[e102]短文・短い文章の著作物性

俳句が短文であるが言語著作物として認められることがあるとしても,17文字以上あれば常に創作性を認められるわけではない。一般的に,短文であればそれに応じて表現の選択の幅が狭くなり,ありふれた表現となりやすい。
平成28年6月29日知的財産高等裁判所[平成27(ネ)10042]

著作権法において保護の対象となるのは思想又は感情を創作的に表現したものであり(同法2条1項1号参照),思想や感情そのものではない。本件において本件原告記載と本件被告記載1及び2が表現上共通するのは「重力波と想定される」「波動による(もの)」との部分のみであるが,この部分はEMの効果に関する原告の学術的見解を簡潔に示したものであり,原告の思想そのものということができるから,著作権法において保護の対象となる著作物に当たらないと解するのが相当である。
平成28年4月28日東京地方裁判所[ 平成27(ワ)18469]
【コメント】
控訴審平成28年11月10日知的財産高等裁判所[平成28(ネ)10050]≫も同旨:『本件においては,本件控訴人記載と本件被控訴人記載1及び2とは,表現上「重力波と想定される」,「波動による(もの)」との部分が共通性を有するといえる。そして,上記共通性を有する部分は,EMの効果に関する控訴人の自然科学上の学術的見解を簡潔に示したものであり,控訴人の思想そのものであって,思想又は感情を創作的に表現したものとはいえないから,著作権法において保護の対象となる著作物に当たらないと解するのが相当である。』

「JR中央線・総武線で東京から、特別快速24分、(中略)地下鉄東西線(総武線に乗入れ)で11分。」という記述のように、誰が記載しても異なった記述になり得ないものは、これを選択したことについても、表現形式においても創作性があるものとはいえず、著作物性を認めることができない。
平成13年01月23日東京地方裁判所[平成11(ワ)13552]

まず,測定テストで利用された本件50問の個々の質問文に著作物性が存在するかを検討すると,1つ1つの質問文は,いずれも前述のとおり短文である上,一般的かつ日常的でありふれた表現が用いられており,特徴的な言い回しがあるとも認められない。
(略)
したがって,本件
50問の個々の質問文の表現に,作者の個性が表出されているとは認められないから,創作性は認められない。著作権法は表現を保護するものであって,思想やアイディアを保護するものではないから,いずれの質問文の表現にも創作性が認められない以上,著作物性は認められない。
そして,個々の質問文に著作物性が認められない以上,これらの独立した質問文を80問集めたものであるQシートの質問文全体についても,それが編集著作物として著作物性を認められるかどうかという点を別にすると,著作物性は認められない。
平成14年11月15日東京地方裁判所[平成14(ワ)4677]
【コメント】
本件で問題となった「Qシート」中の質問文は、いずれも最小5文字、最大34文字の短文で、疑問文ではなく、肯定文又は否定文であり(以下の例を参照)、これに対し、「はい」・「?」・「いいえ」で回答する欄が作成されていました。
(質問文の例)
「燃えやすく,冷めやすい」
「少数派になるより,多数派でいることの方が好き」

「感謝」,「感激」,「感動」という言葉は,いずれもありふれた表現であり,このように韻を踏んで単語を並べることも特別に個性的な表現方法であるということはできず,これのみによって表現上の創作性を認めることはできず,これを著作物ということはできない。
平成19年08月30日東京地方裁判所[平成18(ワ)5752]

(原告表現と被告表現)において共通するのは,「たった1枚の名刺でキーマンを虜にする」との表現であるが,これは平凡な表現によりなる短文であり,これに創作性を認めることはできない。
平成20年02月12日知的財産高等裁判所[平成19(ネ)10079]

原告が独自に創作したと主張する歌詞は,「いっぽんといっぽんでにんじゃになって」,「さんぼんとさんぼんでねこさんになって」,「よんほんとよんほんでたこさんになって」,「ごほんとごほんでとりさんになっておそらにとんでった」というものであり,既存の歌詞から1本と1本で「にんじゃ」,3本と3本で「ねこさん」,4本と4本で「たこさん」,5本と5本で「とりさん」と置き換えた部分に創作性があるというものである。
そこで検討するに,原告主張の上記歌詞は,左右の手の指の本数を組み合わせて動物等の動作を一節で表現する手あそび歌である「いっぽんといっぽんで」の趣旨に沿った歌詞の一部であり,1本と1本の指を組み合わせて「忍者」,3本と3本の指を組み合わせて「猫」,4本と4本の指を組み合わせて「たこ」,5本と5本の指を組み合わせて「鳥」というアイデアが決まれば,忍者を「にんじゃ」,「猫」を「ねこさん」,「たこ」を「たこさん」,「鳥」を「とりさん」とそれぞれ表現することは,ありふれたものであると認められる。
(略)
したがって,原告主張の上記歌詞は,創作性を有する著作物であるものと認めることはできない。
平成21年08月28日東京地方裁判所[平成20(ワ)4692]

文A【注:「左右小数の方で計算し支払いを決める。」というもの】の言語の著作物としての創作性についてみても,文Aは極めて短い1文であり,かつ,一般に使用されるありふれた用語で表現されたものにすぎない。人数が少ないことを「小数」と表現している点についても,「小数」の用語自体は「小さい数。わずかな数。」(広辞苑第6版)を意味するから,当該用語を通常の意味で用いたにすぎず,何ら創作性ある表現とは認められない。
したがって,文Aに言語の著作物としての創作性を認めることはできない。
平成23年06月10日東京地方裁判所[平成22(ワ)31663]

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