[e040]著作権の譲渡と登録

【著作権の原始取得と登録】

原告は流行歌「阿蘇の恋唄」を録音物に適法に写調したものであるから右曲の録音物著作権を原始的に取得したことになる。右著作権は著作財産権のみならず著作人格権をも包含するものであることは権利の性質上明らかであり又原告が右権利を原始的に取得したものなる以上、登録をもつて第三者対抗要件とする承継取得の場合と異り登録なくして第三者に対抗しうるものと解すべきである。
昭和45年03月03日大分地方裁判所[昭和41(ワ)507]

【二重譲渡と第三者性】

以上によれば,
B及びCから上野商会に対する本件著作権の譲渡とB及びCから被告に対する本件著作権の譲渡とは二重譲渡の関係にあり,上野商会又はその転得者と被告とは対抗関係に立つものと認められる。
よって,原告が上野商会から本件著作権を承継していたとしても,我が国著作権法上,被告は,原告への本件著作権の移転につき,対抗要件の欠缺を主張し得る法律上の利害関係を有する第三者(著作権法77条)に該当するから,原告は,被告に対し,本件著作権の移転について登録(対抗要件)を了しない限り,本件著作権の移転を対抗することはできない。本件において,原告は,本件著作権の移転について登録を了していないから,被告に対する本訴請求はいずれも理由がない。
加えて,被告は,本件著作権の移転について,本件譲渡登録を了したから,我が国の著作権法上,被告に対する本件著作権の移転が確定的に有効となり,他方,原告は本件著作権を喪失することになる(。)
平成19年10月26日東京地方裁判所[平成18(ワ)7424]≫

著作権の移転を登録しなければ対抗できない「第三者」(著作権法77条)とは,登録の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する者であると解されており(大審院昭和7年5月27日判決参照),単なる著作権の侵害者はこれにはあたらない。
平成19年07月26日大阪地方裁判所[平成16(ワ)11546]

著作権の移転を登録しなければ対抗できない「第三者」(著作権法77条)とは,登録の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する者であると解されており(大審院昭和7年5月27日判決参照),単に著作権の帰属を争っていたり,著作物の複製物を使用しているだけの者は,これには当たらない
平成21年02月26日大阪地方裁判所[平成17(ワ)2641]

更に被告は、仮に本件契約における被告会社代表者[P10]意思表示が原告の強迫によりされたものではないとしても、本件契約【注:原、被告は、昭和41525日、本件映画の著作権は原、被告の共有とすること、本件映画のプリント販売、上映等による収入は、原告の活動による場合は原告に70パーセント、被告に30パーセントの額を、被告の活動による場合は原告に30パーセント、被告に70パーセントの額をそれぞれ配分するものとすることなどの条項を含む本件契約を締結したことが認められる】は、本件映画の著作権が被告から国鉄に譲渡された後に締結されたものであるから、原告が本件映画の著作権を取得することはないとの趣旨の主張をする。しかしながら、仮に本件契約が被告から国鉄に本件映画の著作権が譲渡された後に締結されたものであるとすれば、本件契約による被告から原告に対する本件映画の著作権の譲渡は、いわゆる二重譲渡であるというべきところ、登録を譲渡の対抗要件とするに止まる旧著作権法下においては(同法第15条第1項【注:現77条1号】参照)、本件契約による譲渡の意思表示のみにより、被告から原告に対する本件映画の著作権の譲渡は有効に生じ、譲渡の当事者であつて第三者ではない被告はこれを争うことはできないものというべきである。被告の右主張は理由がない。
昭和52年02月28日東京地方裁判所[昭和44(ワ)1528]

仮に、遺産財団管財人ポール・オニールがジョゼフ・カラスに対し本件著作権を譲渡し、この譲渡契約が有効であるとしても、上記のとおり、遺産財団から控訴人に対する本件著作権譲渡による物権類似の支配関係の変動については、本件著作権の保護国である我が国の法令が準拠法となるから、本件著作権について、ジョゼフ・カラスに対する譲渡と控訴人に対する譲渡とが二重譲渡の関係に立つにすぎず、控訴人に対する本件著作権の移転が効力を失うものではない。
我が国著作権法上、被控訴人は、本件著作権について、譲渡を受け、又は利用許諾を受けるなど、控訴人が本件著作権譲渡の対抗要件を欠くことを主張し得る法律上の利害関係を有しないから、控訴人は、被控訴人に対し、対抗要件の具備を問うまでもなく、本件著作権を行使することができる。なお、本件著作権譲渡の法律効果について我が国著作権法が適用されるということは、著作権譲渡の対抗要件についても同様であることを意味するところ、控訴人は、遺産財団から本件著作権の譲渡を受けたことについて、我が国著作権法77条1号に基づく著作権の登録申請手続を行い、平成10年8月25日に登録を受けた結果、上記対抗要件を具備していることは上記認定のとおりであるから、この点においても、被控訴人の主張は理由がない
平成13年05月30日東京高等裁判所[平成12(ネ)7]≫

