[e185]過失責任論<教科書教材会社>

(証拠等)によると,被告らは,学習教材協会及び教学図書協会を通じて,教科書発行会社に対して,教科書に準拠した教材を発行する許諾を得たことによる対価を支払っていたこと,これには,原告ら原著作者に対する著作権料は含まれておらず,原告ら原著作者には支払われていないこと,以上の事実が認められる。被告らは,上記対価が原著作者に支払われていなかったことを知らなかったと主張するが,上記対価の支払に関する契約書には,原著作者について何ら記載されていないこと,被告らが,原著作者に対価が支払われているかどうか確認するのは極めて容易であったと考えられるにもかかわらず,何らかの確認をしたとは認められないことからすると,被告らは,上記対価が原著作者に支払われていなかったことを知らなかったとしても,そのことに過失があるものというべきであって,以上のような事情からすると,その過失は決して軽いものということはできない。
(略)
上記のとおり,被告らは,上記対価が原著作者に支払われていなかったことを知らなかったとしても,そのことに過失があるものというべきであって,被告らには,本件各著作物を本件各書籍に掲載して,原告らの著作権及び著作者人格権を侵害したことについて過失があるものというべきである。
平成14年12月13日東京地方裁判所[平成12(ワ)17019]

一審被告らは,過去30年にわたり,国語教科書に掲載された一審原告らの本件各著作物を,一審原告らの直接の承諾を得ることなく副教材に複製してきたことは,当事者間に争いがない。
他人の著作物を利用するに当たっては,それが著作権法その他の法令により著作権が制限され,著作者の承諾を得ない利用が許される場合に該当し,著作権を侵害することがないか否かについて十分に調査する義務を負うというべきであり,そのような調査義務を尽くさず安易に著作者の承諾を得なくても著作権侵害が生じないと信じたものとしても,著作権侵害につき過失責任を免れないというべきである。
一審被告らは,昭和
43年12月ころより,一審被告らを含む図書教材会社が教科書会社に対し謝金を支払うことにより教科書掲載作品の著作権を含む権利処理が行われたものとすることが業界慣行となり,その慣行が今日まで維持されていたなどとし,上記著作権侵害につき,一審被告らに過失がない旨主張する。
(略)
しかしながら,証拠によれば,上記謝金は,図書教材会社が教科書会社の編集著作権を侵害することなく,適法な範囲でこれを利用することを前提にその利用についての教科書会社の協力に対する謝礼の意味で支払われるものであり,原著作者に対する著作権料は含まれておらず,したがって,それが一審原告ら原著作者に分配されていた事実はないことが認められる。そして,上記謝金の支払に関する和解の調書及び上記基本契約に係る契約書には上記謝金に原著作者に対する著作権料が含まれる旨の記載はないし,また,
…によれば,上記謝金の支払に関する交渉過程において,教科書掲載作品の原著作者が関わった事実はなく,上記契約ないし上記謝金の支払が原著作権の利用関係に係る問題も含めて解決するものであるかどうかについて協議されたことはうかがわれないし,一審被告らが上記謝金の支払により教科書掲載作品の著作権を含む権利処理が行われたものと考えていたとしても,そのように誤信したことには過失があるといわざるを得ない。
平成16年06月29日東京高等裁判所[平成15(ネ)2467等]

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