[e197]著作集の編集著作物性

本件書籍が編集著作物か否かについて
ア 著作物として保護される編集著作物は,編集物であって,その素材の選択又は配列によって創作性を有するものである(著作権法12条1項)。
イ 本件書籍は,前記のとおり,その題号を「ツェッペリン飛行船と黙想」とし,目次,故甲Ⅰの作品125編,「解題」,甲Ⅰ略年譜,甲Ⅰ著作目録及び初出一覧から構成される。そして,本件書籍は,故甲Ⅰの作品合計125編を,別紙目次に記載のとおり,「Ⅰ 創作(詩・小説)」,「Ⅱ 随筆」,「Ⅲ 評論・感想」,「Ⅳ アンケート」,「Ⅴ 自作関連」,「Ⅵ 観戦記」の6項目に分類配列したものであり,各項目内における作品の配列は,「ツエペリン飛行船と默想」を除き,初出あるいは執筆の時期(推定を含む。)により年代順に配列するという方針に沿ったものである。
前記認定事実によれば,本件書籍は,故甲Ⅰの未発表,全集未収録作品から構成され,「一般の読者を対象とし,故甲Ⅰの新たな面に光を当て,全集収録作品等の読み直しを促すような,資料的でありながら読み物として読むこともできる単行本とする」という編集方針の下,収録作品が選択され,各作品の内容に応じて6項目に分類され,配列されたものであると認められる。
ところで,本件書籍を構成する故甲Ⅰの作品125編の選択は,上記のとおり,未発表,全集未収録作品であることという観点でされたものであって,前記のとおり,収集された作品(原稿)は,判読不能なもの,未完成のもの,一部しかなく完全でないもの,全集と重複するものや対談等の記事を除き,本件書籍を構成する作品として本件書籍に収録されている。上記作品の収録及び除外基準は,ありふれたものであって,本件書籍は,素材の選択に編者の個性が表れているとまでいうことはできない(なお,前記認定事実によれば,本件書籍を構成する作品は,その多くを,故甲Ⅰの著作権承継者の子である控訴人が収集し,被控訴人に提供したものであると認められるが,控訴人が被控訴人にいかなる作品を提供するか選択したことは,著作権者が編集物に収録を許諾する作品を選択する行為,すなわち,素材の収集に係るものであって,創作行為としての素材の選択であるとはいえない。)。
これに対し,「Ⅰ 創作(詩・小説)」,「Ⅱ 随筆」,「Ⅲ 評論・感想」,「Ⅳ アンケート」,「Ⅴ 自作関連」,「Ⅵ 観戦記」の分類項目を設け,特に,上記Ⅳ,Ⅴ,Ⅵの分類項目を独立させたこと,さらに選択された作品をこれらの分類項目に従って配列した点には,編者の個性が表れているということができる。なお,個々の分類項目の中で年代順に配列したことは,ありふれたもので,編者の個性が表れているとまでいうことはできない。
ウ したがって,本件書籍は,作品を6つの分類項目を設けそれに従って配列したという素材の配列において創作性を有する編集著作物に該当するというべきである。
平成28年1月27日知的財産高等裁判所[平成27(ネ)10022]

著作権判例エッセンス トップ 


     Kaneda Copyright Agency
     カネダ著作権事務所


      Home  メール相談  契約マネジメント  文化庁登録マネジメント  侵害対応マネジメントその他 
      アメリカ著作権局登録マネジメント