[e023]二次的著作物の著作権

二次的著作物の著作権は、二次的著作物において新たに付与された創作的部分のみについて生じ、原著作物と共通しその実質を同じくする部分には生じないと解するのが相当である。けだし、二次的著作物が原著作物から独立した別個の著作物として著作権法上の保護を受けるのは、原著作物に新たな創作的要素が付与されているためであって(同法2111号参照)、二次的著作物のうち原著作物と共通する部分は、何ら新たな創作的要素を含むものではなく、別個の著作物として保護すべき理由がないからである。
平成9年7月17日 最高裁判所第一小法廷[平成4(オ)1443]

本件における原告書籍と被告書籍は、ともに伝承に係る昔話ないし古典的な童話を幼児向けに表現した絵本であり、その物語の内容は古くから言い伝えられ、また、広く一般に知られているものである。右によれば、原告書籍は、原典である古典童話ないし昔話を原著作物とする二次的著作物というべきであるから、その著作権は原告書籍について新たに付与された創作的部分のみについて生じ、原著作物であるところの原典たる童話ないし昔話と共通し、その実質を同じくする部分には生じない(最高裁平成9年7月17日第一小法廷判決参照)。したがって、被告書籍が原告書籍の著作権を侵害しているかどうかを判断するに当たっては、まず、原典たる童話ないし昔話に原告書籍において新たに付加された創作性を有する部分が被告書籍においても同様に存するかどうかを検討すべきである。この場合において、原告書籍と被告書籍とが、筋の運びやストーリーの展開が同一であっても、それが原典たる童話ないし昔話において既に表われているものであるときや、創作性を認めるに足りない改変部分に係るものであるときには、原告書籍の著作権侵害に結び付くものとはいえない。
平成12年11月30日東京地方裁判所[平成12(ワ)944]

二次的著作物の著作権は、二次的著作物において新たに付与された創作的部分についてのみ生じ、原著作物と共通し、その実質を同じくする部分には生じないと解するのが相当である(最高裁平成9年7月17日第一小法廷判決)。これを本件についてみると、上記のとおり、本件著作物は、本件イラスト著作物中に描かれたキューピーイラストを原著作物とする二次的著作物であり、また、原著作物であるキューピーイラストを立体的に表現した点においてのみ創作性を有するから、立体的に表現したという点を除く部分については、キューピーイラストと共通しその実質を同じくするものとして、本件著作権の効力は及ばないというべきである。
(略)
そうすると、本件著作物が原著作物であるキューピーイラストを立体的に表現した点においてのみ創作性を有し、その余の部分に本件著作権は及ばず、他方、被控訴人イラスト等が上記の諸点において本件人形と相違し、全体的に考察しても受ける印象が本件人形と異なることに照らすと、本件著作物において先行著作物に新たに付加された創作的部分は、被控訴人イラスト等において感得されないから、被控訴人イラスト等は、本件著作物の内容及び形式を覚知させるに足りるものでもなく、また、本件著作物の本質的な特徴を直接感得させるものでもないから、本件著作物の複製物又は翻案物に当たらないことは明白である。
控訴人は、本件著作物の原著作物であるキューピーイラストについて我が国における保護期間が満了していないことを理由として、本件著作権の効力が原著作物に新たに付加された創作的部分についてのみならず本件著作物全体に及んでいると主張する。
しかしながら、二次的著作物の著作権が原著作物に新たに付加された創作的部分についてのみ生ずることは、二次的著作物の著作権者が原著作物について著作権を有していることによって影響を受けないと解するのが相当である。なぜならば、二次的著作物が原著作物から独立した別個の著作物として著作権法上の保護を受けるのは、原著作物に新たな創作的要素が付加されているためであって、二次的著作物のうち原著作物と共通する部分は、何ら新たな創作的要素を含むものではなく、別個の著作物として保護すべき理由がないところ(上記最高裁判決)、我が国において原著作物の著作権について保護期間が満了しておらず、かつ、二次的著作物の著作権者が原著作物の著作権者であるからといって、二次的著作物のうち原著作物と共通する部分について別個の著作物として保護すべき理由がないという点では、二次的著作物の著作権者が原著作物の著作権者でない場合と何ら異なるところはないからである。
したがって、キューピーイラストの著作権について我が国における保護期間が満了しておらず、かつ、控訴人がその著作権者であるということは、本件著作権の権利範囲に影響を及ぼさないというべきであり、控訴人の主張は、採用することができない。
平成13年05月30日東京高等裁判所[平成11(ネ)6345]

現行著作権法が、二次的著作物に著作権が発生し同法上の保護を受ける要件として、当該二次的著作物の創作の適法性を要求していないことは、同法2条1項11号の文言及び旧著作権法からの改正経過(例えば、旧著作権法22条の適法要件の撤廃)に照らして明らかである(。)
平成14年09月06日東京高等裁判所[平成12(ネ)1516]

乙曲が甲曲の編曲に係る二次的著作物であること及び当該編曲が違法といわざるを得ないことは前述のとおりであるが、現行著作権法が、編曲に係る二次的著作物について編曲者に著作者人格権が発生するための要件として、当該編曲の適法性を要求するものでないことは、著作権に関して前述したところと同様である。そうすると、被控訴人は、乙曲について著作者人格権を有することが認められる。
平成14年09月06日東京高等裁判所[平成12(ネ)1516]

被告は,原著作者である被告は,本件土地宝典について二次的著作権を有する者と同一の種類の権利を有するから(著作権法28条),複製についての許諾権も有していることになり,不特定多数の第三者が法務局において本件土地宝典を複写したことについて被告に幇助行為があったと観念できるとしても,違法性が阻却されるため,不法行為は成立しない,と主張する。
しかし,本件土地宝典が公図の二次的著作物であり,被告が公図の原著作者であるとしても,本件土地宝典の複製には,原著作者の許諾とともに,二次的著作物の著作権者である原告らの許諾を要するのであるから,原告らの許諾を得ずに複製を行うことが違法であることは明らかであり,被告の主張は採用することができない。
平成20年01月31日東京地方裁判所[平成17(ワ)16218]

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