[e087]出版権の侵害性

出版権者は,著作権者との間の契約で定めるところにより,頒布の目的をもって,その出版権の目的である著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利を専有する(著作権法80条)。
本件において,前記で認定したとおり,債権者扶桑社は債権者甲との間の契約により本件著作物の出版権を取得したが,その内容は本件著作物を原作のまま印刷し文書として複製するというものである。
他方,債務者道出版の出版に係る債務者書籍は,前記で認定したとおり本件著作物を翻案した部分を含むものであるが,本件著作物の複製物でないことは明らかである。
したがって,債権者扶桑社の出版権侵害を理由とする申立ては,理由がない。
平成13年12月19日東京地方裁判所[平成13(ヨ)22103]

出版権者は,設定行為で定めるところにより,頒布の目的をもって,その出版権の目的である著作物を,原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利を専有する(著作権法80条1項)。
したがって,被告が,原告の有する出版権を侵害したというためには,被告が,頒布の目的をもって,その出版権の目的である著作物を,原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製したことが必要である。
平成17年12月26日東京地方裁判所[平成17(ワ)10125]

原告会社の被告らに対する請求は,出版権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求であって,本件出版契約に基づく請求ではないから,被告らによる被告用紙の販売により原告会社の出版権に対する侵害が生じているか否かは,被告用紙が本件用紙を「原作のまま」(著作権法80条1項)複製したものといえるか否かによって判断すべきであって,被告用紙が本件用紙に単に類似しているというだけでは足りず,また,本件出版契約書第5条の「同一内容または著しく類似」といえるか否かとの基準によって判断すべきものでもない。
そして,「原作のまま」複製したものとは,出版権の対象である著作物をそのまま再現したものをいい,したがって,誤字・脱字・仮名遣い等を補正したにとどまるものを除き,当該著作物の内容を変更したものは,「原作のまま」複製したとはいえないものと解するのが相当である。
平成19年06月12日大阪地方裁判所[平成17(ワ)153等]

被控訴人エコ・パワーは,本件条例に従い,原判決別紙のとおり本件意見書を含む住民意見を抜粋ないし要約した記載のある本件評価書を作成し,これを福島県知事に送付するとともに,本件評価書を公告し,これを縦覧に供したものである。
このように,被控訴人エコ・パワーは,本件評価書において,原著作物である本件意見書を「頒布の目的をもって」複製しているものではないし,「原作のまま」複製したものでもない。そうすると,本件評価書の作成やその縦覧のための複製によって,本件意見書について出版権侵害は成立しないというべきである。
平成26年05月21日知的財産高等裁判所[平成25(ネ)10082]

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