[e043]フェア・ユース(公正利用)の法理

著作権法1条は、著作権法の目的につき、「これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作権者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。」と定め、同法30条以下には、それぞれの立法趣旨に基づく、著作権の制限に関する規定が設けられているところ、これらの規定から直ちに、わが国においても、一般的に公正利用(フェアユース)の法理が認められるとするのは相当でなく、著作権に対する公正利用の制限は、著作権者の利益と公共の必要性という、対立する利害の調整の上に成立するものであるから、これが適用されるためには、その要件が明確に規定されていることが必要であると解するのが相当であって、かかる規定の存しないわが国の法制下においては、一般的な公正利用の法理を認めることはできない。
平成6年10月27日東京高等裁判所[平成5(ネ)3528]

1条は,法の目的につき,「これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ,著作権者等の権利の保護を図り,もって文化の発展に寄与することを目的とする。」と定め,法30条以下には,それぞれの立法趣旨に基づく,著作権の制限に関する規定が設けられているところ,これらの規定から直ちに,我が国においても,一般的に「公正な利用(フェア・ユース)の法理」が認められると解するのは相当でない。著作権に対する公正利用の制限は,著作権者の利益と公共の必要性という,対立する利害の調整の上に成立するものであるから,実定法主義を採る我が国の法制度の下で,これが制限されるためには,その要件が具体的かつ明確に規定されていることが必要であると解するのが相当であって,かかる規定が存しない以上,一般的な「公正な利用の法理」を認めることはできないことはもちろん,明文の規定を離れて著作物の公正な利用となる場合があることを認めることはできないというべきである(東京高等裁判所平成6年10月27日判決参照)。
平成15年02月07日名古屋地方裁判所[平成14(ワ)2148]

被告は、「フェア・ユース」に関する一般的条項を持たない我が国においても、「フェア・ユース」の法理が適用されるべきである旨主張する。しかしながら、我が国の著作権法は、1条において、「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作権の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産としての著作物の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。」と定めていることからも明らかなように、文化の発展という最終目的を達成するためには、著作者等の権利の保護を図るのみではなく、著作物の公正利用に留意する必要があるという当然の事理を認識した上で、著作者等の権利という私権と社会、他人による著作物の公正な利用という公益との調整のため、30条ないし49条に著作権が制限される場合やそのための要件を具体的かつ詳細に定め、それ以上に「フェア・ユース」の法理に相当する一般条項を定めなかったのであるから、著作物の公正な利用のために著作権が制限される場合を右各条所定の場合に限定するものであると認められる。そして、著作権法の成立後今日までの社会状況の変化を考慮しても、被告書籍における本件記事の利用について、実定法の根拠のないまま被告主張の「フェア・ユース」の法理を適用することこそが正当であるとするような事情は認められないから、本件において、著作権制限の一般法理としてその主張にかかる「フェア・ユース」を適用すべきであるとの被告の主張は採用できない。
平成7年12月18日東京地方裁判所[平成6(ワ)9532]≫

著作物を引用して利用する場合における著作権と著作物の公正な利用との調整に関しては,著作権法32条において,引用が著作物の適法な利用として許されるための要件を具体的に規定していると解されるから,同規定の趣旨から離れて,米国著作権法上のフェアユースの法理の適用により,他人の著作物を自由に引用して利用することができると解することは相当ではない。
平成16年11月29日東京高等裁判所[平成15(ネ)1464]

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