[e200]確認の訴え

【積極的確認訴訟】

控訴人【注:控訴人は、控訴審において請求を追加し、被控訴人に対し、控訴人が本件著作権の著作権者であることの確認を求めた。】は、被控訴人に対し、被控訴人イラスト等に係る差止め及び廃棄の請求をする本件訴えを提起したが、被控訴人は、原審において、本件著作権が発生せず、又はこれが消滅したと主張し、本件著作権が控訴人に移転した事実を争い、本件著作権の及ぶ範囲についても控訴人の主張を争っており、当審においてもこれらの主張を維持している。そうすると、控訴人と被控訴人間の本件紛争を解決するために、上記差止め及び廃棄の請求権の存否を確定することに加え、控訴人が本件著作権の著作権者であることの確認請求についても、控訴人に確認の利益が存在するというべきである。このような本件訴訟の経緯に照らすと、上記確認請求に係る訴えの被告適格を認めることができ、また、同請求を追加することにより被控訴人に不要な応訴の負担を生じさせるものでもないから、上記確認請求に係る訴えは適法である。
平成13年05月30日東京高等裁判所[平成11(ネ)6345]
【コメント】
関連事件に係る以下の控訴審平成17年02月15日大阪高等裁判所[平成16(ネ)1797]≫も参照:
『原告は、本件訴訟において、1909年イラスト画、1910年イラスト画及び1912年作品を著作物とする各著作権を有することを前提として、差止め、損害賠償等の請求を行っており、被告は、その中の幼児像のイラストと被告イラストあるいは被告人形とが複製・翻案関係にないと争うとともに、著作権の発生、移転を否定し、また既に消滅した旨主張している。したがって、原告・被告間の紛争解決のため、原告が上記各著作物の著作権者であることの確認を求める請求には、確認の利益が存在するというべきである。
被告は、本件のように紛争の核心が複製又は翻案に該当するか否かであるときに、予備的に著作権の発生、移転について争い、あるいは消滅したことを主張したことをもって確認の利益を認めることは、不当な応訴負担を課すことになると主張する。しかし、著作物の複製又は翻案であることを争う訴訟において、予備的にであれ、当該著作物の著作権の発生、移転について争い、あるいは消滅したことを主張しなければならないわけではないから、被告があえて、争いあるいは主張したような場合には確認の利益が認められるというべきであり、敗訴の場合にその負担が課されることに何ら不当な点はない。』

控訴人は,本件訴訟において,まず,控訴人装置について,控訴人が著作権を有することの確認を求めるが,その主張に係る著作権が控訴人に帰属することを被控訴人との間において確認することを求めるものではなく,控訴人装置に著作物性が認められて著作権の対象となり得るものであることを被控訴人との間において確認することを求めるものであるところ,控訴人装置に著作物性が認められて著作権の対象となり得るものであるならば,当該著作権が控訴人に帰属すること自体は被控訴人が争うところでなく,被控訴人は,控訴人装置に著作物性があるか否かを争うとともに,著作物性が認められたとしても,被控訴人装置が控訴人の主張する著作権を侵害するものではないとして,控訴人の主張を争っているものである。
このような場合において,控訴人装置の著作物性の有無それ自体は,著作権侵害を理由とする請求の当否の前提問題として判断されるべきものであって,かつ,それで足り,控訴人装置に著作物性が認められた場合における当該著作権の帰属それ自体を争っているわけではない被控訴人との間において,控訴人装置について著作物性が認められるとして,控訴人が著作権を有することの確認を求める訴えは,確認の利益がなく,不適法といわなければならないから,却下されるべきものである。
平成24年02月22日知的財産高等裁判所[平成23(ネ)10053等]

