[e151]その他個別事例にみる改変性

【記事】

本件記事において,リード文は本文の導入としての役割を担っており,両者が一体となって,原告の思想又は感情を創作的に表現した一つの著作物となっているものと認められる。しかるところ,被告は,本件転載の際,これを分断し,リード文を切除して,本文のみを被告ホームページに掲載したものであるが,このような切除は,原告の意に反するものであるから,原告が本件記事について有する同一性保持権(著作権法20条1項)を侵害するものと認められる。
(略)
上記
【注:本件記事においては「白血球が2000以下で…」と記載されているのに対し,被告ホームページにおいては「白血球が200以下で…」と記載されている】については,転記の際の明らかな誤記と認めるのが相当であり,また,医学的常識に基づいて被告ホームページを読めば,それが誤記であることは明らかに理解し得るところであるから,この誤記によって本件記事の内容を改変したものとは認められない。
また,上記【注:本件記事においては「たった5分間程の面談…」と記載されているのに対し,被告ホームページにおいては「たった5分程の面談…」と記載されている】についても,本件記事の「5分間」という記載が被告ホームページにおいては「5分」と表記されているにすぎないもので,本件記事及び被告ホームページの全体からみればわずかな相違であり,しかも,両者の間に実質的な意味の違いはないから,これをもって本件記事を改変したものと認めることはできない。
平成22年05月28日東京地方裁判所[平成21(ワ)12854]

【ゲームシナリオ】

本件改変の多くは、平仮名表記を漢字表記に変更したり、アラビア数字を漢用数字に変更したり、疑問符又は感嘆符を加えたり、改行位置を変更するものであるが、このような変更も本件シナリオの外面的表現形式に増減変更を加えることに変わりはない。しかも、本件シナリオのように、小説と同様にゲームのプレイヤーが文字で表現された文章を読む形式の著作物においては、ある語を漢字で表記するか平仮名で表記するか、疑問符・感嘆符を用いるか、改行位置をどこにするかなどの表記方法の選択も、著作者の個性を表現する方法の一つであり、これらが表現上効果を及ぼす場合もあることを考慮すれば、このような表記方法の選択も著作者の創作意図に委ねられるものというべきである。したがって、本件改変のうち、表記方法に関する改変の部分も、原告の了解を得ずにその意思に反して行った以上、前同様に、同一性保持権の侵害となる著作物の改変に当たる。
平成13年08月30日大阪地方裁判所[平成12(ワ)10231]

【無断翻訳】

被告は,著作者であるAの許諾を得ることなく,本件詩を翻訳したものである。しかも,本件詩の訳文のうち,少なくとも,以下の箇所は,客観的にみて誤訳であるか,又は翻訳すべき語を翻訳していないものであるか,若しくは意訳の範囲を超えているものであって,これらはいずれも意に反する改変といわざるを得ないから,本件詩についてAが有していた同一性保持権を侵害するものである。
平成16年05月31日東京地方裁判所[平成14(ワ)26832]≫

本件論文は,本件原著について,その内容を一部省略しつつ,これを日本語に翻訳したものであること,並びに,被告が,本件論文を作成するに当たり,本件原著の共同著作者である原告からその承諾を得ていなかったことは,前記のとおり,当事者間に争いがない。したがって,被告は,原告に無断で本件原著を日本語に翻訳したうえ,その内容を一部省略して翻訳したのであるから,原告の有する本件原著の同一性保持権を侵害したものと認められる。
(略)
被告は,翻訳行為自体は,著作物の内面形式を維持しながら,その外面形式を変更するものであるから,同一性保持権侵害の問題になるものではない,とも主張する。しかし,著作者の承諾を得て行う翻訳については,客観的に見て許容し得ない範囲の誤訳を除いて,このようなことがいえるとしても,本件のように著作者の承諾を得ない翻訳については,英語の表現形式を日本語に変更するものであるから,同一性保持権の侵害にもなるというべきである。
平成19年01月18日東京地方裁判所[平成18(ワ)10367]≫

【漫画コマ割りの配置の変更】

カット37において原カット(ハ)の配置が変更されていることは、著作権法20条1項にいう「改変」に当たるものである。
平成12年04月25日東京高等裁判所(平成11(ネ)4783)≫

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