| WWLM 国際結婚の基礎知識 |
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婚姻(「結婚」のことを法律の世界ではこう呼んでいます。)が有効に成立するためには、例えばわが国の民法では、婚姻適齢に達していること(民法731条)、未成年者の婚姻について父母の同意が必要なこと(同737条)、重婚でないこと(同732条)、近親婚でないこと(同734条)など、法律が要求する一定の積極的及び消極的要件を満たすことが必要です。婚姻の有効な成立に関するこれらの要件を「婚姻の実質的成立要件」と呼んでいますが、このような要件は、日本ばかりでなく、その内容に違いはありますが、世界のどこの国の法律も規定しているところです。 ところで、日本人同士が婚姻をする場合、その婚姻が有効なものかどうかは日本の民法によって判断すればよいのですが、日本人と外国人とが婚姻するような場合は、話はそう簡単ではありません。このような国際結婚の場合、上述しました「婚姻の実質的成立要件」はどこの国の法律を適用して考えればいいのでしょうか?こういった国際間にまたがる法律問題(渉外法律関係)でどこの国の法律を選択・適用するかについて規律している法律があります。いわゆる「国際私法」と呼ばれるものです。わが国で国際私法に当たるものが「法例」という法律です。 話を元に戻しますと、「婚姻の実質的成立要件」についてもこの「法例」の中でどこの国の法律を適用すべきか規定しています。 法例13条1項は、次のように規定しています。 すなわち、婚姻の実質的成立要件に関する準拠法(適用する法律のことです。)は各当事者の「本国法」(原則として、その当事者の国籍の属する国の法律)とされ、日本人と外国人との国際結婚であれば、当該日本人については日本国民法が適用され、当該外国人についてはその者の国籍の属する国の法律が適用されるということです。 例を挙げて説明しましょう。例えば、19歳の日本人男性と、17歳のフィリピン人女性が婚姻しようとする場合、そのいずれの当事者も本国法(日本人男性については日本国民法、フィリピン人女性についてはフィリピン家族法)によって婚姻適齢に達していなければならないところ、日本国民法では男は18歳・女は16歳にならなければ婚姻することができないとされており(民法731条)、一方、フィリピン家族法では男女ともに18歳以上でなければ婚姻することができないとされていますので(フィリピン家族法5条)、当該日本人男性は要件を満たしていますが、当該フィリピン人女性は本国法の要件を満たしていないことになり、結局のところこの2人の日本における婚姻届は受理されないことになります。なお、日本国民法によれば女は16歳になれば婚姻できるとされていても、これを当該フィリピン人女性に適用するわけにはいきません。
多くの国では、婚姻が有効に成立するためには何らかの方式を要求していますが、この「方式」もまた国によって様々です。例えば、特定の役所に届け出ることを必要としている国や、所定の宗教的儀式の挙行を必要とする国などがあります。したがって、国際結婚の場合、この方式についてもどこの国の法律によるべきかが問題となります。 この点、法例13条2項は、次のように規定しています。 さらに、法例13条3項では、次のように規定しています。 例を挙げて説明していきます。 例えば、日本国内において日本人男性と外国人女性(日本人女性と外国人男性の場合も同じです)とが婚姻しようとする場合、当事者の一方が日本人で、かつ日本国内で婚姻しようとするわけですから、婚姻の相手方の国籍を問わず、婚姻の方式は、「婚姻挙行地」つまり日本法によらなければ、わが国では有効な婚姻とは認められません。すなわち、日本国民法739条・740条及び戸籍法74条・25条の規定によって、市区町村長に「婚姻の届出」をし、これが受理されることによって、当該婚姻が有効に成立することになります。 次に、A国人とB国人とが日本国内で婚姻しようとする場合、3つの方式、すなわち、婚姻挙行地である日本法による方式、A国人の本国法であるA国法による方式、B国人の本国法であるB国法による方式のいずれの方式によったものでも、わが国では有効な婚姻と認められます。例えば、日本国内でA国法に定める外交婚(領事婚)をした場合でも、その婚姻はわが国で有効なものとして扱われます。 C国で日本人同士又は日本人とC国人が婚姻しようとする場合には、婚姻挙行地である当該C国法が定める方式又は当事者である日本人の本国法である日本国民法及び戸籍法の定める方式のいずれの方式であっても、わが国では有効な婚姻と認められます。この点、外国での日本人同士の婚姻については、その国に駐在する日本の大使・公使・領事に婚姻の届出をすることもでき、これによって当該婚姻は有効に成立します(民法741条/外交婚・領事婚)。
わが国の方式に従って、日本人と外国人との婚姻又は外国人同士の婚姻の届出がなされるときは、市区町村長は、これを受理するに当たって、当該婚姻が「実質的成立要件」及び「方式(形式的成立要件)」を具備するか否か審査しなければなりません(民法740条)。しかしながら、外国人については、その本国法に定める実質的成立要件の内容が市区町村長にとって必ずしも明確でない場合が多く、不明確のままでは受理できるか否かの判断がつきません。そこで、従来より、外国人については、その本国法に定める実質的成立要件を具備していることを自ら立証すべきこととしており、そのために、原則として、婚姻届に、「その本国の権限ある官憲が本国法に定める婚姻の成立に必要な要件を具備している旨を証明した書面」=「婚姻要件具備証明書」を添付させる取り扱いがなされています。 国際結婚でよく耳にする「婚姻要件具備証明書」とは、以上のような趣旨で求められるものです。 |
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