【消極的(権利不存在)確認訴訟】

原告は,被告の原告に対する本件絵柄の著作権に基づく差止請求権が存在しないことの確認を求めており,その訴えは,いわゆる権利の消極的確認の訴えの範疇に属するものである。そして,一般に,確認の訴えにおける確認の利益は,原告の権利又は法律的地位に現存する不安・危険を除去するために,判決によってこの権利関係の存否を確認することが必要かつ適切である場合に認められるところ,消極的確認訴訟の場合においては,被告が権利の存在を何らかの形で主張していれば,特段の事情のない限り,原告としてはその権利行使を受けないという法律的地位に不安・危険が現存することになるものというべきであり,これを除去するために判決をもってその不存在の確認を求める利益を有するものということができる。
平成19年01月30日大阪地方裁判所[平成17(ワ)12138]≫
【コメント】
以下、本件の控訴審
平成19年10月02日大阪高等裁判所[平成19(ネ)713等]≫も参照:
1審被告は,1審被告が原告製品にある本件絵柄の原画(原著作物)につき著作権を有したことはないし,有していると主張したこともなく,独占的通常実施権者は差止請求権を有さず,代理行使も許されないなど,1審被告が著作権に基づく差止請求権を行使するおそれはないと主張する。
しかし,引用にかかる原判決の認定・説示のとおり,消極的確認訴訟の場合,被告が権利の存在を何らかの形で主張していれば,特段の事情のない限り,原告としてはその権利行使を受けないという法律的地位に不安・危険が現存することになるというべきであり,これを除去するために判決をもってその不存在の確認を求める利益を有するものということができるところ,1審被告が表示させている本件C表示は,本件絵柄とそうでない二次的著作物を何ら区別することなく,包括的に著作権を表示するものとなっているなど,実際上の機能として本件絵柄の原画について未だ著作権が存続しているとの印象を与えるおそれのあるものであり,1審被告はこれを前提にその侵害に対しては断固たる法的措置を執ることを言明しているものであって,少なくとも外観上,1審被告が自己又はライセンシーの名の下に,自らの判断で又はFW社の指示によって原告製品にある本件絵柄につき著作権に基づく差止請求権を行使するおそれがないとはいえない。

原告は,被告に対して,平成18年8月10日に原告歌詞をトラック・ダウンする方法でコンピュータのハードウェアに蔵置したことについて,被告の,原告に対する,別紙文章目録記載の文章の著作権(複製権,翻案権)及び同一性保持権に基づく損害賠償請求権がないことの確認を求めているが,被告は,平成20年8月29日の第9回弁論準備手続期日において,上記の各請求権を放棄する旨の意思表示をした。そして,被告の上記意思表示は,債務の免除の意思表示と解され,免除の効果は,権利者の一方的な意思表示によって生じるものといえる。そうすると,被告の上記各請求権は,仮に,その発生が認められたとしても,上記の意思表示により消滅し,原告が,将来,被告から上記の各権利を行使されるおそれは存在しない(なお,被告が,今後,上記各権利を行使するおそれがあることを認めるに足る証拠もない。)。
したがって,原告の上記の請求権が存在しないことの確認の訴えは,確認の利益が存在しないことが明らかである。
以上のことからすると,原告の上記訴えは,不適法な訴えとして,却下されるべきである。
平成20年12月26日東京地方裁判所[平成19(ワ)4156]

