[e155]写真集(編集著作物)の改変性

控訴人は,本件写真集は対応する日付による花の写真の順序に殊の外意味があり,無作為に並べ替えるのではその意味が全く失われてしまう性格のものであるから,花の写真の配信が毎週1枚のみでしかも各配信日に対応すべき花の写真が用いられないことは同一性保持権侵害になると主張し,これに対し被控訴人は,著作権法20条の同一性保持権を侵害する行為とは他人の著作物における表現形式上の本質的特徴を維持しつつその外面的な表現形式に改変を加える行為をいい,他人の著作物を素材として利用してもその表現形式上の本質的特徴を感得させないような態様においてこれを利用する行為は同一性保持権を侵害しない,等と反論する。
よって検討するに,著作権法20条は同一性保持権について規定し,第1項で「著作者は,その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し,その意に反してこれらの変更,切除その他の改変を受けないものとする」と定めているところ,前記認定のとおり,平成15年5月27日ころまでに控訴人から本件写真集の個々の写真の著作物及び全体についての編集著作権の譲渡を受けた被控訴人が,別紙記載の各配信開始日に,概ね7枚に1枚の割合で,控訴人指定の応当日前後に(ただし,正確に対応しているわけではない)配信しているものであって,いわば編集著作物たる本件写真集につき公衆送信の方法によりその一部を使用しているものであり,その際に,控訴人から提供を受けた写真の内容に変更を加えたことはないものである。
そうすると,著作権法20条1項が「変更,切除その他の改変」と定めている以上,その文理的意味からして,被控訴人の上記配信行為が本件写真集に対する控訴人の同一性保持権を侵害したと認めることはできない(毎日別の写真を日めくりで配信すべきか否かは,基本的には控訴人と被控訴人間の契約関係において処理すべき問題であり,前記認定の事実関係からすると,そのような合意がなされたとまで認めることもできない)。
上記によれば,控訴人が被控訴人に譲渡した本件写真集は著作権法12条にいう編集著作物性を有するものの,被控訴人がなした上記配信行為が同法20条に基づき控訴人が有する同一性保持権を侵害したということはできないから,その余について判断するまでもなく,同一性保持権侵害を理由とする損害賠償請求は理由がないことになる。
平成20年06月23日知的財産高等裁判所(平成20(ネ)10008)
【コメント】
本件において、一審原告である控訴人は、花の写真365枚につき1日1枚で1年分とする日めくりカレンダー用デジタル写真集(「本件写真集」)を作成し、その著作権等を一審被告である被控訴人に譲渡し、その対価の支払を受けましたが、被控訴人はこれを携帯電話待受画面用の画像として週に1枚のみを配信しただけでした。そのため、控訴人は、被控訴人に対し、被控訴人において各配信日に対応すべき写真を用いなかったことが編集著作物である上記写真集の同一性保持権等を侵害するとして、不法行為による損害賠償として慰謝料等の支払を求めました。

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