[e064]著作者の判断基準

法は,2条1項1号において,「著作物」とは,「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義し,これを受け,同項2号において,「著作者」とは,「著作物を創作する者をいう。」と定義しているところ,思想又は感情を創作的に表現し得るのは自然人のみであるから,元来,著作者となり得るのは自然人である。
平成18年12月26日知的財産高等裁判所[平成18(ネ)10003]

著作権の原始的な帰属主体は,上記のとおり,著作者である(著作権法17条)から,客観的に著作者としての要件を満たさない者について,著作権が原始的に帰属することはあり得ず,仮に,当事者間において,著作者でない者につき著作権が原始的に帰属する旨の合意が成立したとしても,そのような合意の効力を認めることはできないと解さざるを得ない。
平成16年03月31日東京高等裁判所[平成16(ネ)39]

著作権法は、思想又は感情の創作的な表現の保護を目的とし、その創作的な表現を行った者を著作者とするものであるから(著作権法2条1項1号、2号)、著作者を認定するに際しては、その思想、感情、アイデア、事実等の表現それ自体でない部分に着目するのではなく、それらを誰が創作的に表現したかが問題となる。
平成14年12月10日大阪地方裁判所[平成13(ワ)5816]

著作者が企画案ないし構想を提供する第三者の進言により、はじめて著作を決意し、その協力により著作物を完成するという経過をたどることは、決して稀ではなく、その場合進言をした第三者が当然に著作権者となるものではない。
平成4年01月21日東京高等裁判所[昭和63(ネ)4174]≫

著作物として保護されるべきは、著作物から読み取ることのできる建築思想(アイデア)ではなく、その表現形式自体であるから、著作権者がアイデアの発案者である必要はないのである。
平成12年03月08日名古屋地方裁判所[平成4(ワ)2130]≫

写真集の題名を発案,決定することは著作物自体の創作とは異なるから,これに関与したということだけでは本件写真集を創作したということはできない。
平成19年01月31日横浜地方裁判所[平成16(ワ)3460]≫

著作者とは「著作物を創作する者」をいい(著作権法2条1項2号)、現実に当該著作物の創作活動に携わった者が著作者となるのであって、作成に当たり単にアイデアや素材を提供した者、補助的な役割を果たしたにすぎない者など、その関与の程度、態様からして当該著作物につき自己の思想又は感情を創作的に表現したと評価できない者は著作者に当たらない。そして、本件において原告らがその著作物であると主張する原告記事のように、文書として表現された言語の著作物の場合は、実際に文書の作成に創作的に携わり、文書としての表現を創作した者がその著作者であるというべきである。
平成10年10月29日東京地方裁判所[平成7(ワ)19455]≫

原告記事は、その体裁上、原告個人らの発言を主たる内容として構成されているところ、インタビュー等の口述を基に作成された雑誌記事等の文書については、文書作成への関与の態様及び程度により、口述者が、文書の執筆者とともに共同著作者となる場合、当該文書を二次的著作物とする原著作物の著作者であると解すべき場合、文書作成のための素材を提供したにすぎず著作者とはいえない場合などがあると考えられる。すなわち、口述した言葉を逐語的にそのまま文書化した場合や、口述内容に基づいて作成された原稿を口述者が閲読し表現を加除訂正して文書を完成させた場合など、文書としての表現の作成に口述者が創作的に関与したといえる場合には、口述者が単独又は文書執筆者と共同で当該文書の著作者になるものと解すべきである。これに対し、あらかじめ用意された質問に口述者が回答した内容が執筆者側の企画、方針等に応じて取捨選択され、執筆者により更に表現上の加除訂正等が加えられて文書が作成され、その過程において口述者が手を加えていない場合には、口述者は、文書表現の作成に創作的に関与したということはできず、単に文書作成のための素材を提供したにとどまるものであるから、文書の著作者とはならないと解すべきである。
平成10年10月29日東京地方裁判所[平成7(ワ)19455]≫

著作者とは「著作物を創作する者」をいう(著作権法2条1項2号)。創作する者とは,当該作品の形成に当たって,その者の思想,感情を創作的に表現したと評価される程度の活動をすることをいう。当該作品の形成に当たって,必要な資料を収集,整理をしたり,助言,助力をしたり,アイデア,ヒントを提供したり,できあがった作品について,加除,訂正をしたりすることによって,何らかの関与をした場合でも,その者の思想,感情を創作的に表現したと評価される程度の活動をしていない者は,創作した者ということはできない。
平成16年02月18日東京地方裁判所[平成14(ワ)27550]≫

本件絵本の創作的表現の核心部分が、扱うテーマやストーリーを構想し、これを具体的に表現する絵柄やその配置、配色の決定及び文字記述部分にあり、これらを創作した者が著作者たり得るものであって、単に決められた色を塗ったり、輪郭線の仕上げをするに止まる場合は、単なる補助作業であって著作物の創作行為とは評価できない(。)
平成11年11月17日東京高等裁判所[平成10(ネ)2127]

請負契約に基づき外部の独立した請負人によって著作物が作成された場合、その著作者は、特別の事情がない限り、請負人であると解されるのであり、このことは請負人が法人である場合にも妥当するものである(。)
平成15年07月10日東京高等裁判所[平成15(ネ)546]

本件各銅像のようなブロンズ像は,塑像の作成,石膏取り,鋳造という3つの工程を経て制作されるものであるが,その表現が確定するのは塑像の段階であるから,塑像を制作した者,すなわち,塑像における創作的表現を行った者が当該銅像の著作者というべきである。
平成18年02月27日知的財産高等裁判所[平成17(ネ)10100等]≫

上記デジタルワーク作業において,浮世絵画像の制作当時の色彩や技巧を再現するには,年月の経過による損傷や汚れを単に機械的に除去する技術だけではなく,浮世絵特有の色使いや様々な技巧についての作業者の造詣をも活用することが不可欠であることが認められる。このような作業者の造詣の内容(この中に,作業者の思想や感情が含まれることは,当然である。)によって,デジタルワーク作業の結果に,作業者の個性が表われることは明らかであるから,デジタルワーク後の画像自体には,創作性があり,その限度で著作物性が認められるというべきである。
平成14年12月10日東京高等裁判所[平成13(ネ)5284]

被控訴人はA流において絶大な地位を占めており,同派は被控訴人の個人組織であるといっても過言ではなかったものであるところ,作品の振付においても,その関与の程度に濃淡はあるものの,同派の名を冠した作品については,少なくとも最終段階では被控訴人が総監督として必ずこれをチェックし,被控訴人の了承なしに発表することはなかったのであるから,被控訴人が特に他の者の著作権とすることを了承したとか,その作品の完成のいずれの段階にもまったく関与しなかった等特段の事情がある場合を除いては,A流として振り付けられた作品の著作権は被控訴人に帰属すると解するのが相当である。
平成14年12月26日福岡高等裁判所[平成11(ネ)358]

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