雨飾山 ( あまかざりやま ) Mt. Amakazariyama 糸魚川市



県南西部、頚城山地のほぼ西端にある山で、標高1963m。信越国境にあり、2,000mに届かない山ながら、妙高、火打、焼山、金山、茂倉峰と続く「頚城アルプス」の一翼を担う。
新第三世紀の堆積岩を貫くひん岩が高くドーム状にそびえている。深田久彌によって日本百名山の一つに選定された。

長野県側からは小谷温泉から、新潟県側からは雨飾温泉(旧梶山温泉)から、それぞれ主要な登山道がある。小谷温泉からの登路は比較的楽に登頂できるが、雨飾温泉側からは急登が続く薬師尾根を登らねばならない。山容を代表する双耳峰は根地谷からが一番美しい。長野県小谷村からは急峻な三角形で2つの耳は見えない。
縦走コースも選択できる。1つは妙高から火打・焼・金山から茂倉尾根、大曲から急登して笹平へ。もう一つは海谷山塊の駒ヶ岳・鬼ヶ面山・鋸岳3山から大曲を経て笹平へ。この2つの主稜線の接点が大曲で山頂へと続く。しかし、縦走は難易度が高い。

山頂付近は険しい崖で特に東南面はフトンビシの大岩壁をなしている。山頂は「猫の耳」と呼ばれる双耳峰となっており、南峰(長野県側)には標柱と三角点が、北峰(新潟県側)には石仏が並ぶ。また山頂からの360度の展望は素晴らしく、北アルプス、後立山連峰、焼山、茂倉尾根が眺望でき、天候に恵まれれば、日本海を望むこともできる。
山頂直下東側の台地は笹平と呼ばれ、ササや草原の中に池塘が点在しお花畑も見られる。
また山頂から笹平の山道を振り返れば、インターネットでも有名となった「女性の横顔」がくっきり浮かび上がって見える。

昔から「塩の道」を往来する旅人に親しまれてきた。山麓の住民は毎年5月5日に風祭りの登拝行事を続け、頂上の石祠に御神酒を捧げて風除け、豊作を祈願してきたといわれる。
名前は、山頂に祭壇を祭り雨乞い祈願をしたことが、由来と伝えられている。また古来日本海の漁民や船乗りの航海の目印にした目立つ山で、天を飾る美しい山が山名の由来ともいわれる。
昔は「あまかざり山」と呼ぶほかに、あらすげ山とも呼ばれていた。
また、書き方も天錺山や両粧と書いてある古書もある。両粧と書くのは、新潟県の大野辺りから見ると2つのコブが近くの山の上に乗って見えることから名付けたものだとか。

🔶梶山コース
雨飾温泉前にある露天風呂「都忘れの湯」の横から本格的な登山道となる。梶山薬師堂を参拝してから石畳の急坂を登る。20分で薬師尾根の『難所のぞき』で、眼下のシンナンショウ沢から水音が聞こえてくる。
ブナの原生林が続く尾根筋の道はコース最大のポイント「中ノ池」まで続くこの道はブナ、ナナカマドの木々に囲まれた樹林帯を歩く。
直下に5mほどの金属のハシゴが掛けられている『一ぷく処』に到着する。ここから山頂まで2時間40分である。
薬師尾根とわかれ、左折して『中ノ池』までのトラバースの道をしばらく歩く。夏は小さな池になるが、春先から初夏にかけて雪の残る低地で、初夏にはミズバショウが咲き、ひと時の楽園となる。周囲には白い花が多く、サンカヨウズダヤクシュマイヅルソウゴゼンタチバナキヌガサソウツバメオモトが一斉に開花する。
『笹平』までは薄暗い沢状のガレ場で急登、遅くまで雪が残り、足元が悪く浮石落石にも注意がいる。
やがて頭上の切れ込みが明るくなると『笹平』に着く。笹平は雨飾山の肩にあたり、駒ヶ岳や鬼ヶ面山から、根知川の日本海にそそぐ水内際まで見える。小谷温泉からの道と合流し、気持ちの良い草原を行く。
ハクサンイチゲハクサンチドリシラネアオイヨツバシオガマミネウスユキソウと色とりどりの花が咲き乱れるお花畑の中に道が続く。笹平分岐点から20分、ジグザグに急斜面を登るとですばらしい眺望が待つ雨飾山山頂だ。足元には可憐な高山植物が咲き、高山蝶が花から花へ飛び回っていて、天上の楽園さながらである。
雨飾山は二つの峰(双耳峰)からなり、『北の峰』(新潟県)には小祠、『南の峰』(長野県)には二等三角点がある。

















雨飾高原二百景

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  • 作者:杉本英彦
  • 出版社:鬼灯書籍
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雨飾山と海谷山塊

雨飾山と海谷山塊

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  • 発売日: 2008年07月




































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