[e129]共有著作権の行使

【他の共有者の侵害行為性】

旧著作権法上、共有に係る著作権の行使はその共有者全員の合意によらなければ行使することができないものと解されるから、他の共有者との合意によらないでした共有者の共有に係る著作権の行使は、他の共有者の持分権を侵害するものというべきである。そうすると、被告の右行為は、原告が本件映画について有する持分2分の1の著作権を侵害するものというべきである。
昭和52年02月28日東京地方裁判所[昭和44(ワ)1528]
【コメント】
本件は旧著作権法が適用された事例ですが、現行法においても通用する考え方を含んでいます。

共同著作者の一人であるからといって,共同著作者中の他の者が単独で著作するものとされている部分につき,その内容を改変することが許されるものではない(。)
平成14年12月10日東京高等裁判所[平成13(ネ)5284]

原告の許諾なく、本件書籍を複製、翻案した本件教材を制作、販売、本件教材を利用した本件通信教育を実施することは、原告の本件書籍に係る著作権を侵害するものといえる。このことは、共同著作者である被告Bによってなされた行為についても同じである(著作権法65条2項)。
平成14年12月10日大阪地方裁判所[平成13(ワ)5816]

前記で認定した事実によれば、原告は、平成9年5月ころから、従業員に社外への口外を禁じた上でバージョン2の開発に着手し、平成10年6月、「スーパー土木」のバージョン2の販売を開始して本件ソフトウエアの販売を中止したこと、原告は、本件開発委託契約及び追加契約に基づく開発費の残代金400万円を現在も支払っておらず、被告イーウェーヴの追加開発費一部負担の要求にも応じないことが認められる。しかし、上記事実は、同被告が共有者間の合意に反して共有著作物である本件ソフトウエアの複製、販売を行ったことについて、原告が著作権法に基づきしかるべき法的措置を講ずることを権利の濫用として排斥する根拠にはなり得ない事情であり、被告らの権利濫用の主張は失当である(同被告は、本件開発委託契約に基づく報酬請求として、原告に開発費残代金及び追加開発費の支払を請求することが可能であり、自己負担分の開発費の回収名目で、他の共有者である原告の同意なく本件ソフトウエアを複製、販売することは、法の禁止する自力救済に他ならない。)。
平成14年08月29日大阪地方裁判所[平成11(ワ)965]
【コメント】
本件では、「原告と被告イーウェーヴの間では、平成9年7月25日に、本件ソフトウエアの著作権の持分を原告9、同被告1の持分の共有とすることを合意すると同時に、本件ソフトウエアの販売権を原告に独占させる合意が成立したものと認められる。」との認定がなされています。

【信義則違反】

上記のとおり,原告カタログが原告と被告会社の共同著作物であるとするなら,被告カタログも原告と被告会社との共同著作物であるというべきことになるところ,共同著作物であるなら,その著作権及び著作者人格権を行使するためには著作権法64条1項,同法65条1項により著作者全員の合意が必要であるということになるから,被告会社は,原告の合意なくしては,被告カタログの複製・頒布をすることが許されないということになりかねない。
しかしながら,上記認定した経緯のとおり,原告と被告会社は,保安用品の営業上の協力関係を構築し,そのなかで共同してカタログを作成して,作成者をことさらに明らかにすることなく(換言すれば,氏名表示権を行使することなく),それぞれの会社のカタログとの体裁で営業活動を行ってきたものであり,そのような著作物の利用は両者の了解事項であったと認められる。
そして,そもそも商品カタログは,もともと営業活動の手段としての性格を有するものであるから,原告と被告会社が営業上の協力関係を絶った後であったとしても,従前と同じ商品を取り扱うのなら,従前どおりの商品カタログを営業に用いることは当然であり,現に原告においても,基本的には同じ原告カタログを営業に用い続けている(被告会社が被告カタログの利用行為が許されないのなら,原告カタログの複製利用行為も許されないはずである。)というのであるから,以上のような事実関係のもとでは,原告と被告会社の関係の基礎となった取引関係が終了した後とはいえ,原告が被告会社に対して,その共同著作物の著作権者及び著作者人格権者としての権利を行使して,被告カタログの利用行為の差し止めを求めることは,信義則に照らし,許されないというべきである。
平成23年04月28日 大阪地方裁判所[平成21(ワ)7781]

【法65条関係】

同条【注:著作権法65条】2項は、共有著作権はその共有者全員の合意によらなければ行使することができない旨定め、3項で、各共有者は正当な理由がない限り共有著作権行使の合意の成立を妨げることができない旨規定するものであり、一部の共有者が合意を拒む場合に、それに正当な理由がないと他の共有者が判断すれば、他の共有者のみで著作権を行使しうるとの効果が同項の規定から生じるとは解されない。
平成4年08月27日大阪地方裁判所[平成2(ワ)2177]

上記のとおり,控訴人と被控訴人は,本件許諾契約の一内容として本件製品(1)そのものだけでなく,その二次的著作物についても,被控訴人が販売等,その管理をすることを合意し,同契約において,この合意は,当事者が解消の通知をしない限り,自動的に更新され存続するものとされている。
著作権法65条は,その2項において「共有著作権は,その共有者全員の合意によらなければ,行使することができない。」と定め,3項において「前2項の場合において,各共有者は,正当な理由がない限り,第1項の同意を拒み,又は前項の合意の成立を妨げることができない。」と定めている。
著作権法が上記のように定めている以上,本件許諾契約をその15条に基づき通知により解除する場合にも,解除により合意を消滅させるための正当な理由の存在が必要となると解すべきである。
平成15年03月13日東京高等裁判所[平成13(ネ)5780]
【コメント】
本件製品(1)の製作に関して,控訴人と被控訴人は,「ソフトウェア制作請負契約書」と題する契約書を交わし,次の条項を含む契約(本件許諾契約)を成立させていました:「12条1項 本件製品(判決注・本件製品(1)を指す。)の著作権は,甲(判決注・控訴人を指す。)・乙(判決注・被控訴人を指す。)が共同保有するものとする。 同条2項 本件製品の販売権は,乙に帰属するものとする。」

