[e080]映画の著作物性(個別事例)

原判決が適法に確定した事実関係の下においては,本件各ゲームソフトが,著作権法2条3項に規定する「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され,かつ,物に固定されている著作物」であり,同法10条1項7号所定の「映画の著作物」に当たるとした原審の判断は,正当として是認することができる。
平成14年4月25日最高裁判所第一小法廷[平成13(受)952等]
【コメント】
以下、「原判決」平成13年03月29日大阪高等裁判所[平成11(ネ)3484]≫の判示:
本件各ゲームソフトは、アニメーション映画におけるのと同様、ショットの構成やタイミング、カメラワークを含む作品成立にかかわるすべての表現要素をまとめた編集行為が絵コンテ段階で行われ、プレイヤーの操作・選択による変化をも織り込んで、著作者の意図を創作的に表現する編集行為が存在しているのであり、プレイヤーによる操作を前提としつつ、これを想定した上で著作者がいかに見せるかという観点から視聴覚的効果を創作的に表現しているというべきであって、前記引用にかかる原判決記載のとおり、本件各ゲームソフトは、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的方法で表現され、かつ、創作性があって著作物性を有し、右表現がプログラム化されてCD-ROMに収録されて固定されているから、映画の著作物に該当するというべきである。

本件ゲームソフトが再生機器を用いてモニターに各場面に応じて(連続的ではないとしても)変化する影像を映し出し、登場人物が当該場面に相応しい台詞を述べて一定のストーリーを展開している点で、本件ゲームソフトは右にいう「映画の著作物」に該当するものということができる(本件ゲームソフトのプログラムとデータがすべてCD-ROMに保存されモニターを通じて再生される以上、「物に固定されている」との要件を欠くものではない。)。
また、本件ゲームソフトのプログラムはコンピュータに対する指令を組合わせたものとして表現したものを含むものと認められるから、同法10条1項9号にいう「プログラムの著作物」にも該当する
そして、本件ゲームソフトにおいては、データに保存された影像や音声をプログラムによって読み取り再生した上、プレイヤーの主体的な参加によって初めてゲームの進行が図られる点で、「映画の著作物」と「プログラムの著作物」とが単に併存しているにすぎないものではなく、両者が相関連して「ゲーム映像」とでもいうべき複合的な性格の著作物を形成しているものと認めるのが相当である。
平成11年04月27日大阪高等裁判所[平成9(ネ)3587]

本件著作物は、いわゆるシミュレーションソフトの分野に属するゲームソフトであり、ユーザーの思考の積重ねに主眼があるものということができ、そのプログラムによって表されるディスプレイ上の影像の流れを楽しむことに主眼をもっているものでないということができる。そして、本件著作物におけるプログラムはフロッピーディスクに記憶されてユーザーに供給されており、その中には影像及び効果音に関するプログラムのみならず、シミュレーションに関するプログラムも含まれていることからすれば、ディスプレイに現れる影像及び効果音に関するデータ容量は極めて限られたものとなっていることが明らかである。影像も連続的なリアルな動きを持っているものではなく、静止画像が圧倒的に多い。本件ゲームで動画画像が用いられているのは、軍事戦争場面など一部にとどまり、軍事戦争における戦闘シーン、一騎討ちシーンなどの個々の影像も、右のようにフロッピーディスクに収容できる程度のデータ内容及びプログラムで動作させるため、定型データを利用するものとなっていて、同じ内容の定型的な画像及び効果音がたびたび現れるものにとどまっている。そして、本件ゲームにおいては、ユーザーがシミュレーションにより思考を練っている間は、静止画の画面構成の前で思考に専念できるよう配慮されているものというべきである。
以上の事実関係からみれば、本件ゲームは、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現されているものとは認められず、本件著作物が、映画ないしこれに類する著作物に該当するということはできない。
平成11年03月18日東京高等裁判所[平成7(ネ)3344]

証拠によれば,本件各ビデオ映像は,仏法の実践による信仰体験を紹介する目的で,社会で活躍する芸能人が,仏法を実践して芸能界で活躍するに至った信仰体験を語る様子を撮影した動画映像であること,本件各ビデオ映像の製作に当たっては,上記目的に沿って,出演者らの自然で的確な発言が引き出されるように進行を工夫した内容の台本が作成され,出演者の表情等が現れるように被写体が選択され,アングルや光量が調整されて撮影が行われ,さらに,上記目的に沿う場面を選択して編集がされた上に,色調や音声の補正がされたり,BGMやナレーションが組み込まれたりといった加工が施されたことが認められる。このような本件各ビデオ映像は,出演者らが信仰体験を語る様子が視聴者に臨場感をもって伝わるように,脚本の内容や,被写体の選択,撮影方法に工夫がこらされ,出演者の信仰体験を短時間で効果的に紹介できるように編集・加工がされたものということができるから,思想又は感情を創作的に表現したものであると認められる。
本件各ビデオ映像は,上記認定事実からして映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で作成されたものであるところ,証拠によれば,ビデオテープ(磁気テープ)に固定されたものであると認められるから,映画の著作物(著作権法2条3項)に該当すると認めるのが相当である。
平成25年10月25日東京地方裁判所[平成25(ワ)15969]

