[e132]42条の意義と解釈

本件LANシステムは,社会保険庁内部部局,施設等機関,地方社会保険事務局及び社会保険事務所をネットワークで接続するネットワークシステムであり,その一つの部分の設置の場所が,他の部分の設置の場所と同一の構内に限定されていない電気通信設備に該当する。したがって,社会保険庁職員が,平成19年3月19日から同年4月16日の間に,社会保険庁職員が利用する電気通信回線に接続している本件LANシステムの本件掲示板用の記録媒体に,本件著作物1ないし4を順次記録した行為(本件記録行為)は,本件著作物を,公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことを可能化したもので,原告が専有する本件著作物の公衆送信(自動公衆送信の場合における送信可能化を含む。)を行う権利を侵害するものである。
被告は,本件著作物については,まず,社会保険庁職員が複製しているところ,この複製行為は42条1項本文により複製権侵害とはならず,その後の複製物の利用行為である公衆送信行為は,その内容を職員に周知するという行政の目的を達するためのものなので,49条1項1号の適用はなく,原告の複製権を侵害しない,また,複製物を公衆送信して利用する場合に,その利用方法にすぎない公衆送信行為については,42条の目的以外の目的でなされたものでない以上,著作権者の公衆送信権侵害とはならない旨主張する。
しかし,社会保険庁職員による本件著作物の複製は,本件著作物を,本件掲示板用の記録媒体に記録する行為であり,本件著作物の自動公衆送信を可能化する行為にほかならない。そして,42条1項は,「著作物は…行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には,その必要と認められる限度において,複製することができる。」と規定しているとおり,特定の場合に,著作物の複製行為が複製権侵害とならないことを認めた規定であり,この規定が公衆送信(自動公衆送信の場合の送信可能化を含む。)を行う権利の侵害行為について適用されないことは明らかである。また,42条1項は,行政目的の内部資料として必要な限度において,複製行為を制限的に許容したのであるから,本件LANシステムに本件著作物を記録し,社会保険庁の内部部局におかれる課,社会保険庁大学校及び社会保険庁業務センター並びに地方社会保険事務局及び社会保険事務所内の多数の者の求めに応じ自動的に公衆送信を行うことを可能にした本件記録行為については,実質的にみても,42条1項を拡張的に適用する余地がないことは明らかである。なお,被告が主張する49条1項1号は,42条の規定の適用を受けて作成された複製物の目的外使用についての規定であるから,そもそも42条の適用を受けない本件について,49条1項1号を議論する必要はない。
平成20年02月26日東京地方裁判所[平成19(ワ)15231]

放送事業者は、同法98条により、「その放送に係る音又は影像を録音し、録画し、又は写真その他これに類似する方法により複製する権利を専有する」ものとされているが、その権利は、同法102条、42条によつて制限され、「裁判手続のために必要と認められる場合(中略)には、その必要と認められる限度において、複製することができる」ものとされているのであつて、本件テレビニュースの映像を録画し、写真によつて複製したことは、右の「必要と認められる限度」をこえるものでないことはもとより、前記のように本件映像が既に広く公衆に直接受信されたものであること並びに複製の部数及び態様に照らし、同法42条ただし書所定の、放送事業者の「利益を不当に害することとなる場合」にも当たるものでないことは明らかである。従つて、本件ビデオテープ等の作成が、放送事業者の著作権法上の権利を侵害するものとは言い得ない
昭和58年07月13日東京高等裁判所[昭和55(う)391]
【コメント】
上記の判示は、刑事裁判手続きのために司法警察員が作成した「テレビニュースの映像を録画したビデオテープ二巻及びその映像の一部を静止写真化したテレビニュース画面写真帳二冊」を原審が証拠として採用したことに対して、そのことが「番組製作者の著作権をも侵害する結果を招来している」のであるから原審には違法な採証があったなどという主張に対してなされたものです。

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