【過去の法律関係】

原告が請求の趣旨第2項で確認の対象としているのは,本件システムに対する原告の開発寄与分がどれほどの割合であるかということであり,要するに,原告の本件システムの開発について過去から現在に至るまでどの程度の寄与をしたかという過去の事実を数量的割合の形で確認するよう求めたものと解される。
民事訴訟は,法律上の争訟を解決することを目的とするものであるから,民事訴訟の1類型である確認訴訟の対象となるのは,原則として争いのある現在の権利又は法律関係に限定され,単なる過去の事実の存否は,確認訴訟の対象とはなり得ないものというべきである。もっとも,過去の事実が現在の複数の権利又は法律関係の成否の前提となっており,その事実を確定することがこれら現在の権利又は法律関係を巡る紛争を抜本的に解決することができるような場合には,例外的にこれを確認訴訟の対象となし得るものと解される場合がある(たとえば,証書真否確認訴訟等)。
しかし,本件システムに対する原告の開発寄与分がどれほどの割合であるかという過去の事実が現在の複数の権利又は法律関係の成否の前提となっているものということはできず,その事実を判決をもって確認することにより他の権利又は法律関係を巡る紛争が抜本的に解決され得るという関係に立っているとはいえない。なお,原告の上記訴えは,実質的には,原告が本件システムの著作権についてどの程度の共有持分を有しているかという確認を求める趣旨であると解されるが,それは,結局のところ,原告の請求の趣旨第1項の請求に包含されるというべきである(同請求は本件システムの著作権がすべて原告に属することの確認を求めるものであるが,そのすべてが原告に属するものではないとしても,その一部が原告に属するものであれば,同請求を一部認容して,原告が本件システムについて一定割合の著作権の共有持分を有することを確認する旨の判決をすることは何ら妨げられない。)から,この観点からしても,同訴えは確認の利益を欠くものというべきである。
そうすると,原告の本件訴えのうち,本件システムに対する原告の開発寄与分がどれほどの割合であるかの確認を求める部分は不適法であり,却下を免れない。
平成20年07月22日大阪地方裁判所[平成19(ワ)11502]≫
【コメント】
以下、本件の控訴審
平成23年03月15日知的財産高等裁判所[平成20(ネ)10064]≫も参照:
『控訴人が本件システムに対する開発寄与分がどれほどの割合かの確認を求める訴えについて判断するに,この割合自体が現在の権利又は法律関係となるものではなく,単なる事実関係の範疇に属するものであり,その事実関係から直截に現在の権利又は法律関係が導かれ,紛争を抜本的に解決するような事実関係ということもできないので,この訴えは,確認の利益を欠くものといわなければならない。』

被控訴人らは,控訴人の上記請求は,その請求内容からみて,いずれも,現在の法律関係の確認ではなく,過去の法律関係,すなわち過去に控訴人が行った解除の意思表示や被控訴人ファーストリテイリングが行った更新の意思表示の有効性の判断を求めるものと言わざるを得ず,不適法であると主張する。
確かに,本件各権利の不存在確認請求は,解除日以降において本件各権利が存在しないことや,平成
18年1月1日以降契約更新を請求する権利が存在しないことの確認を求めているという点で過去の法律関係を含むものである。しかし,継続的法律関係である本件サブライセンス契約の当事者間において,いつの時点から本件各権利が不存在なのかを確認することは紛争を適切に解決するために必要であると解されるから,かかる請求も適法というべきである。
平成19年04月05日知的財産高等裁判所[平成18(ネ)10036]

【確認訴訟の当事者適格】

原告Xが被告に対して確認を求めた内容は,「原告協会が,本件脚本を本件書籍に収録し,出版しようとする行為について,被告が原告協会に対して行使することが予想される差止請求権」の不存在である。本件脚本を本件書籍に収録して出版しようとする主体は,原告協会であって,原告Xではない。原告Xは,本件脚本の著作者であり,本件脚本を本件書籍へ収録して出版する原告協会の行為が禁止されるか否かによって,影響を受けることはあり得るが,それは事実上のものである。また,本件においては,原告協会が,本件脚本を本件書籍に収録し,出版しようとする同原告の行為について,被告の原告協会に対する差止請求権不存在確認請求等を,現に提起しているのであるから,出版行為の主体ではない原告Xが,被告の原告協会に対する出版差止請求権の不存在について,即時に確定させる必要性があるとはいえず,原告Xに当該訴えの利益を認めることはできない。原告Xの被告に対する当該確認の訴えを却下するのが相当である。

平成23年03月23日知的財産高等裁判所[平成22(ネ)10073]

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