本件ケーズCM原版が映画の著作物であるかについて検討するに,本件ケーズCM原版は,テレビCMの原版(新店舗名部分が空白の原版)であり,これを使用して新たなテレビCM(新店舗名を挿入した完成版)の制作ができるものであって,新店舗名部分の挿入がなくともそれ自体で特徴のある表現を有するものと認められることに照らすと,映像が動きをもって見えるという効果を生じさせる方法で表現され,ビデオテープ等に固定されており,創作性を有すると認めるのが相当である。
そうすると,本件ケーズCM原版は,映画の効果に類似する視覚的又は視聴的効果を生じさせる方法で表現され,かつ,物に固定されている著作物であるから,映画の著作物(著作権法2条3項)であると認められる。
平成23年12月14日東京地方裁判所[平成21(ワ)4753]

前提となる事実に加え,(証拠等)によると,著作物3は,「THE MACKSHOW」の活動初期のライブの映像を収録したDVDであり,Yの発意・方針に基づき,関係者への配布を目的として製作されたこと,映像は,ライブハウスに設置された固定カメラにより撮影されているが,同カメラは,ステージ全体を捉えることのできる位置及び角度に設置されており,ステージ全体を正面から撮影したり,ステージ上の人物の移動に合わせて左右に角度を変えて撮影したり,望遠によりステージ上の人物を中心に撮影することができるものであること,著作物3は,上記バンドがライブにおいて楽曲を演奏する様子を撮影したライブ全体の映像で構成され,ライブの進行に応じて,ステージ全体を正面から撮影したり,特定のメンバーを中心に撮影したり,メンバーのステージ上の移動に伴いカメラの角度を変えて撮影するなどした映像から成っていること,著作物3の映像には,ライブの臨場感を損なわないため,特段の編集作業を施していないことがそれぞれ認められる。
したがって,著作物3の映像は,上記バンドのライブにおける演奏の様子が記録され,カメラワークや編集方針により,ライブ全体の流れやその臨場感が忠実に表現されたものとなっており,著作者であるYの個性が現れているということができるから,著作物性(創作性)を認めるのが相当である。
平成23年10月31日東京地方裁判所[平成21(ワ)31190]

本件におけるようなテレビ放映用のスポーツイベントの競技内容の影像は、競技そのものを漫然と撮影したものではなく、スポーツ競技の影像を効果的に表現するために、カメラワークの工夫、モンタージュやカット等の手法、フィルム編集等の何らかの知的な活動が行われ、創作性がそこに加味されているということができるから、本件における国際影像は知的創作性の要件を満たすと認められ(る。)
平成9年09月25日東京高等裁判所[平成6(行コ)69]

作品11番,26番及び68番は,いずれも,総合格闘技であるUFCの大会における試合を撮影した動画映像であり,各場面に応じて被写体(選手,観客,審判等)を選び,被写体を撮影する角度や被写体の大きさ等の構図を選択して撮影・編集され,映像に,選手等に関する情報等を文字や写真により付加する等の加工を加えたものである。このように,作品11番,26番及び68番は,試合の臨場感等を伝えるものとするべく,被写体の選択,被写体の撮影方法に工夫がこらされ,また,その編集や加工により,試合を見る者にとって分かりやすい構成が工夫されているものということができるのであって,思想又は感情を創作的に表現したものであると認められるから,映画の著作物に該当する
平成25年05月17日東京地方裁判所[ 平成25(ワ)1918]

本件動画(その前提となる本件生放送を含む。)は,原告が上半身に着衣をせず飲食店に入店し,店員らとやり取りするといった特異な状況を対象に,主として原告の顔面を中心に据えるという特徴的なアングルで撮影された音声付動画であって,一定の創作性が認められる。
また,前記判断の基礎となる事実記載のとおり,原告が利用したニコニコ生放送には,タイムシフト機能と称するサービスがあり,ライブストリーミング配信後もその内容を視聴することができたとされるから,本件生放送は,その配信と同時にニワンゴのサーバに保存され,その後視聴可能な状態に置かれたものと認められ,「固定」されたものといえる(法
2条3項)。
したがって,本件生放送の一部である本件動画は,「映画の著作物」(法
10条1項7号)に該当し,その著作者は原告と認められる。
平成25年06月20日大阪地方裁判所[平成23(ワ)15245]

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