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ホーム 米国著作権トップ << 米国著作権キーワード解説 最終更新 '08/06/27

著作権による保護を受けられないもの

解説

1. アイディア、方法、システムなど


「アイディア」・「方法(メソッド)」・「システム」等は、著作権による保護を受けることはできません。何かをしたり、作ったりするための「アイディア」や「方法」(例えば、ゲームのルール、料理法)、科学的又は技術的な「方法」や「発見」、商売の「やり方」、数学的な「原理」や「公式」、「方程式」、「アルゴリズム」、その他何かの「概念」や「プロセス(手順)」、「操作方法」、「発見」などは、すべて著作物性が否定され、著作権保護の対象外になります。

米国著作権法102(b)は、この原則を明確に述べています:「いかなる場合にも、著作者の作成に係る著作物に対する著作権による保護は、アイディア(着想)、手順、工程(プロセス)、方式(システム)、操作方法、概念、原理又は発見には及ばない。このことは、これらが当該著作物において記述され、説明され、図解され、又は収録される形式の如何にかかわらない。」
 また、米国や日本が加盟しているWCTWIPO著作権条約)の2条(「著作権の保護の範囲」)では、次のように規定しています:「著作権による保護は、表現されたものに及び、アイディア(思想)、手順[手続]、運用[操作]方法又は数学的概念それ自体には及ばない。」

著作権は、「表現」という外部的な形式を保護するものです。その表現の背後・根底にある「アイディア」などを保護しないことは、国際的な了解事項といっても構いません。

この点をもう少し具体的に説明すると・・・あるアイディアやシステムなどが表現物として言語的・絵画的に「記述」され「説明」され「図解」されれば、その表現物は著作権による保護対象となりえます(例えば、ゲームのルールを説明した「解説書」、レシピを解説した「本」)。しかし、その場合でも、著作権は、その表現された特定の言語的・絵画的な「記述」・「説明」・「図解」を保護しうるにとどまり、その背後・根底に含まれる「アイディア」や「システム」・「方法」等に保護を及ぼすものではありません(ゲームのルールや料理法そのものを保護するものではない)。

ある人が「インナーネットを使ったうまいビジネスの方法」を考案したとしましょう。その人は、イラストや図解を駆使しながら自分が考案したその「うまいビジネスの方法」を本にまとめました。この場合、この人は、著作権に基づいて、その本の内容(イラストや図解、説明部分)を誰かが勝手に複製して出版する行為を止めさせることはできますが、彼の考案したその「方法(アイディア)」を誰かが実践して金儲けをしても、そのことに対して文句を言うことはできません。

「表現」を保護し、「アイディア」を保護しない、というのが著作権制度の大原則のひとつです。

2. 書き込み用紙、書式など


情報(表現)を伝達するのではなく、情報をただ記録するためにデザインされた‘blank form’(書き込み用紙)や‘format’(書式、体裁)などは、著作権による保護を受けることはできません。

米国著作権局の規則(セクション202.1(c)後記掲載)では、「タイムカード、グラフ用紙、会計簿、日記帳、銀行小切手、スコアカード、アドレス帳、レポート用紙若しくは注文用紙のような、情報を記録するためにデザインされ、それ自体で情報を伝達するものではないもの」は、著作権による保護を受けることはできず、著作権局に対して著作権主張のための登録の申請もできないと述べています。


3. 計算装置、測定器具など

何かを計算したり測定するためにデザインされた装置や器具などは、著作権による保護を受けることはできません。例えば、計算尺(slide rule)、万年歴(perpetual calendar)、巻尺、定規、九九の表など。これらは、「アイディア」や「システム」・「原理」・「公式」等に基づいているからです。装置等に含まれる線や数字、記号、目盛り、又はこれらの組み合わせといったものは、アイディアや原理、公式などによって必然的に決定されるものであるため、著作物性が認められないことになります。


4. 名前、タイトル、短いフレーズ、一覧表など


名前、名称、タイトル、題号、短いフレーズ・表現などは、それらがいかに奇抜で目新しく特徴的でも、著作権による保護を受けることはできません。また、出来事や事実・素材などをただ羅列しただけの一覧表も、著作権による保護を受けることはできません。例えば、商品やサービスの名前、商号、団体名、グループ名、バンド名、キャラクターの名前、ペンネーム、芸名、著作物の題号、キャッチフレーズ、モットー、スローガン、材料をリストアップしただけのレシピ、イベントの一覧表など。もっとも、これらのなかには、商標法(trademark law)や不正競争法(unfair competition law)などを通して保護されうるものもあります。なお、ロゴ(logo, logotype)のなかには著作権法によって保護されうるものもあると思います。


5. タイプフェイス(印刷用書体)


参照条文

米国著作権法102条(b)

(b) In no case does copyright protection for an original work of authorship extend to any idea, procedure, process, system, method of operation, concept, principle, or discovery, regardless of the form in which it is described, explained, illustrated, or embodied in such work.

WIPO著作権条約2条(著作権の保護の範囲)
Article 2 (Scope of Copyright Protection)

Copyright protection extends to expressions and not to ideas, procedures, methods of operation or mathematical concepts as such.

米国著作権局規則202.1(著作権を受けられないもの)
§202.1 Material not subject to copyright.

The following are examples of works not subject to copyright and applications for registration of such works cannot be entertained:

(a) Words and short phrases such as names, titles, and slogans; familiar symbols or designs; mere variations of typographic ornamentation, lettering or coloring; mere listing of ingredients or contents;

(b) Ideas, plans, methods, systems, or devices, as distinguished from the particular manner in which they are expressed or described in a writing;

(c) Blank forms, such as time cards, graph paper, account books, diaries, bank checks, scorecards, address books, report forms, order forms and the like, which are designed for recording information and do not in themselves convey information;

(d) Works consisting entirely of information that is common property containing no original authorship, such as, for example: Standard calendars, height and weight charts, tape measures and rulers, schedules of sporting events, and lists or tables taken from public documents or other common sources.
(e) Typeface as typeface.