[e058]題号の同一性

被告小説において,本件詩につき,題号を切除してその全文が使用されていることは,前記認定のとおりである。著作者は,その題号の同一性を保持する権利を有し,その意に反してその切除その他の改変を受けないものとされているところ(著作権法20条1項),被告の上記行為は,本件詩の題号についてAの有していた上記権利を侵害するものといわざるを得ない。
被告らは,本件詩を被告小説の主人公の心情描写に必要な範囲において本件詩を引用したものであり,題号の切除も,かかる目的に照らしやむを得ない改変である(著作権法20条2項4号)と主張する。
しかしながら,著作権法20条2項4号は,同一性保持権による著作者の人格的利益の保護を例外的に制限する規定であり,かつ,同じく改変が許される例外的場合として同項1号ないし3号の規定が存することからすると,同項4号にいう「やむを得ないと認められる改変」に該当するというためには,著作物の性質,利用の目的及び態様に照らし,当該著作物の改変につき,同項1号ないし3号に掲げられた例外的場合と同程度の必要性が存在することを要するものと解される。しかるところ,被告ら主張の事情をもってしても,被告小説において本件詩の題号を切除することにつき,上記のような必要性が存在すると認めることはできない。
平成16年05月31日東京地方裁判所[平成14(ワ)26832]≫

本件ソフトのゲーム表示画面上及びオープニングムービー内に表示されたタイトルが「まいにちがすぷらった!」であることは前記のとおりであり、これは、本件シナリオの著作者である原告が付けた題号「毎日がすぷらった」に被告が変更を加えたものであるから、著作権法20条1項にいう題号の改変に当たる。
平成13年08月30日大阪地方裁判所[平成12(ワ)10231]

前記認定のとおり,表紙部分に記載されている原告書籍の題号と被告書籍の題号の一部が異なる【注:表紙部分について、原告書籍には、その上部に、三段に分けて「さしのべる手・ふれあう心」、「だれでもできる在宅介護」、「-いざというときに-」と記載されているのに対し、被告書籍には、その上部に、三段に分けて「さしのべる手・ふれあう心」、「だれでもできる在宅介護」、「-いざというとき編-」と記載されていた】。
もっとも,その差異は,原告書籍の題号のうち,「いざというときに」という文言の末尾の「に」が「編」となっているものであるにすぎない上,この差異があることによっても,両者の文言は,ともに,原告書籍又は被告書籍がいざというときのためのものであるという意味であると認めることができるから,原告書籍の題号を被告書籍の題号に改める行為が,著作権法20条1項の「改変」に当たるとすることはできない。
したがって,原告書籍の表紙部分の「-いざというときに-」という記載を「-いざというとき編-」に変更した被告組合及び被告共立の行為は,原告の著作者人格権(同一性保持権)侵害に当たらない。
平成16年09月29日東京地方裁判所[平成16(ワ)4605]

右各写真【注:「右各写真」は、実際には奈良県又は和歌山県で控訴人によって撮影された石垣の写真であるのに対し、被控訴人が、「右各写真」を、「青森県津軽中山に存在した耶馬台城跡を示す写真である」との説明文を付して掲載したことから、「右各写真」に対する同一性保持権の侵害性が問題となった。】には、いずれも津軽中山の耶馬台城跡である旨の説明が付されていることが明らかであるから、事実と異なる右説明の下に本件写真を掲載した点で同一性保持権をも侵害するというべきである。
平成9年01月30日仙台高等裁判所[平成7(ネ)207]≫

原告の上記同一性保持権侵害の主張は,被告Aが本件写真1について加えた説明が本件写真1の被写体と一致していないというものであって,本件写真1そのもの又は本件写真1の題号を変更,切除その他の改変をしたというものではないから,その主張自体理由がない
平成20年06月26日東京地方裁判所[平成19(ワ)17832]

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