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>> 契約用語解説 >> 予約

予約

 例えば、甲の所有する土地を将来1,000万円で乙に売買する「予約」を甲乙間で締結しようとする場合、次の2種類の形態が考えられます。
@    一方が本契約(1,000万円の土地の売買契約)を締結する申込みをすれば、他方がこれに承諾を与える義務を負う場合。
A    一方が本契約を成立させようとする意思表示(予約完結の意思表示)をすれば、他方の承諾がなくても、本契約が成立する場合。

 上記@の形態の「予約」とは、当事者に、将来、売買契約を締結すべき拘束を生じさせる「契約」をいいます。つまり、将来売主となるべき者(設例では甲)又は買主となるべき者(設例では乙)が、「本契約を締結しよう」という申込みを相手方にすれば、その相手方がこれに承諾を与えなければならない債務を負担することを内容とする「契約」のことです。そして、当事者双方がこのような申込みをする権利(申込権)を持つ場合を「双務予約」といい、一方だけがこの申込権を持つ場合を「片務予約」と呼んでいます。
 この@の形態の「予約」では、本契約の申込権を有している当事者が申込みをしても、相手方がこれに応じて承諾の意思表示をしない場合には本契約は成立しません。ここでの予約は、将来本契約を締結するための「契約」にすぎませんから、相手方が承諾の意思表示をしない場合には「契約違反」になるだけで、かかる契約違反によって「自動的に」本契約が成立することにはなりません。承諾を与えない当事者は「承諾を与えるべき債務」を履行しないことになりますから、一方当事者は、訴えを提起して相手方の承諾の意思表示に代わる裁判を得なければ(民法414条2項但書参照)、結局のところ、肝心の本契約が成立しないことになるのです。

 以上のように、「双務予約」にしろ「片務予約」にしろ、相手方が承諾の意思表示をしない場合には面倒なことになりますので、民法では、本契約を締結する権利を有する者(予約権者又は完結権者)が本契約を締結させたいとの意思表示(予約完結の意思表示)をすれば、相手方の承諾の意思表示を待つまでもなく、本契約を成立させることができることにしました(同法556条、上記Aの予約)。そして、この予約完結の意思表示をする権利(予約完結権=一方的な意思表示により売買という法律関係を成立させる形成権)を当事者の一方が持っている場合を「(売買の)一方の予約」(民法556条はこれに該当します。)といい、双方が持っている場合を「双方の予約」と呼んでいます。

 以上のように、「予約」には、相手方の承諾の意思表示を必要とする予約と、予約完結の意思表示だけで本契約が成立し、相手方の承諾の意思表示を必要としない予約とがあります。当事者の欲するところに従って以上の4種の「予約」のいずれも有効に成立させることができます。
 なお、実務上、「予約」は、「代物弁済の予約」又は「再売買の予約」という形で、債権担保の目的としてしばしば活用されます(不動産の売買に関する予約完結権は所有権移転請求権保全の仮登記をすることができ(不動産登記法105条2号)、仮登記をした場合には、予約権者は、その後に目的不動産について物権を取得した者に対抗することができます)。