[e184]過失責任論<その他>

【建築士】

以上のとおり、被告【注:一級建築士】は被告設計図書2ないし4を作成することにより原告設計図書5ないし8を複製したということができるので、次に右複製についての被告の過失の有無を判断する。
被告は、H【注:訴外工務店代表取締役】から設計変更の依頼を受けてこれを引受けた際、原告設計図書の原設計者(建築士)に設計変更を要請して断られたが、原設計者に対する報酬は支払済みで、他の建築士が設計変更をすることについては承諾を得てあるので、被告には一切迷惑をかけない旨のHの言明を信じ、何ら確認をしなかつたことは前記のとおりであり、原告設計図書5ないし8のコピーの交付を受けたJ【注:被告事務所員】に被告設計図書を作成させるについても、被告が何らの確認をしたとの事実を認めるに足る証拠はない。
ところで、建築主との契約に基づき設計図書を作成した建築士は、建築主からその変更を求められた場合には、特段の事由のなき限り最終的にはこれに応じなければならないというべきであり、被告本人尋問の結果によれば、被告自身もそのように考えていることが認められ、さすれば、被告は、
Hから右のとおり原告設計図書の原設計者に設計変更を依頼して断られた旨の説明を受けたのであるから、そこに何らかの事情があると考えてしかるべきであり、Hに原設計者の氏名を問いただして原設計者に照会し確認するべき注意義務があるというべく、被告がそのような措置に出ることは極めて容易であつたことも多言を要しないところである。
しかるに、被告は、右のとおり原設計者に設計変更を依頼して断られた旨の説明を受けながら、漫然、Hの前記のような言明を信じ、何ら右のような確認をすることなく、設計変更を引受け、その後も何ら確認をすることなく、被告設計図書を作成したものであつて、この点過失を免れない。
したがつて、被告は、過失により原告設計図書5ないし8を複製したということができるから、特段の事由のない限り、著作権侵害の責を免れることはできない。
昭和54年06月20日東京地方裁判所[昭和50(ワ)1314]

【キャラクター商品化契約の当事者】

右認定事実によれば、被告らは、本件連載漫画について著作権を有するのは被告[B]のみである旨及び仮に原告に何らかの権利があったとしても本件連載漫画のストーリーを用いないで登場人物の絵を使用するだけであれば著作権法上の問題を生じない旨の共通認識の下で、共同して、本件連載漫画のキャラクターの商品化事業として、被告カバヤによる本件商品の製造販売を遂行したものと認められるから、本件商品の製造販売による原告の著作権の侵害については、各自、共同不法行為者として責任を負担するものというべきである。
被告
(D1)は自己の行為は違法と評価されるものではないと主張するが、前記のとおり、本件許諾契約に向けての交渉の際には、本件連載漫画について著作権を有するのは被告[B]のみである旨及び本件連載漫画のストーリーを用いないで登場人物の絵を使用するだけであれば著作権法上の問題を生じない旨を繰り返し説明していたものであり、なるほど本件許諾契約には本件商品の製造販売により第三者の権利を侵害したときには被告(D2)の責任により処理する旨の条項(11条(2))は置かれているものの、前記のような交渉の経緯に照らせば、右条項が本件連載漫画の登場人物の絵の使用について原告から別途許諾を得る必要のあることを意味するものと解することはできない。
また、被告(D1)及び被告(D2)は自己の過失を争うが、被告らは、本件連載漫画の登場人物の絵の使用について著作権法上の問題を生じないかどうかを、それぞれの事業の遂行に当たり、各自、自己の責任により判断すべきものであるところ、前記認定事実に加えて、なかよしにおける本件連載漫画の各連載分に「原作[E]」という形で原告のペンネームが表示されていたことに照らせば、本件連載漫画の登場人物の絵の使用につき原告が何らかの権利を有することは容易に知り得べきものであったから、被告[B]ないし同被告の当時の代理人弁護士の説明を軽信して本件商品の製造販売に関与した被告(D1)及び被告(D2)に、過失があったことは明らかである。
平成12年05月25日東京地方裁判所[平成11(ワ)8471]

著作権判例エッセンス トップ 


     Kaneda Copyright Agency
     カネダ著作権事務所


      Home  メール相談  契約マネジメント  文化庁登録マネジメント  侵害対応マネジメントその他 
      アメリカ著作権局登録マネジメント