[e074]46条の意義と解釈

46条柱書は,美術の著作物で「その原作品が街路,公園その他の一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所」に「恒常的に設置されているもの」は,所定の場合を除き,いずれの方法によるかを問わず,利用することができる旨を規定し,屋外の場所に恒常的に設置された美術の著作物について,一定の例外事由に当たらない限り公衆による自由利用を認めている。同規定の趣旨は,美術の著作物の原作品が,不特定多数の者が自由に見ることができるような屋外の場所に恒常的に設置された場合,仮に,当該著作物の利用に対して著作権に基づく権利主張を何らの制限なく認めることになると,一般人の行動の自由を過度に抑制することになって好ましくないこと,このような場合には,一般人による自由利用を許すのが社会的慣行に合致していること,さらに,多くは著作者の意思にも沿うと解して差し支えないこと等の点を総合考慮して,屋外の場所に恒常的に設置された美術の著作物については,一般人による利用を原則的に自由としたものといえる。
平成13年07月25日東京地方裁判所[平成13(ワ)56]≫

同条【注:著作権法46条柱書】所定の「一般公衆に開放されている屋外の場所」又は「一般公衆の見やすい屋外の場所」とは,不特定多数の者が見ようとすれば自由に見ることができる広く開放された場所を指すと解するのが相当である。原告作品が車体に描かれた本件バスは,市営バスとして,一般公衆に開放されている屋外の場所である公道を運行するのであるから,原告作品もまた,「一般公衆に開放されている屋外の場所」又は「一般公衆の見やすい屋外の場所」にあるというべきである。
平成13年07月25日東京地方裁判所[平成13(ワ)56]≫

同条【注:著作権法46条柱書】所定の「恒常的に設置する」とは,社会通念上,ある程度の長期にわたり継続して,不特定多数の者の観覧に供する状態に置くことを指すと解するのが相当である。原告作品が車体に描かれた本件バスは,特定のイベントのために,ごく短期間のみ運行されるのではなく,他の一般の市営バスと全く同様に,継続的に運行されているのであるから,原告が,公道を定期的に運行することが予定された市営バスの車体に原告作品を描いたことは,正に,美術の著作物を「恒常的に設置した」というべきである。
平成13年07月25日東京地方裁判所[平成13(ワ)56]≫

確かに,同規定【注:著作権法46条】が適用されるものとしては,公園や公道に置かれた銅像等が典型的な例といえる。しかし,不特定多数の者が自由に見ることができる屋外に置かれた美術の著作物については,広く公衆が自由に利用できるとするのが,一般人の行動の自由の観点から好ましいなどの同規定の前記趣旨に照らすならば,「設置」の意義について,不動産に固着されたもの,あるいは一定の場所に固定されたもののような典型的な例に限定して解する合理性はないというべきである。
平成13年07月25日東京地方裁判所[平成13(ワ)56]≫

46条4号は,「専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し,又はその複製物を販売する場合」には,一般人が当該美術の著作物を自由に利用することはできない旨規定する。同規定は,法46条柱書が,前記のとおり,一般人の行動に対する過度の制約の回避,社会的慣行の尊重及び著作者の合理的意思等を考慮して,一般人の著作物の利用を自由としたことに対して,仮に,専ら複製物の販売を目的として複製する行為についてまで,著作物の利用を自由にした場合には,著作権者に対する著しい経済的不利益を与えることになりかねないため,法46条柱書の原則に対する例外を設けたものである。
そうすると,法46条4号に該当するか否かについては,著作物を利用した書籍等の体裁及び内容,著作物の利用態様,利用目的などを客観的に考慮して,「専ら」美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し,又はその複製物を販売する例外的な場合に当たるといえるか否か検討すべきことになる。
平成13年07月25日東京地方裁判所[平成13(ワ)56]≫


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