本件出版契約は,上記の記載によれば,共有に係る著作権の利用契約であるということができるところ,著作権法65条2項は「共有著作権は,その共有者全員の合意によらなければ,行使することができない。」と規定しているから,本件出版契約3条の更新条項に照らした場合に合意に対する消極的意思の表明とでもいうべき,著作権の共有者のうちの一人である被告P3がなした本件更新拒絶は,被告P3が共有著作権の過半数に達しない持分を有するにすぎない者であるけれども,本件出版契約の更新を妨げる効果を持ち得るものである。
しかし,著作権法
65条3項は,さらに「…各共有者は,正当な理由がない限り,…前項の合意の成立を妨げることができない。」と規定しているから,上記被告P3のした本件更新拒絶が有効であるといえるためには,その更新拒絶には著作権法65条3項にいう「正当な理由」があることが必要であると解される
平成23年11月24日 大阪地方裁判所(平成21(ワ)20132)

【法65条の類推適用の可否】

著作権法65条は、共有著作権の行使につき、共有者全員の合意によらなければ行使できないとしつつ(2項)、各共有者は、正当な理由がない限り、合意の成立を妨げることができない(3項)とも定めており、この法意は、漫画の物語作者と絵画作者との関係【注:これは原著作者と二次的著作者の関係に相当する】についても当てはまるものというべきであるから、その活用により妥当な解決を求めることも可能であろう。
平成12年03月30日東京高等裁判所[平成11(ネ)1602]

著作権法は,共同著作物(同法2条1項12号)と二次的著作物(同項11号)とを明確に区別した上,共同著作物については,著作者間に「共同して創作した」という相互に緊密な関係があることに着目し,各共有著作権者の権利行使がいたずらに妨げられることがないようにするという配慮から,同法65条3項のような制約を課したものと解される。これに対し,二次的著作物については,その著作者と原作者との間に上記のような緊密な関係(互いに相補って創作をしたという関係)はなく,原作者に対して同法65条3項のような制約を課すことを正当化する根拠を見いだすことができないから,同項の規定を二次的著作物の原作者に安易に類推適用することは許されないというべきである。
平成22年09月10日東京地方裁判所[平成21(ワ)24208]

【共有著作権行使における代表者の地位にないことの確認を求める請求の可否】

被告は本件訴えについて確認の利益を争う。しかし,①本件確認の対象は,被告が著作権法65条,64条所定の共有著作権行使の代表者の地位にあるか否かであって,現在の権利義務に関する争いである点は明らかであること,②被告は音楽著作権協会から受領した使用料のうちの原告の受領分を支払わないから,本件各契約を解除したとして,被告が上記地位にないことの確認を求めているものであるが,その主張の経緯に照らして,原告には,これを確認することにより,被告が上記原告受領分を代表して受領してしまうことを防ぐことができるなどの利益が存する点も明らかであることから,確認の利益を認めることができる。
平成13年09月05日東京地方裁判所(平成13(ワ)14743)

【法117条関係】

原告は、著作権法114条2項、117条に基づき、著作権の共有者持分の侵害に対する損害賠償請求をしているが、同法117条は、共有者相互間における損害賠償額の配分までも規律する趣旨ではなく、共有者が求め得る損害賠償額は、各共有者間の事情をも考慮して決せられるべきであると解するのが相当である。前記のとおり、原告と同被告との間では、平成9年7月25日、本件ソフトウエアの著作権の持分を原告9、同被告1の持分の共有とする合意が成立すると同時に、販売権を原告に独占させる合意が成立し、同被告が本件ソフトウエアの複製物を販売することは著作権侵害行為となるから、原告の本件ソフトウエアの著作権の持分割合を損害額の算定に当たって考慮すること(全損害額を共有持分の割合に従って按分すること)は、侵害者である同被告に利得を残すことになり、相当でない。したがって、原告は、同被告らに対し、同法114条2項によって算定される著作権侵害によって生じた全損害の額を請求し得ると解するのが相当である。
平成14年08月29日大阪地方裁判所[平成11(ワ)965]

共同編集者が共同編集著作物について有する編集著作者人格権の侵害によつて生じた精神的損害の賠償請求権は、編集著作者人格権そのものとは性質を異にする別個の権利(不法行為に基づく損害賠償請求権)であり、しかも、右請求権の発生の有無すなわち編集著作者人格権の侵害の有無は、前記のとおり各共同編集者につき個別に判断しうべきものであり、各共同編集者が被る精神的損害も、各人の社会的地位、編集に関与した度合、侵害行為の態様等によりそれぞれ異なるものであるから、共同編集者はそれぞれ自己の被つた精神的損害(のみ)の賠償を請求しうるものと解するのが相当である。したがつて、右精神的損害の賠償請求権は不可分債権であるとする原告の主張は採用しえない。
昭和55年09月17日東京地方裁判所[昭和44(ワ)6455]

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