[e035]47条の意義と解釈

美術の著作物の原作品の所有権が譲渡された場合における著作権者と所有権者との関係について規定する著作権法451項、47条の定めは、著作権者が有する権利(展示権、複製権)と所有権との調整を図るために設けられたものにすぎず、所有権が無体物の面に対する排他的支配権能までも含むものであることを認める趣旨のものではないと解される。
昭和59年1月20日最高裁判所第二小法廷[昭和58(オ)171]

著作権法47条は、美術の著作物又は写真の著作物の原作品により、第25条に規定する権利を害することなく、これらの著作物を公に展示する者は、観覧者のためにこれらの著作物の解説又は紹介をすることを目的とする小冊子にこれらの著作物を掲載することができる旨規定するところ、その趣旨とするところは、美術の著作物又は写真の著作物の原作品により、これらの著作物を公に展示するに際し、従前、観覧者のためにこれらの著作物を解説又は紹介したカタログ等にこれらの著作物が掲載されるのが通常であり、また、その複製の態様が、一般に、鑑賞用として市場において取引される画集とは異なるという実態に照らし、それが著作物の本質的な利用に当たらない範囲において、著作権者の許諾がなくとも著作物の利用を認めることとしたものであつて、右規定にいう「観覧者のためにこれらの著作物の解説又は紹介をすることを目的とする小冊子」とは、観覧者のために著作物の解説又は紹介をすることを目的とする小型のカタログ、目録又は図録といったものを意味し、たとえ、観覧者のためであっても、実質的にみて鑑賞用の豪華本や画集といえるようなものは、これに含まれないものと解するのが相当である。この点について更に敷えんすると、右の「小冊子」に該当するというためには、これが解説又は紹介を目的とするものである以上、書籍の構成において著作物の解説が主体となっているか、又は著作物に関する資料的要素が多いことを必要とするものと解すべきであり、また、観覧者のために著作物の解説又は紹介を目的とするものであるから、たとえ、観覧者に頒布されるものでありカタログの名を付していても、紙質、規格、作品の複製形態等により、鑑賞用の書籍として市場において取引される価値を有するものとみられるような書籍は、実質的には画集にほかならず、右の「小冊子」には該当しないものといわざるをえない。
平成1年10月06日東京地方裁判所[昭和62(ワ)1744]≫

著作権法47条所定の観覧者のために美術の著作物又は写真の著作物の解説又は紹介をすることを目的とする小冊子とは、観覧者のために展示された著作物を解説又は紹介することを目的とする小型のカタログ、目録又は図録等を意味するものであり、展示された原作品を鑑賞しようとする観覧者のために著作物の解説又は紹介をすることを目的とするものであるから、掲載される作品の複製の質が複製自体の鑑賞を目的とするものではなく、展示された原作品と解説又は紹介との対応関係を明らかにする程度のものであることを前提としているものと解され、たとえ、観覧者に頒布されるものであっても、紙質、判型、作品の複製態様等を総合して、複製された作品の鑑賞用の図書として販売されているものと同様の価値を有するものは、同条所定の小冊子に含まれないと解するのが相当である。
平成10年02月20日東京地方裁判所[平成6(ワ)18591]≫

「小冊子」は「観覧者のためにこれらの著作物の解説又は紹介をすることを目的とする」ものであるとされていることからすれば,観覧する者であるか否かにかかわらず多数人に配布するものは,「小冊子」に当たらないと解するのが相当である。
平成21年11月26日東京地方裁判所[平成20(ワ)31480]

同条【注:法47条】における「小冊子」は,あくまでも「観覧者のためにこれらの著作物の解説又は紹介をすることを目的とする」ものであることを前提としているから,オークションや下見会に参加して実際に作品を観覧する者以外に配布されるものや,著作物の解説又は紹介以外を主目的とするものは,「小冊子」に当たらないと解するのが相当である。
本件カタログは,本件オークションや下見会への参加の有無にかかわらず,被告の会員に配布されるものであるし,その主たる目的は,本件オークションにおける売買の対象作品を特定するとともに,作家名やロット番号以外からは直ちに認識できない作品の真贋,内容を通知し,配布を受けた者の入札への参加意思や入札額の決定に役立つようにする点にあり,観覧者のための著作物の解説又は紹介を主たる目的とするものでもないことが明らかであるから,著作権法47条にいう「小冊子」には当たるとは認められない。
平成28年6月22日知的財産高等裁判所[平成26(ネ)10019等]

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