[e136]イラスト・絵画の著作物性

本件デザイン図は、原判決添付別紙図面のとおりのもので、装飾街路灯を街路に配置した完成予想図である。そして、全体としての構図や色彩、コントラスト等において絵画的な表現形式が取られているものの、右街路灯のデザインが街角でどのように反映するかをイメージ的に描いたものにすぎず、その表現も専ら街路灯デザインを引き立て、これを強調するにとどまっている。したがって、本件デザイン図は、それ自体、美的表現を追求し美的鑑賞の対象とする目的で製作されたものでなく、かつ、内容的にも、純粋美術としての性質を是認し得るような思想又は感情の高度の創作的表現まで未だ看取し得るものではないから、美術の著作物に当たるものとは認められない。
平成13年01月23日大阪高等裁判所[平成12(ネ)2393]≫

原告仏画2は,いずれも菩薩又は如来を描いた仏教絵画(仏画)であり,描かれる菩薩又は如来の種類に応じて,印相,衣装,装飾品,持物,光背,台座等につき,一定のルールが存在するものと認められる。しかし,例えば,普賢菩薩像又は普賢延命菩薩についてみても,その姿態,持物等について種々の表現がみられることからすれば,そのルールは厳格なものではなく,また,どの時代のどの宗派のものを想定するかによっても,その内容は異なり得るものであることがうかがわれる。そうすると,このように選択の幅がある中において,個々の仏画の具体的表現において,制作者の何らかの個性の発現が認められるものであれば,創作性を認めることができるものと解される。そして,上記創作性の構成要素としては,①絵画の構造的要素(菩薩又は如来とその周辺の台座,光背,背景等の位置関係,菩薩又は如来の姿態,印相,足の組み方・配置,持物の種類・配置,装飾品の形状・配置,着衣・光背・台座の形状等),②色彩,③菩薩又は如来の顔の表情等が考えられるところであるが,これらの要素のうち,どの点を創作性の要素として重視するかについては,描かれる対象である菩薩又は如来の種類等,個々の絵画の具体的表現の内容によって異なるものと考えられるところである。
平成24年12月26日東京地方裁判所[平成21(ワ)26053]

商品取扱説明書中の挿絵

(ア) 原告挿絵1について
原告挿絵1は,①本件商品である浮き輪を描いた絵に,②「上側」,「空気栓」及び「ベルト」との文字による指示説明を加えたものである。
上記①の絵は,本件商品の取扱説明書において,本件商品について説明するために,単に本件商品自体を描いたにとどまるものであり,その描き方には一定の選択肢があるとしても,当該目的・用途による制約が掛かるものである。上記絵は立体的な描き方をしているが,それ自体はありふれたものであるし,立体的に描く場合には,上記の目的・用途から,ある程度忠実に形状が分かりやすいように描く必要があると考えられるところ,上記絵の表現の仕方(技法等)はありふれており,個性の発揮は認められない。 上記②のとおり指示説明を加えることも,製品の取扱説明書においてごくありふれたものである。
そうすると,原告挿絵1は,創作性を欠き,著作物に当たるとは認められない。
(略)
(エ) 原告挿絵4について
原告挿絵4は,①本件商品を乳幼児に試着する場面における(a)本件商品,(b)乳幼児の上半身及び(c)乳幼児に本件商品を装着させる保護者等(以下,単に「保護者」という。)の腕を記載した絵に,②「試着してみる」との文字,3つの矢印及び円形の点線を加えたものである。
上記①の絵について,(a)の部分はそれ自体としては前記(ア)のとおりありふれており,(c)の部分もそれ自体としてはごくありふれているが,(b)の部分は乳幼児の顔・頭・恰好等をどのように描くかについてはある程度選択の幅がある上,(a)ないし(c)をどのような範囲でどのような位置関係で組み合わせて描くかについても,選択の幅がある。本件商品の使用方法等を示す挿絵という性質上,表現の選択の幅はある程度限られる面があるものの,上記のような絵全体としての描き方には少なからぬ選択肢が存すると考えられるところ,上記①の絵を全体として見た場合に一定の個性が発揮されていることは否定できない。
そうすると,上記②の点についてはありふれたものであるにしても,原告挿絵4について,その創作性を否定して,著作物としての保護を一切否定することは相当でなく,狭い範囲ながらも著作権法上の保護を受ける余地を認めることが相当というべきである。原告挿絵4は,本件商品の取扱説明書における挿絵ではあるが,思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものであり,美術の著作物に当たるというべきである。
平成28年7月27日東京地方裁判所[平成27(ワ)13258]

著作権判例エッセンス トップ 


     Kaneda Copyright Agency
     カネダ著作権事務所


      Home  メール相談  契約マネジメント  文化庁登録マネジメント  侵害対応マネジメントその他 
      アメリカ著作権局登録マネジメント