[e165]その他編集著作権の侵害性

【商品カタログ、製品取扱説明書】

そもそも、本件カタログにはパロマの商品の写真及び説明文が、被告カタログには被告商品の写真及び説明文が掲載されているところ、編集著作権においても、保護の対象とするのは素材の選択、配列方法という抽象的なアイデア自体ではなく、素材の選択、配列についての具体的な表現形式であるから、素材において本件カタログと全く異なる被告カタログが本件カタログの編集著作権を侵害するものであるということはできない。
平成7年03月28日大阪地方裁判所[平成4(ワ)1958]

編集著作物は,「素材の選択又は配列によつて創作性を有するもの」に限り著作物として保護される(著作権法12条1項)。編集著作権において,保護の対象となるのは,素材の選択,配列方法という抽象的なアイデア自体ではなく,素材の選択,配列についての具体的な表現形式である。
前記に認定した事実によれば,原告取扱説明書は,原告製品を購入した者に対して,その使用方法,特徴点,生じ得る問題とその対処方法,手入れ方法,各部の名称等,安全上の注意事項及び警告事項等を説明するものであるということができるから,原告取扱説明書は,その性質,目的からして,原告製品に関する各種情報という素材を選択し,これを配列している点の創作性が問題となるということができる。これに対し,被告取扱説明書は被告製品に関する各種情報という素材を扱うものであるから,素材となる情報が原告取扱説明書と被告取扱説明書とで異なる商品に関するものである。したがって,既にこの点において,被告取扱説明書が原告取扱説明書の編集著作権を侵害するものということはできないものというべきである。
平成17年02月08日大阪地方裁判所[平成15(ワ)12778]
【コメント】
次の、控訴審平成17年12月15日大阪高等裁判所[平成17(ネ)742]≫の判断も参照:引用にかかる原判決認定,説示のとおりであって,編集著作物は,「素材の選択又は配列によつて創作性を有するもの」に限り著作物として保護される(著作権法12条1項)ところ,商品の取扱説明書は,当該商品に関する各種情報という素材を扱うものであるから,控訴人取扱説明書と被控訴人取扱説明書とは対象とする商品が異なっており,「素材」となる情報も異なるから,既にこの点において,被控訴人取扱説明書が控訴人取扱説明書の編集著作権を侵害するものということはできない。

【漢方薬便覧】

以上によれば,控訴人書籍漢方薬便覧部分は,漢方薬の148の処方名を掲載したほか,多数の生薬の中から「ヨクイニンエキス」のみを大分類「漢方薬」に分類するものとして選択した上,漢方3社が製造販売する薬剤がある漢方処方名については,当該漢方処方名に属する漢方3社の薬剤を全て選択し,漢方3社が薬剤を製造販売していない漢方処方名については,臨床現場における重要性や使用頻度等に鑑みて個別に薬剤を選択したというのであるから,薬剤の選択に控訴人らの創作活動の成果が表れ,その個性が表れているということができ,上記のような考慮から薬剤を選択した上,歴史的,経験的な実証に基づきあえて50音順の原則を崩して配列をした控訴人書籍漢方薬便覧部分の薬剤の配列には,控訴人らの創作活動の成果が表れ,その個性が表れているから,一定の創作性があり,これと完全に同一の選択及び配列を行った被控訴人書籍漢方薬便覧部分の薬剤の選択及び配列は,控訴人書籍のそれの複製に当たるといわざるを得ない。
平成25年04月18日知的財産高等裁判所[平成24(ネ)10076]

【スクール・講座情報誌】

以上対比したところによれば,控訴人情報誌東海版の分野別モノクロ情報ページと被控訴人情報誌東海版のカテゴリー別スクール情報ページは,配置方針及び分類は類似しているものの,その具体的配列は,同一性又は類似性があると認めることはできず,上記類似性を有する部分は,表現それ自体でない部分又は表現上の創作性が認められない部分であって,上記各カテゴリー別スクール情報ページから上記分野別モノクロ情報ページの表現上の本質的な特徴を直接感得することはできないから,上記各カテゴリー別スクール情報ページは,上記分野別モノクロ情報ページを複製ないし翻案したものということはできない。
平成17年03月29日東京高等裁判所[平成16(ネ)2327]

【ホームページ】

本件ホームページと被控訴人ホームページとの共通点として控訴人により指摘されているのは,商品の写真や,商品を説明する文章自体の共通点であり,ホームページ自体の素材の選択や配列における共通点が指摘されているものではない。また,本件ホームページと被控訴人ホームページとを比較しても,シックハウス症候群が疑われる例を複数併記している点や,商品の写真を文章の左側に配置している点などが共通しているにすぎず,このような素材の選択や配列における共通点はありふれたものであって,表現上の創作性がない部分について同一性を有するにすぎない。
したがって,本件ホームページについて編集著作物としての複製権ないし翻案権の侵害があったということはできない。
平成18年03月29日知的財産高等裁判所[平成17(ネ)10094]

【簿記検定対策用問題(切り離し式暗記カード)】

上記①の切り離し式の暗記カードについて,原告は,模擬試験本の4回分の予想問題を総合的に反映した重要な仕訳内容などを暗記カードの内容に反映させる独自の編集を行い,また,試験本番で特に重要な設問の第1問の解答率をアップさせるための配列としたなどと主張する。
この点,問題とそれに対する解答を切り離し式の暗記カードの形態で掲載すること自体は,具体的表現ではなく誌面の構成や形態に関するアイデアにすぎず,これに著作権法上の保護が及ぶものではない。
次に,暗記カード上に掲載された問題とそれに対する解答の選択や配列についてみるに,控訴人は,従前の簿記検定試験の内容を踏まえた予想問題を反映した重要な仕訳内容を暗記カードの内容に反映させたというのであり,暗記カード部分に掲載された問題と解答の選択や配列には控訴人の独自性が発揮されているといえるから,少なくとも全体として一つの編集著作物に当たると認められる。
しかし,被告第130回受験誌には暗記カードが存在しておらず,原告が編集著作権の侵害を主張する被告第131回受験誌の問題の選択,配列の内容は原告第130回受験誌及び原告第131回受験誌と比較すると,手形の割引,自己受為替手形,預り金の処理,商品券の処理,固定資産の売却など,一部の問題のテーマに共通するものがあるが,問題の選択や配列の内容は全体としては異なるから,控訴人の主張する切り離し式の暗記カードの編集著作権について,侵害が成立しないことは明らかである。
平成26年04月22日知的財産高等裁判所[平成26(ネ)10009]

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