[e114]侵害とみなす行為(1項関係

控訴人学院は,遅くとも,一審判決正本が送達された平成14年4月中旬ころまでには,本件書籍1が本件複製権を侵害する行為によって作成された物であることを知ったから,これを販売,頒布する行為は,本件著作物の複製物の知情頒布行為として本件著作権を侵害する行為とみなされる。控訴人らは,本件訴訟において本件著作権の侵害が争われている以上,判決確定前に一審判決正本の送達により著作権法113条1項2号所定の「情を知って」の要件が充足されるものではないと主張するが,本件書籍1の印刷,出版が本件複製権の侵害に当たるとする一審判決が送達されれば,遅くともそのころまでには,控訴人学院について「情を知って」の要件が充足されたと認められる
平成15年07月18日東京高等裁判所[平成14(ネ)3136]

控訴人による頒布の差止めについては,著作権法113条1項2号の適用があるとしても,遅くとも控訴人に対し原判決書が送達されたことにより同号の「情を知つて」の要件を満たすことになると認められるので,被控訴人は,著作権法113条1項2号,112条1項に基づいて,その頒布の差止めを求めることができる
平成20年07月30日知的財産高等裁判所[平成19(ネ)10082]

著作権法113条1項2号の「情を知って」とは,取引の安全を確保する必要から主観的要件が設けられた趣旨や同号違反には刑事罰が科せられること(最高裁平成7年4月4日第三小法廷決定参照)を考慮すると,単に侵害の警告を受けているとか侵害を理由とする訴えが提起されたとの事情を知るだけでは,これを肯定するに足らず,少なくとも,仮処分,判決等の公権的判断において,著作権を侵害する行為によって作成された物であることが示されたことを認識する必要があると解される(。)
平成22年08月04日知的財産高等裁判所[平成22(ネ)10033]

著作権法113条1項2号は、著作権侵害行為、著作者人格権侵害の行為や著作権法60条の規定に違反する行為によって作成された物がいったん流通過程に置かれた後に、それを更に転売・貸与する者を全部権利侵害とすることには問題があるために、その場合に限って「情を知って」との要件を付加しているものと解すべきであり、控訴人らは、本件各手紙を本件書籍に掲載して出版した当の本人であって、物がいったん流通過程に置かれた後に、それを更に転売・貸与する者ではないから、控訴人らの行為は、同法113条1項2号にいう「頒布」の問題として扱われるべき事柄ではないというべきである。
控訴人らは、本件各手紙を本件書籍に掲載して出版行為をすること自体が許されなかったのであるから、右違法な行為によって自らが作成した物を自ら頒布することもまた許されないことは、むしろ自明である。すなわち、本件各手紙を本件書籍に掲載して出版したうえで頒布するという控訴人らの一連の行為全体が、全部であれ一部であれ、複製権を侵害する行為及び著作権法
60条の規定に違反する行為に該当するというべきである。
平成12年05月23日東京高等裁判所[平成11(ネ)5631]

著作権法113条1項2号は、著作者人格権侵害の行為等によって作成された物がいったん流通過程に置かれた後に、それを更に転売・貸与する行為を全部権利侵害とすることには問題があるために、その場合に限って「情を知って」との要件を付加しているものと解すべきであり、被控訴人会社は、被控訴人写真を上記カタログに掲載して発行した当の本人であって、物がいったん流通過程に置かれた後に、それを更に転売・貸与する者ではないから、被控訴人会社の行為は、同法113条1項2号にいう「頒布」の問題として扱われるべき事柄ではないというべきである。被控訴人会社は、被控訴人写真を上記カタログに掲載して発行すること自体が許されなかったのであるから、その違法な行為によって自らが作成した物を自ら頒布することもまた許されないことは、むしろ自明である。すなわち、被控訴人写真を被控訴人カタログに掲載して発行及び頒布するという控訴人会社の一連の行為全体が、全部であれ一部であれ、同一性保持権侵害の行為に該当するというべきである。
平成13年06月21日東京高等裁判所[平成12(ネ)750]

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