[e143]47条の2の意義と解釈

被告は,本件カタログ318号に係る複製について,著作権法47条の2の適用がある旨主張する。
そこで検討するに,被告は,本件オークションを主催する者であるから,著作権法47条の2の施行日である平成22年1月1日以降,同条所定の複製を行うことができたものと認められる。また,同法施行令7条の2第1項第1号及び同法施行規則4条の2第1項第1号により,著作権法47条の2が適用されるためには,当該複製により作成される複製物に係る著作物の表示の大きさが50㎠以下であることが必要である。
弁論の全趣旨によれば,本件カタログ318号は平成22年後半に発行されたものであると認められるから,同号に係る複製は著作権法47条の2の適用の対象となる。そして,証拠によれば,同号に係る複製は,額縁部分を除く作品部分について,縦約6
cm×横8.3cm の写真を印刷したものであることが認められるから,その表示の大きさは約49.8㎠である。
以上によれば,本件カタログ318号に係る複製は,著作権法47条の2の適用があると認められるから,複製権の侵害には当たらない。
平成28年6月22日知的財産高等裁判所[平成26(ネ)10019等]

被告は,本件訴訟における原告らの著作権の行使は,著作権法改正前にオークションのために行われた複製について,法律が明確でなかったことを幸いとして,譲渡に伴う美術の著作物の複製が法律上合法であると確認された今に至って損害賠償を請求するもので,47条の2が新設された趣旨からすると,著作権の濫用に該当するなどと主張する。
しかしながら,著作権法47条の2は,美術の著作物又は写真の著作物の原作品等の適法な取引行為と著作権とを調整する趣旨において,原作品等を譲渡又は貸与しようとする場合には,当該権原を有する者又はその委託を受けた者は,その申出の用に供するため,一定の措置を講じることを条件に,当該著作物の複製又は公衆送信を行うことを認めるものである。このように,著作権法47条の2は,一定の措置を講じることを条件に,複製権又は公衆送信権の行使を認めたものであるから,そのような措置が講じられなければ,著作権者の複製権又は公衆送信権の侵害であることに変わりはないし,同規定が遡及適用されるものでもない(平成21年法律第53号附則1条)。
そうすると,著作権法47条の2の新設により,同規定の施行前にオークションのために行われた複製について損害賠償請求等の権利行使をすることや,同規定の施行後において一定の措置が講じられた範囲外の複製について権利行使をすることが,権利濫用であるとはいい難いし,その他権利濫用であることを肯定できる事情は認められない。
したがって,被告の主張は理由がない。
平成28年6月22日知的財産高等裁判所[平成26(ネ)10019等]

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