[e191]「推定」(法61条2項)を覆した事例

これら交渉の過程に照らせば,F3契約においては,控訴人と被控訴人間においては,F3に係る本件プログラムについても,将来,改良がされることがあること,控訴人はその改良に積極的に協力するが,改良につき,主体として責任をもって行うのは,被控訴人であることが当然の前提となっていたことが認められる。すなわち,当事者間では,被控訴人が本件プログラムの翻案をすることが当然の前提となっていたと認められるのであって,これは,被控訴人による本件プログラムの翻案権を前提としていたものと解するほかない。
したがって,上記に照らせば,控訴人と被控訴人間では,翻案権の所在について明文の条項は定められなかったものの,本件プログラムを改良するなど,被控訴人が本件プログラムの翻案権を有することが当然の前提として合意されていたものと認めるのが相当である。
(略)
以上によれば,著作権法
61条2項の推定にかかわらず,本件においては,関係各証拠によって,上記推定とは異なる,本件プログラムの翻案権を控訴人から被控訴人に譲渡する旨の控訴人と被控訴人間の合意を認めることができるであり,この合意に基づき,本件プログラムの翻案権は,被控訴人が有するものというべきである。
平成18年08月31日知的財産高等裁判所[平成17(ネ)10070]≫

控訴人らは,本件譲渡契約の譲渡対象に本件先行ソフトウェア部品プログラムが含まれているとしても,本件先行ソフトウェア部品プログラムに係る著作権法27条及び28条に規定する権利は,控訴人ビーエスエス社に留保されている(同法61条2項)旨主張し,控訴人X₁の供述中には,これに沿う部分がある。
しかしながら,前記認定の本件合意及び本件譲渡契約の内容からすると,控訴人ビーエスエス社とサンライズ社は,控訴人ビーエスエス社の全従業員を,指定会社に移籍させ,控訴人ビーエスエス社がサンライズ社にBSS-PACKに係るプログラムについての権利を譲渡し,指定会社が,サンライズ社から委託を受けて,控訴人ビーエスエス社が行っていたBSS-PACKに係る事業を継続することとして,控訴人ビーエスエス社の側では,控訴人ビーエスエス社の従業員の雇用とBSS-PACKに係る事業の継続等を指定会社において確保し,サンライズ社の側では,BSS-PACKに係る事業から得られる収入を得ること等を意図して,本件合意及び本件譲渡契約をしたと認めるのが相当であり,このことに鑑みると,BSS-PACKに係る著作物の翻案権等(著作権法27条)及び二次的著作物利用に関する原著作者の権利を控訴人ビーエスエス社に留保するということは,本件合意及び本件譲渡契約の趣旨に反するものであって,不自然である。
また,前記認定事実によると,本件譲渡契約により譲渡された本件登録プログラムについては,本件譲渡契約において,著作権法27条及び28条の権利の移転につき明文がないにもかかわらず,著作権法27条及び28条に規定する権利を含む著作権の譲渡がされた旨の登録がされている。
さらに,前記認定事実のとおり,本件合意及び本件譲渡契約においては,本件登録プログラムである「上記
(1)の著作物」の「バージョンアップ等改良後のプログラム著作物,その他関連する一切のプログラム著作物」である「(2)非登録プログラム著作物」及び「上記(1)及び(2)のプログラムの関連著作物 ユーザーズガイド一式及び環境開発マニュアル一式に係る著作物」が譲渡対象とされている。
以上からすると,本件譲渡契約では,著作権法27条及び28条に規定する権利を含めて著作権を譲渡する旨の合意があったと認められるのであって,同法61条2項の推定は覆ったというべきである。
平成29年4月27日知的財産高等裁判所[平成28(ネ)10107]

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