があり,また,本件の状況下において被告(会社)が著作権について明確な処理をしたか否かを精査する義務等があるところ,これらを怠ったことに不法行為責任を負う旨主張する。
そこで判断するに,百貨店を経営する会社がテナントに対して著作権法に反する行為をしないよう適切な管理監督をする義務を負い,これに反したときは第三者に対して損害賠償責任を負うと解すべき根拠は見いだし難い。また,本件の関係各証拠上,被告(百貨店)が被告(会社)による著作権及び著作者人格権侵害の事実を知り,又はこれを容易に知り得たとは認められないから,原告の主張するような精査等の義務を負うと解することもできない。
(3) したがって,原告の主張はいずれも採用することができず,被告(百貨店)に対する原告の請求は理由がない。
平成26年5月27日東京地方裁判所[平成25(ワ)13369]

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