[e137]漫画・シナリオ・小説の侵害性

本件映画は,登場人物やストーリー展開が本件漫画と同じであり,台詞も本件漫画と多くの部分が同じである。
確かに,本件映画と本件漫画は,その設定場面において,本件映画が日本家屋の縁側,本件漫画が主として日本家屋の座敷であるという違いや,本件映画には,本件漫画にはない性転換手術についての会話,父が裕子の顔に杯をかける場面,母が父に対して秘密を話すことを促す場面があるなどの違いがあり,それらの点において,本件漫画と異なる創作性が認められる。しかしながら,本件漫画は,息子(達彦)の彼女(婚約者)である裕子が,達彦を装って性転換を告白したために,達彦の父母が裕子を達彦であると誤解し,達彦(実は裕子)に対し,自分達夫婦が実はともに女性であること及び達彦は父(実は女性)が出産したことを告白するという奇抜なストーリー展開とそれを支える台詞や登場人物の感情の動きについての描写に,その表現上の本質的な特徴があるといえるのであって,その表現上の本質的特徴部分において,本件映画は本件漫画と同一である。
したがって,本件映画を鑑賞した者は,映画と漫画という表現形式の相違や設定場面の若干の相違といった点を超えて,本件映画から本件漫画の表現上の本質的な特徴を直接感得することができると認められる。
平成25年11月22日 東京地方裁判所[平成25(ワ)13598]

本件テレビドラマは、前半の基本的ストーリーやその細かいストーリーが原告著作物と類似し、また具体的表現も共通する部分が存するものであり、後半の基本的ストーリー等において前記のような相違点があるにもかかわらず、原告著作物を読んだことのある一般人が本件テレビドラマを視聴すれば、本件テレビドラマは、原告著作物をテレビドラマ化したもので、テレビドラマ化にあたり、夫の帰国以後のストーリーを変えたものと容易に認識できる程度に、本件テレビドラマにおいては、原告著作物における前記の特徴的・個性的な内容表現が失われることなく再現されているものと認められるから、本件テレビドラマは原告著作物の翻案であると認めるのが相当である。
平成8年04月16日東京高等裁判所[平成5(ネ)3610]≫

被告は、原告の企画、すなわち、「テレビのクイズ番組の優勝者である主人公がその賞品に心臓移植手術を希望し、その家族に心臓移植手術を受けさせるためにアメリカに行き、バブーンの心臓移植手術を受ける。」との企画を前提として映画のシナリオの執筆の依頼を受けたというのであるから、仮に前認定の原告シナリオの基本的な枠組みに著作物性が認められ、しかも、被告シナリオが基本的な枠組みにおいて原告シナリオと共通であるとしても、それは、原告の許諾に基づくものというべきところ、被告シナリオは、前認定のとおり、基本的な枠組みにおいて原告シナリオと類似しているけれども、サブテーマ、登場人物のキャラクター、ストーリー展開等において、原告シナリオと異なりそれ自体独自性を有するのであるから、被告シナリオと右類似している部分については、少なくとも原告の許諾の範囲内において執筆されたものであり、また、独自性を有する部分については、被告シナリオとは別個独立に執筆されたものであって、その翻案には当たらないものと認めるのが相当である。結局、被告シナリオの執筆は、全体として原告が原告シナリオについて有する翻案権の侵害を構成しないものといわざるをえない。
平成2年05月23日東京地方裁判所[昭和61(ワ)8672]≫


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