[e119]建築物の侵害性

右規定【注:複製に建築に関する図面に従って建築物を完成することを含む旨規定する著作権法2条1項15号ロの規定】は、思想又は感情を創作的に表現したものであって学術又は美術の範囲に属するものであれば、建築物はそれ自体が著作物と認められる(著作権法10条1項5号)から、それと同一性のある建築物を建設した場合はその複製になる関係上、その建築に関する図面に従って建築物を完成した場合には、その図面によって表現されている建築の著作物の複製と認めることにするものである(。)
平成4年04月30日大阪地方裁判所[昭和61(ワ)4752]≫

設計図に従って建物を建築することが「複製」となるのは、「建築の著作物」(同法10条1項5号)についてである。すなわち「建築の著作物」とは(現に存在する建築物又は)設計図に表現されている観念的な建物自体をいうのであり、そしてそれは単に建築物であるばかりでなく、いわゆる建築芸術と見られるものでなければならない。
債権者は、本件設計図が図面の著作物(6号)に該当することから、直ちに本件建物の建築行為が、「複製」権の侵害となるとするものであるが、上述来説示のように、本件設計図に表現されている観念的な建物が「建築の著作物」に該当しないかぎり本件建物の建築行為は「複製」権の侵害とはならない。
平成3年04月09日福島地方裁判所[平成2(ヨ)105]≫

建築に関する図面に従って建物を建築する場合、その建築行為は建築設計図の複製ではなく、建築設計図書により表現された建築の著作物の複製となるところ(著作権法2条1項15号ロ参照)、著作権法にいう「建築の著作物」(同法10条1項5号)とは、すべての建築物を対象とするものではなく、美術の著作物と評価され得るような美的創作性を有する建築物を意味するものと解される。原告企画書及び原告改良企画書中の建築設計図書により表現された建築物は、本来、大型スーパーマーケット及び中高層マンションの併存建物という実用的な建物であり、右のような意味で、著作権法上保護の対象とされるべき建築の著作物と認め得るか疑問である。
平成12年08月24日大阪地方裁判所[平成11(ワ)3635]≫

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