本件著作権については、著作権登録原簿への登録がされていないところ、本件信託契約による本件著作権の原告への移転は、右登録がなければ、第三者に対抗することができず、右第三者とは、登録の欠缺を主張するにつき、正当な利益を有する第三者をいうと解するのが相当である。
(略)
被告は、本件楽曲の作曲者である補助参加人から、本件楽曲を本件ビデオの背景音楽として複製して使用することについて許諾を受けた者であるから、本件著作権の移転に関する、原告の著作権登録原簿への登録の欠缺を主張するにつき、正当な利益を有する第三者であるというべきである。
以上の次第であるから、補助参加人から原告への本件信託契約に基づく本件著作権の移転につき、著作権登録原簿への登録をしていない原告は、右登録の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する第三者である被告に対して、本件著作権に基づく本訴請求を行うことは許されない。
平成12年06月30日東京地方裁判所[平成11(ワ)3101
【コメント】
控訴審平成13年07月12日東京高等裁判所[平成12(ネ)3758]≫では、「被控訴人が本件楽曲の複製許諾を得ていたとは認められず,被控訴人は,本件信託契約に基づく,補助参加人から控訴人への本件著作権の移転についての著作権登録原簿への登録の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者には当たらないものというべきである。」とし、被控訴人(1審被告)の損害賠償責任を認定しました。

携快電話6のその他のデータファイルはAMI社が製作し,被告はAMI社からその著作権等を承継取得した。一方で,原告商品2のその他のデータファイルは,原告がAMI社から使用許諾を得て原告商品2の一部として販売している。そうすると,原告商品2のその他のデータファイルのうち,携快電話6のファイルと同一のものについては,被告と原告とはAMI社を起点として,いわゆる二重譲渡と同様の関係にあるということができるから,被告が原告に対し,AMI社からその他のデータファイルの著作権又は著作隣接権を承継取得したことを対抗するためには,著作権法77条1号所定の権利の移転登録を要するというべきである。しかし,被告は移転登録を得ていないのであるから,仮にその他のデータファイルについて著作権又は著作隣接権が成立するものが含まれていたとしても,原告が原告商品2を販売する行為は,当該著作権又は著作隣接権の侵害とはならない。
平成16年01月28日東京地方裁判所[平成14(ワ)18628]

念のため,被告の主張の趣旨を「被告が譲り受けたとする目的物が,本件プログラムの著作権」であるということを前提とするものと理解した上で,被告の主張の当否を判断する。
ところで,破産管財人は,破産者の一般承継人ではなく,破産債権者のために独立の地位を与えられた破産財団の管理機関として,民法第177条にいわゆる第三者に当たるものと解すべきである(昭和38年7月30日最高裁第3小法廷判決参照)。したがって,仮に,本件譲渡担保契約に基づいてアカウントから被告へ著作権が譲渡されたとしても,被告は,アカウントが破産宣告を受ける前に,著作権譲渡についての対抗要件たるプログラム登録原簿への移転登録手続を経由していなければ,原告に対してその譲受けを対抗することはできない。一方,本件において,被告が本件プログラムの譲受けについてかかる登録手続を経由していないことは,弁論の全趣旨により明らかである。したがって,本件譲渡担保契約に基づいて本件プログラムについての著作権を取得した旨の被告の主張は,主張自体失当である。
なお,被告は,本件プログラムが格納されたCD-ROMの引渡しを受けたことによって,対抗要件を備えたものとも主張する。しかし,プログラムの著作物に係る著作権の移転は,プログラムについての著作権登録原簿へ登録しなければ,第三者に対抗することはできないものであるから(著作権法77条1号,78条1項),この点における被告の主張も理由がない。
平成15年03月17日東京地方裁判所(平成14(ワ)21540)

【背信的悪意者】

被控訴人は,控訴人が本件著作権の正当な承継者であることを熟知しながら,控訴人の円滑な事業の遂行を妨げ,又は,控訴人に対して本件著作権を高額で売却する等,加害又は利益を図る目的で,A及びBに働きかけて本件譲渡証明書及び単独申請承諾書に署名させ,本件譲渡登録を経由したものと推認することができ,したがって,被控訴人は背信的悪意者に該当するものと認めるのが相当である。
以上によれば,被控訴人は,控訴人への本件著作権の移転につき,対抗要件の欠缺を主張し得る法律上の利害関係を有する第三者(著作権法77条)には該当しない。
平成20年03月27日知的財産高等裁判所(平成19(ネ)10095)≫

著作権の移転は,一般承継によるものを除き,登録しなければ,第三者に対抗することができない(著作権法77条)。被告らは,著作権法77条にいう第三者に当たるから,仮に本件小道具等が著作物であって原告がMBCAからその著作権の譲渡を受けたものであるとしても,原告は,移転登録を経ていないため,被告らが背信的悪意者に当たらない限り,譲渡を受けたとする本件小道具等の著作権を被告らに対抗することができない。
そこで,被告らが背信的悪意者に当たるか否かについて検討する。
被告らが,被告NEPらとMBCAとの間の本件協約締結の時点において,原告がMBCAから本件小道具等の著作権の譲渡を受けたことを認識していたことを認めるに足りる証拠はなく,原告の著作権の移転登録の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情があることも窺えないから,被告らが背信的悪意者に当たるということはできない。
平成25年03月28日 東京地方裁判所[平成22(ワ)31759]

