[e025]著作権と時効

【著作権と取得時効】

著作権法21条に規定する複製権は、民法163条にいう「所有権以外ノ財産権」に含まれるから、自己のためにする意思をもって平穏かつ公然に著作物の全部又は一部につき継続して複製権を行使する者は、複製権を時効により取得すると解することができるが、複製権が著作物の複製についての排他的支配を内容とする権利であることに照らせば、時効取得の要件としての複製権の継続的な行使があるというためには、著作物の全部又は一部につきこれを複製する権利を専有する状態すなわち外形的に著作権者と同様に複製権を独占的、排他的に行使する状態が継続されていることを要し、そのことについては取得時効の成立を主張する者が立証責任を負うものと解するのが相当である。
平成9年7月17日 最高裁判所第一小法廷[平成4(オ)1443]≫

著作権の時効取得が観念されると解した場合,著作権の時効取得が認められるためには,自己のためにする意思をもって平穏かつ公然に著作権(例えば,複製権)を行使する状態を継続していたことを要する。換言すれば,著作権の時効取得が認められるためには,著作物の全部又は一部につきこれを複製する権利などを専有する状態,すなわち外形的に著作権者と同様に複製権を独占的,排他的に行使する状態が継続されていることを要するのであって,そのことについては取得時効の成立を主張する者が立証責任を負うものと解するのが相当である(最高裁判所平成9年7月17日判決参照)。
平成24年01月31日知的財産高等裁判所[平成23(ネ)10028等]

複製権(著作権法21条)及び譲渡権(同法26条の2第1項)は,民法163条にいう「所有権以外の財産権」に含まれるから,自己のためにする意思をもって,平穏に,かつ,公然と著作物の全部又は一部につき継続して複製権又は譲渡権を行使する者は,複製権又は譲渡権を時効により取得することができるものと解されるが,時効取得の要件としての複製権又は譲渡権の継続的な行使があるというためには,著作物の全部又は一部につきこれを複製する権利又は譲渡する権利を専有する状態,すなわち外形的に著作権者と同様に複製権又は譲渡権を独占的,排他的に行使する状態が継続されていることを要するものというべきであり,また,民法163条にいう「自己のためにする意思」は,財産権の行使の原因たる事実によって外形的客観的に定められるものであって,準占有者がその性質上自己のためにする意思のないものとされる権原に基づいて財産権を行使しているときは,その財産権の行使は「自己のためにする意思」を欠くものというべきである(複製権につき,最高裁平成9年7月17日第一小法廷判決参照)。
平成24年09月27日 東京地方裁判所[平成22(ワ)36664]

【著作権と消滅時効】

著作権法17条は,財産権である著作権として21条ないし28条に規定する権利を享有すると定め,同法21条ないし28条において,著作者がその著作物を複製する権利を専有すること(複製権),著作者がその著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有すること(翻案権)などを定めている。そして,同法51条2項は,著作権は、原則として,著作者の死後50年を経過するまでの間存続すると定めている。そして,ここに「専有」とは,物権的な排他的支配権を意味するものと解することができ,その内容としては,自らこれを利用し他人には利用させないことも,自ら利用しつつ他人にも利用させることも,自らはこれを利用しないで,他人に利用させることも,自らもこれを利用せず他人にも利用させないことも,すべて当然に含んでいるものというべきである。
そうすると,著作権は,その性質上,当該著作物を利用することもせず,他人に対して権利行使をしていないとしても,それによって消滅時効が進行するというものではなく,かつ,消滅時効とは関係なく,法定の保護期間の満了をもって権利が消滅することになると解するのが相当である。
平成13年09月18日東京高等裁判所[平成12(ネ)4816]≫

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