[e062]著作者人格権侵害と著作権侵害との相関

原著作物の本質的な特徴を感得させないような態様における使用には,原著作者の氏名表示権(著作権法19条)も及ばないと解すべきである。
平成26年03月14日東京地方裁判所[平成25(ワ)26251]

被告折り図から本件折り図の表現上の本質的特徴を直接感得することができないのであるから,被告による被告折り図の作成及び本件ホームページへの掲載行為は,同一性保持権及び氏名表示権のいずれの侵害にも当たらない。
平成23年05月20日東京地方裁判所[平成22(ワ)18968]

複製にも翻案にも当たらない著作物は,同一性保持権を侵害するものでもない。
平成20年06月11日東京地方裁判所[平成19(ワ)31919]

本件各カタログ中の本件各作品部分が本件各作品の著作物としての本質的な特徴、すなわち思想、感情の創作的な表現部分を有するものではなく、本件各カタログが本件各作品の複製物であるとも、その翻案に係る二次的著作物であるともいえないことは上記のとおりであるから、亡Aの氏名表示権及び同一性保持権は本件各カタログに及ばないというべきである。
平成11年10月27日東京地方裁判所[平成10(ワ)14675]≫

2論文は第1論文の創作的表現を有形的に再製したものではなく,その複製とはいえず,第1論文の本質的特徴を直接感得させるものではなく,その翻案ともいえないものであって,同様の理由から,被告の上記行為は,第1論文の同一性保持権及び公表権を侵害したものということはできない
平成22年05月27日知的財産高等裁判所[平成22(ネ)10004]

著作権法によって保護されるのは、思想又は感情の創作的な表現であり、思想でもアイデアでも事実でもない。したがって、学術研究における実験の結果やそこから得られた知見といった、学術研究の成果そのものは、著作権法による保護の対象とはならないものである(勿論、学術研究の成果を他者が盗用し、自らのものとして発表するような行為は、それ自体、一般の不法行為となり得る場合もあるであろうけれども、著作権法が保護するのは表現自体であるから、表現そのものを盗用しない限り、著作権法上の権利を侵害するものとはならない。)。
したがって、被告が被告論文を作成し、発表したことが、原告論文についての原告の著作者人格権としての氏名表示権及び同一性保持権を侵害したものであるか否かを判断するためには、原告論文と被告論文の表現を比較すべきものであって、そこに記載されている研究の過程や成果についての内容を比較すべきものではない。
平成16年11月04日大阪地方裁判所[平成15(ワ)6252]

被告論文に,原告論文に記載されているのと同一の自然科学上の知見が記載されているとしても,自然科学上の知見は表現それ自体ではないから,このことをもって直ちに被告論文が原告論文の複製又は翻案であるとはいえず,原告の著作者人格権が侵害されたということもできない。被告が被告論文を作成し,発表したことが,原告論文についての原告の著作者人格権としての氏名表示権ないし同一性保持権を侵害したものであるか否かを判断するためには,原告論文の表現と被告論文の表現とを対比するのが相当であって,両論文に記載されている自然科学上の知見,すなわち研究の過程や成果についての内容を対比すべきものではない。
平成17年04月28日大阪高等裁判所[平成16(ネ)3684]

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