[e127]38条の意義と解釈

著作権法38条1項は非営利かつ無料の著作物の上映、演奏などを原則自由としているが、スナックなどの社交場等における利用は、営利目的のものと認められるから、これらの規定の適用もない。
平成6年03月17日大阪地方裁判所[昭和63(ワ)6200]≫

被告らは,本件各施設における音楽著作物の再生は,営利性を欠くと主張するところ,法は,公表された著作物につき,①営利を目的とせず,②聴衆等から料金を受けない場合には,著作権に服することなく公に演奏等を行うことができる旨規定する(法38条1項)。これは,公の演奏等が非営利かつ無料で行われるのであれば,通常大規模なものではなく,また頻繁に行われることもないから,著作権者に大きな不利益を与えないと考えられたためである。このような立法趣旨にかんがみれば,著作権者の許諾なくして著作物を利用することが許されるのは,当該利用行為が直接的にも間接的にも営利に結びつくものではなく,かつ聴衆等から名目のいかんを問わず,当該著作物の提供の対価を受けないことを要すると解すべきである。
しかるところ,被告らが,本件各施設におけるダンス教授所において,受講生の資格を得るための入会金とダンス教授に対する受講料に相当するチケット代を徴収していることは前記のとおりであり,これらはダンス教授所の存続等の資金として使用されていると考えられるところ,ダンス教授に当たって音楽著作物の演奏は不可欠であるから,上記入会金及び受講料は,ダンス教授と不可分の関係にある音楽著作物の演奏に対する対価としての性質をも有するというべきである。
平成15年02月07日名古屋地方裁判所[平成14(ワ)2148]

管理著作物であっても,営利を目的とせず,かつ,聴衆又は観衆から料金を受けない場合には,公に演奏することができるが,実演家に対し報酬が支払われる場合はこの限りではない(著作権法38条1項)。しかし,本件店舗におけるピアノ演奏については,前記において説示したとおり,1審被告がピアノ演奏を利用して本件店舗の雰囲気作りをしていると認められる以上,それによって醸成された雰囲気を好む客の来集を図っているものと評価できるから,営利を目的としないとはいえない。
平成20年09月17日大阪高等裁判所[平成19(ネ)735]

1審被告は,著作権法38条1項は,非営利行為を著作権侵害に当たらないとするものであり,営利行為とは金銭の授受を伴う有償行為をいうと主張する。
しかし,同項は,同法22条が著作権の支分権として上演権・演奏権を規定することを前提に,「公表された著作物は,営利を目的とせず,かつ,聴衆又は観衆から料金(いずれの名目をもつてするかを問わず,著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には,公に上演し,演奏し,上映し,又は口述することができる。ただし,当該上演,演奏,上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は,この限りでない。」と定めるから,演奏に営利目的があれば,聴衆から料金を受けず,又は実演家に報酬が支払われない場合でも,同項の対象外であることは文言上明らかである。そうすると,「営利を目的」とするとは,演奏が直接的に対価(金銭の授受等)を伴わず,間接的に営利を目指している場合をも含むと解するほかない。よって,1審被告の上記主張は失当である。
平成20年09月17日大阪高等裁判所[平成19(ネ)735]

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