[e150]写真・画像の改変性

本件モンタージユ写真からは、本件写真の本質的な特徴部分、すなわち、雪の斜面をシユプールを描いて滑降してきた六名のスキーヤーの部分及び山岳風景の特徴部分を感得することができるものである。
右事実関係のもとにおいて、上告人が、被上告人の同意を得ないでした本件モンタージユ写真の作成、発表は、たとえ、本件モンタージユ写真がパロデイと評価されうるとしても、被上告人が著作者として有する本件写真の同一性保持権を侵害する改変であり、かつ、その著作者としての被上告人の氏名を表示しなかつた点において氏名表示権を侵害したものであつて、違法なものである、とした原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。
昭和61年5月30日最高裁判所第二小法廷[昭和58(オ)516]

ところで、本件写真は、右のように本件モンタージユ写真に取り込み利用されているのであるが、利用されている本件写真の部分(以下「本件写真部分」という。)は、右改変の結果としてその外面的な表現形式の点において本件写真自体と同一ではなくなつたものの、本件写真の本質的な特徴を形成する雪の斜面を前記のようなシユプールを描いて滑降して来た六名のスキーヤーの部分及び山岳風景部分中、前者についてはその全部及び後者についてはなおその特徴をとどめるに足りる部分からなるものであるから、本件写真における表現形式上の本質的な特徴は、本件写真部分自体によつてもこれを感得することができるものである。そして、本件モンタージユ写真は、これを一瞥しただけで本件写真部分にスノータイヤの写真を付加することにより作成されたものであることを看取しうるものであるから、前記のようにシユプールを右タイヤの痕跡に見立て、シユプールの起点にあたる部分に巨大なスノータイヤ一個を配することによつて本件写真部分とタイヤとが相合して非現実的な世界を表現し、現実的な世界を表現する本件写真とは別個の思想、感情を表現するに至つているものであると見るとしても、なお本件モンタージユ写真から本件写真における本質的な特徴自体を直接感得することは十分できるものである。そうすると、本件写真の本質的な特徴は、本件写真部分が本件モンタージユ写真のなかに一体的に取り込み利用されている状態においてもそれ自体を直接感得しうるものであることが明らかであるから、被上告人のした前記のような本件写真の利用は、上告人が本件写真の著作者として保有する本件写真についての同一性保持権を侵害する改変であるといわなければならない。
のみならず、すでに述べたところからすれば、本件モンタージユ写真に取り込み利用されている本件写真部分は、本件モンタージユ写真の表現形式上前説示のように従たるものとして引用されているということはできないから、本件写真が本件モンタージユ写真中に法【注:旧著作権法】
301項第2【注:現32条1項に相当】にいう意味で引用されているということもできないものである。そして、このことは、原審の確定した前示の事実、すなわち、本件モンタージユ写真作成の目的が本件写真を批判し世相を風刺することにあつたためその作成には本件写真の一部を引用することが必要であり、かつ、本件モンタージユ写真は、美術上の表現形式として今日社会的に受けいれられているフオト・モンタージユの技法に従つたものである、との事実によつても動かされるものではない。
そうすると、被上告人による本件モンタージユ写真の発行は、上告人の同意がない限り、上告人が本件写真の著作者として保有する著作者人格権を侵害するものであるといわなければならない。
なお、自己の著作物を創作するにあたり、他人の著作物を素材として利用することは勿論許されないことではないが、右他人の許諾なくして利用をすることが許されるのは、他人の著作物における表現形式上の本質的な特徴をそれ自体として直接感得させないような態様においてこれを利用する場合に限られるのであり、したがつて、上告人の同意がない限り、本件モンタージユ写真の作成にあたりなされた本件写真の前記改変利用をもつて正当とすることはできないし、また、例えば、本件写真部分とスノータイヤの写真とを合成した奇抜な表現形式の点に着目して本件モンタージユ写真に創作性を肯定し、本件モンタージユ写真を一個の著作物であるとみることができるとしても、本件モンタージユ写真のなかに本件写真の表現形式における本質的な特徴を直接感得することができること前記のとおりである以上、本件モンタージユ写真は本件写真をその表現形式に改変を加えて利用するものであつて、本件写真の同一性を害するものであるとするに妨げないものである。
昭和55年3月28日最高裁判所第三小法廷[昭和51(オ)923]

本件著作物は本件ウェブサイト上に掲載するために撮影された肖像写真であって,被告による放送に先んじて既に本件ウェブサイト上に掲載され,公開されていたものであるところ,番組において本件著作物における顔の部分は改変されていないにしても,本件著作物が,日本の国旗とコロラド州旗を背景に,テンガロンハット(いわゆるカウボーイハット)をかぶり,西部独特のジャケットを着たA元総領事の上半身の写真であるのに対し,放映された写真の中には,A元総領事の肩から上の部分だけをトリミングしてその周りに黒っぽい色の楕円形の背景を配したものがあること,(中略)などの諸事情を総合すれば,被告の公衆送信及び本件各地方ネットワーク局の各公衆送信における本件著作物の氏名表示権及び同一性保持権の侵害による損害額(慰謝料)としては,60万円と認定するのが相当である。
平成17年03月24日東京高等裁判所(平成16(ネ)3565)

被告は,本件写真から被告各写真を作成するに際し,①被告写真1及び同3については,色調をカラーからモノクロに変更したこと,②被告写真1については,更に縦横の比率も変更されていること,③被告写真5については,後に被写体であるB議員の両目部分に目隠し様の白いテープを貼り付けたことをいずれも認めており,これらは著作者である原告の意に反する改変であると認められる
平成23年02月09日東京地方裁判所[平成21(ワ)25767等]

本件各画像における色彩は,本件各画像の創作性を基礎づける重要な表現要素の一つであり,カラー画像である本件各画像を白黒画像に改変することは,著作者の許諾が認められない以上,著作者の意に反する改変(著作権法20条1項)に当たるものというべきである。
(略)
本件画像1における色彩及び色調の明暗は,その創作性を基礎づける重要な表現要素の一つであるから,著作者の許諾なくカラー画像である本件画像1を白黒画像にするとともに,明暗を反転させる改変を行うことは,著作者の意に反する改変(著作権法20条1項)に当たるものである。
(略)
控訴人は,図版や学術雑誌等とは異なる通常の単行本である控訴人書籍の編集上の必要性を根拠として,控訴人各画像における本件各画像の改変が,著作権法20条2項4号の「やむを得ないと認められる改変」に当たる旨を主張する。
しかしながら,そもそも,控訴人各画像の控訴人書籍への掲載は,被控訴人の許諾なくその著作物たる本件各画像を複製するものであって,控訴人各画像を控訴人書籍に掲載すること自体が許されない行為であり,編集上の必要性なるものによって,本件各画像の改変が正当化されるべき理由はない。
平成24年04月25日知的財産高等裁判所(平成23(ネ)10089)

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