[e167]過失責任論<総論>

著作権侵害行為について過失があるというためには、侵害者において、その行為が他者の著作権を侵害することを認識・予見することが可能であり、かつ、認識・予見すべきであるのにこれをしなかったことが必要であると解すべきであり、これを認めるためには、侵害者において、少なくとも、当該著作物について、他に権利者が存在することを認識・予見することが可能であり、かつ、認識・予見すべきであるのにこれをしなかったことが必要であるというべきである。
平成16年12月27日大阪地方裁判所[平成14(ワ)1919等]

被告らは、本件プログラムが著作物であり、その複製に原告の許諾が必要であることを当時知らなかつた旨主張するけれども、右は法の不知というべく、被告らの右賠償責任の成立に消長を来たさない。
昭和57年12月06日東京地方裁判所[昭和54(ワ)10867]

他人の著作物を利用するに当たっては,それが著作権法その他の法令により著作権が制限され,著作者の承諾を得ない利用が許される場合に該当し,著作権を侵害することがないか否かについて十分に調査する義務を負うというべきであり,そのような調査義務を尽くさず安易に著作者の承諾を得なくても著作権侵害が生じないと信じたものとしても,著作権侵害につき過失責任を免れないというべきである。
平成16年06月29日東京高等裁判所[平成15(ネ)2467等]

仮に,被告において原告ソフトウェアのプログラムを自由に利用することができると誤信していたとしても,それは著作権及び原告の許諾の存在についての誤解に基づくものにすぎず,このような誤解をもって,少なくとも過失がないということはできない。
平成21年11月09日東京地方裁判所[平成20(ワ)21090]

本件ポスター【注:財団法人U協会(以下「協会」)は、ジャパンフローラ2000の広報用ポスターの制作を電通に発注し、電通は、原告の了解を得て、本件誕生花の写真及び花言葉を掲載したポスター(これが「本件ポスター」)を製作して協会に納入したという経緯がある】には、第1刷分から、本件誕生花の部分の下に「©KITA Shunkan Photo Library」との表示がされていたと認められることは、前記のとおりである。「©KITA Shunkan Photo Library」が協会を示すものでないことは、一見して明らかであるから、被告D種苗としては、本件誕生花に関する著作権の所在について、少なくとも協会に明示的に確認すべき注意義務があったというべきである。
しかしながら、被告
D種苗の担当者であったEは、本件ポスターの写真に別に著作権者がいるかもしれないという考えを持たず、協会から許諾を得ればよいだろうと考え、その結果、被告D種苗は、著作権の所在について、協会に明示的に確認することすらしなかったのであるから、被告D種苗には、上記注意義務を怠るという過失があったというべきである。
もっとも、上記で判示したとおり、協会が被告
D種苗に対し、本件ポスターを転載することについて、無償であれば構わない旨を伝えていたという経緯に照らせば、本件ポスターに上記表示がされていたことのみをもって、被告D種苗に、上記過失を越えて、故意の存在まで認めることはできず、他に、被告D種苗に故意があったことを認めるに足りる証拠はない。
平成16年02月12日大阪地方裁判所[平成14(ワ)13194]

被告が複製物を販売したプログラムに,日本システムプランニング(原告ないしA)の著作権表示がある以上,過去にこれと異なる著作権表示のある時期が一時的にあったとしても,現に著作権表示をしている者に対する問い合わせ等,著作権の帰属について十分な注意を払うべきであり,被告にはこれを怠った過失がある。
平成19年07月26日大阪地方裁判所[平成16(ワ)11546]

著作権判例エッセンス トップ 


     Kaneda Copyright Agency
     カネダ著作権事務所


      Home  メール相談  契約マネジメント  文化庁登録マネジメント  侵害対応マネジメントその他 
      アメリカ著作権局登録マネジメント