本件著作権の移転の対抗要件についても,保護国である我が国の法令が準拠法となるから,著作権法77条1号,78条1項により,被控訴人は,本件著作権の取得について対抗要件である著作権の移転登録を了しない限り,控訴人に対し,本件著作権に基づく請求をすることはできないところ,被控訴人は,この登録を了していないので,控訴人に対し,本件著作権を対抗し,これに基づく請求をすることができない。
被控訴人は,ダリが被控訴人に対し,本件契約によりダリ作品に係る著作権を2004年(平成16年)5月11日まで譲渡したことから,文化省がダリ作品に係る著作権の利用権を補助参加人に譲渡した当時,スペイン国は無権利者であったと主張する。しかしながら,スペイン国は,本件遺言によりその法律上の地位を包括承継し,文化省が勅令によりその利用権を付与されたのであるから,ダリが本件契約により被控訴人に対してした本件著作権の譲渡と,ダリの包括承継人であるスペイン国から補助参加人への本件著作権の譲渡とは,対抗関係に立つのであって,いずれかの譲渡について登録がされるなど,一方が確定的に有効となるまでの間は,いずれの譲渡も権利者による譲渡というべきであるから,スペイン国からの譲渡を無権利者によるものということはできない。
被控訴人は,補助参加人について,本件契約が著作権の有効な譲渡契約であり被控訴人がその著作権者であることを知っており,スペイン国と結託して上記契約を締結したと主張する。しかしながら,スペイン国から補助参加人に本件著作権が譲渡された1995年(平成7年)当時,スペイン法人であり全世界のダリ作品に係る権利を扱うことが予定されていた補助参加人が,我が国において本件契約に係る著作権の譲渡が登録されていないことを知っていたなどということは,およそ考えられず,他に,補助参加人が本件著作権の移転登録が未了であることを奇貨として,あえて上記契約を締結したなど,対抗要件の欠如を主張し得ない第三者に当たることをうかがわせる証拠はない。
また,被控訴人は,補助参加人に対し警告したと主張するところ,我が国の法令の下で,第三者が上記背信的悪意者に該当するかどうかは,当該第三者が法律上の利害関係を有するに至った時点における認識を問題とするから,この点においても,被控訴人の主張は採用することができない。
さらに,被控訴人は,控訴人について,被控訴人の警告を無視して本件著作物の無断複製頒布に及んだと主張するが,補助参加人が背信的悪意者でない以上,補助参加人から本件著作権の利用許諾を受けた控訴人も,また,背信的悪意者であるとは認め難く,他に,控訴人が背信的悪意者に当たると認めるに足りる証拠はない。
平成15年05月28日東京高等裁判所[平成12(ネ)4759]≫
【コメント】
本件は、二重譲渡の一方当事者が相手方の対抗要件の欠如を主張し得ない「背信的悪意者」には該当しないと認定した事例です。
本件における「本件著作権」の「譲渡」(二重譲渡)の流れ(ルート)は、概ね次のとおりです。
1のルート:[ダリ]⇒[被控訴人]
2のルート:[ダリ]⇒[スペイン国・文化省]⇒[補助参加人]
※「控訴人」は、上記[補助参加人]から本件著作権の利用許諾を受けた者である。
本件では、「控訴人は,ダリから被控訴人に対する本件著作権の移転について法律上の利害関係を有する第三者である。」と認定した上で、以上のように判示したものです。

【独占的利用権の対抗要件】

控訴人の有する独占的利用権は著作権者の利用許諾に基づく債権的権利であるから,その後に著作権の全部又は一部の譲渡がされた場合には,我が国の著作権法上,譲受人に対抗することができないものである。そうすると,著作権の譲受人がその取得に先行する独占的利用権の存在を知っていたことのみから,譲受人の被許諾者に対する著作権の主張が権利の濫用になると解するのは相当でなく,その権利主張が権利の濫用に当たるか否かは,著作権の取得経過等に関する事情を総合的に考慮して決すべきものである。
平成26年03月27日知的財産高等裁判所[平成25(ネ)10094]

【文化庁長官の義務】

著作権の移転登録は,当事者の意思表示によって生じた著作権の権利変動を公示し,第三者に対する対抗要件となるものではあるが,移転登録の対象とされた著作権が発生していることや,その著作権の客体が法2条1項1号の「著作物」に該当することを公示すらするものでないことは,著作権の移転登録の制度上明らかであるから,文化庁長官は,著作権の移転登録申請があった際に,申請者に対し,その申請に係る登録がされたからといって著作権が発生するものではないとか,著作権の権利者という地位が保証されるものではないなどの説明を著作権の移転登録事務を担当する文化庁の担当職員(本件担当職員)にさせるべき職務上の法的義務を負うものとはいえないし,文化庁長官がかかる法的義務を負うものとする法令の定めや根拠はない
平成25年06月20日知的財産高等裁判所[平成25(ネ)10015]

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