[e045]タイトル・名称・見出しの著作物性

「時効」は時効に関する法律問題を論じる際に不可避の法令用語であり,「管理」は日常よく使用されて民法上も用いられている用語であり,「時効の管理」という表現はこの2語の間に助詞である「の」を挟んで組み合わせた僅か5文字の表現であり,控訴人書籍の発刊以前から時効に関する法律問題を論じる際に「消滅時効の管理」・「時効管理」といった表現が用いられていたものであるから,「時効の管理」はこれを全体として見てもありふれた表現であるというべきである上,「時効の管理」という表現が「時効について権利義務の一方当事者が主体的にこれを管理しコントロールすべきであるとの視点から再認識した思想」を表現したとまでは理解できず,単に「時効を管理する」という事物ないし事実状態を表現しているとしか理解できないのであって,「時効の管理」という表現は思想又は感情を創作的に表現したものと認められない。
平成20年10月08日大阪高等裁判所[平成20(ネ)1700]≫

このような運動・トレーニング方法に関する理論を原告が独創し,その名称を創作したものであるとしても,著作物性は具体的な表現について認められるものであり,理論について認められるものではないから,理論が独創的であるからといって,直ちにその名称に著作物性が認められるわけではない。
そこで,原告Aが創作した「初動負荷」及び「終動負荷」という名称表現について検討するに,まず「初動負荷」について見ると,ある抽象的な理論や方法(ここでは運動・トレーニング方法がそれに当たる。)を端的に表現する名称として,それを漢字四文字の熟語で構成することは,日本語において常用される表現方法であるところ,前記のような,運動の動作の開始時において負荷を与えた後に,その負荷を適切に漸減するという運動・トレーニング方法の名称を考えるに当たり,「運動の動作の開始時において」「負荷を与える」という代表的な要素を抽出して,「初動負荷」と名付けることは,「広辞苑」(第五版)において「初動」とは「初期段階の行動」の意味であるとされていることもふまえると,ありふれた表現にすぎず,創作性を有する著作物と認めることはできないというべきである。
また,「終動負荷」という名称について見ると,確かに「終動」という言葉は一般の日本語にはなく(前掲「広辞苑」にも見られない。),原告Aの創作した造語であると認められる。しかし,新旧二つの理論や方法に名称を付与する際に,両者の名称が対になるようにするのは日本語として常用される表現方法であることからすると,新規な運動・トレーニング方法を「初動負荷」と名付ける一方で,従来の運動・トレーニング方法を「終動負荷」と名付けることも,やはりありふれた表現にすぎず,創作性を有する著作物と認めることはできないというべきである。
平成17年07月12日大阪地方裁判所[平成16(ワ)5130]≫

本件原告記載【注:原告が運営するウェブサイトの名称「里見学園八剣伝」,「里見学園」,「スクエア」及び「空き教室」のこと)の創作性の有無について検討するに,本件原告記載は,いずれも,一単語又は二,三の単語を組み合わせたごく短い表現であり,かつ,平凡で,ありふれた表現であるから,創作性が認められないことは明らかである。
平成19年01月31日東京地方裁判所[平成18(ワ)13706]

本件名称【注:調査業を営む原告を退職して、同じく調査業を営んでいる被告が、原告在職中に営業上の名称として使用していた呼称(特定の個人名をさすが、調査業営業員が営業上使用していた仮名)のこと】は、特定個人の名称を指すものであり、右の著作物に該当しないことは明らかである。
平成12年09月13日名古屋地方裁判所[平成11(ワ)3573]

本件第一学校名【注:原告の著作にかかるゲームソフト「甲子園2」で使用されていた、全国高等学校野球選手権大会の地区予選に出場した4,000校余りの高等学校名のこと】は、右のとおり、実在する高等学校の名称(通称)を加工したものにすぎず、それらの高等学校名の選択や配列に特段の工夫は見られないばかりか、その加工方法も、名称(通称)の第一文字目と第二文字目の順番を入れ替えたのみであって、極めて簡易かつありふれた手法にすぎず、表現としての創作性を有すると認めることはできないから、本件第一学校名を著作物ということはできない。
平成11年11月18日大阪地方裁判所[平成10(ワ)1743]

③のうち「映画村」との表現についても,ある特定の限られた分野又は共通の利害関係を有する一定の社会的集団を「○○村」と表現することは経験則上一般にみられるありふれた表現であって,これに,わずか3字からなる単語にすぎないことも併せると,この表現自体が著作権法上保護すべき創作的な表現であると認めることはできない。この点に関して原告は,被告記事では「映画村」(movie village)という表現に引用符の「“”」が用いられ,「原発村から派生した造語」との注釈まで付されていることを指摘するが,引用符及び注釈の付記によって直ちに被告が著作権法上の創作性を自認したことにはならないというべきであるから,原告の指摘は上記判断を左右するに足りない。
平成28年8月19日東京地方裁判所[平成28(ワ)3218]≫

一般に,ニュース報道における記事見出しは,報道対象となる出来事等の内容を簡潔な表現で正確に読者に伝えるという性質から導かれる制約があるほか,使用し得る字数にもおのずと限界があることなどにも起因して,表現の選択の幅は広いとはいい難く,創作性を発揮する余地が比較的少ないことは否定し難いところであり,著作物性が肯定されることは必ずしも容易ではないものと考えられる。
しかし,ニュース報道における記事見出しであるからといって,直ちにすべてが著作権法
10条2項に該当して著作物性が否定されるものと即断すべきものではなく,その表現いかんでは,創作性を肯定し得る余地もないではないのであって,結局は,各記事見出しの表現を個別具体的に検討して,創作的表現であるといえるか否かを判断すべきものである。
平成17年10月06日知的財産高等裁判所[平成17(ネ)10049]≫
【コメント】
控訴審では、以上のような一般論を述べた上で、結論としては、「当裁判所も,控訴人が主張する具体的な
YOL見出しについては,いずれも創作性を認めることができないものと判断する。」としました。
以下に、創作性(著作物性)が否定された見出しの具体例をいくつか挙げておきます:
「マナー知らず大学教授,マナー本海賊版作り販売」
「A・Bさん,赤倉温泉でアツアツの足湯体験」
「道東サンマ漁,小型漁船こっそり大型化」
「中央道走行車線に停車
→追突など14台衝突,1人死亡」
「国の史跡傷だらけ,ゴミ捨て場やミニゴルフ場…検査院」
「『日本製インドカレー』は×…EUが原産地ルール提案」


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