菱ヶ岳 Mt. Hishigatake 上越市



菱ヶ岳(1129m)は、上越市と信越国境に近い関田山地東部に位置する独立峰で、関川支流・保倉川の水源をなす山である。山体は新第三紀の堆積岩をマグマが貫いた輝石安山岩から形成され、東側の切り立った岩壁や登山道沿いでは、その成り立ちを示す岩石を観察できる。西口登山口付近には、噴出したマグマが固まってできたとされる「火炎石」があり、近くには豪快な不動滝が流れ、登山前後の見どころとなっている。
山麓から山頂にかけてはブナやミズナラを主体とした落葉広葉樹林が広がり、多雪地帯特有のユキツバキやエゾユズリハなども見られる。春には雪解けとともに水芭蕉が咲き、登山道脇には湧水「どんどん清水」が湧くなど、豊かな自然環境に恵まれている。
菱ヶ岳は古くから信仰の山として知られる。伝承では、和銅元年(708)、裸形上人が妙高山を開山した際、東方にそびえるこの山を見出して「菱ヶ岳」と名付け、山頂に草庵を結び薬師如来を祀ったという。以来、薬師信仰の霊山として崇敬を集め、修験道の修行の場となった。明治初年までは女人禁制の山でもあり、厳しい信仰の対象であった。また、鈴木牧之の『北越雪譜』には「山の形三角なるがゆえの名なるべし」と紹介され、端正な三角形の山容が山名の由来と伝えられている。
戦国時代には、上杉謙信が山頂に物見の櫓を設けたとの伝承も残り、日本海や高田平野を見渡す戦略上の要地として利用されたともいわれる。
現在は登山道がよく整備され、初心者でも比較的歩きやすい山として親しまれている。山頂には一等三角点のほか観音堂と菱神社が建ち、眼下にはキューピットバレースキー場や高田平野が広がる。天候に恵まれれば日本海や薬師信仰で結ばれる米山、阿弥陀信仰の妙高山まで望むことができ、歴史・信仰・地質・自然・展望の魅力を兼ね備えた上越を代表する名峰となっている。(案内図)

🌌見どころ
菱ヶ岳最大の魅力は、変化に富んだ自然と山頂からの大展望にある。登山道では、マグマの貫入によって形成された輝石安山岩の岩壁や「火炎石」など、特徴的な地形や地質を間近に観察できる。不動滝の豪快な流れや、湧水「どんどん清水」、春に咲く水芭蕉も見どころの一つ。ブナやミズナラの森は新緑や紅葉が美しく、多雪地帯ならではのユキツバキなども見られる。山頂には観音堂や菱神社、一等三角点があり、高田平野、日本海、米山、妙高山などを一望できる雄大な眺望が広がり、歴史や信仰、自然景観を一度に楽しめる山となっている。
🌌山名の由来
菱ヶ岳の山名には二つの由来が伝えられている。一つは、和銅元年(708)に裸形上人が妙高山を開山した際、東方にそびえるこの山を見つけて「菱ヶ岳」と名付け、山頂に草庵を結んで薬師如来を祀ったという伝承である。もう一つは、江戸時代の文人・鈴木牧之が『北越雪譜』で「山の形三角なるがゆえの名なるべし」と記した説で、鋭く整った三角形の山容が菱形を連想させたことに由来すると考えられている。現在では、端正な山姿にちなむ説が地形的にも自然な解釈とされる一方、古くから薬師信仰の霊山として崇敬されてきた歴史も山名と深く結び付いている。
🌌山にまつわる言い伝えや出来事
菱ヶ岳は古くから薬師信仰の霊山として知られ、裸形上人が山頂に草庵を結び薬師如来を祀ったと伝えられる。以来、多くの修験者が修行を行う山となり、明治初年に神仏分離が行われるまでは女人禁制の霊山であった。山頂には現在も観音堂と菱神社が建ち、往時の信仰を今に伝えている。また、戦国時代には上杉謙信が山頂に物見の櫓を設け、高田平野や関田山地、日本海方面を見渡す監視拠点としたという伝承も残る。信仰の山であると同時に、軍事上の要地としても語り継がれてきた歴史を持ち、自然だけでなく上越地方の文化や歴史にも深く関わる山である。
🌌注意事項
🤩菱ヶ岳は初心者でも登れる山として知られるが、標高差があり、急登や滑りやすい場所も点在する。雨天や雨上がりは粘土質の登山道や岩場が滑りやすくなるため、足元には十分注意したい。春先は残雪が残ることがあり、晩秋は落ち葉で登山道が見えにくくなる場合もある。天候の急変に備えて防寒具や雨具を携行し、クマの生息域でもあるため熊鈴などの対策も欠かせない。余裕のある行動計画を立て、安全第一で歩くことが重要である。
🤩菱ヶ岳では、西口登山道沿いにある湧水「どんどん清水」が代表的な水場として知られる。年間を通じて比較的豊富な湧水量があり、登山者の休憩地点として親しまれている。ただし、自然の湧水であるため、水量は季節や降雨状況によって変化することがある。飲用する場合は自己判断とし、必要に応じて煮沸や浄水器を利用すると安心である。山頂や稜線上には水場がないため、登山前に十分な飲料水を準備して入山したい。
🤩グリーンパーク登山口はキューピットバレイ・グリーンパーク駐車場から歩き始める一般的な登山口で、登山道はよく整備され道標も充実している。ブナ林や湧水、四季の草花を楽しみながら登れるが、中盤以降は急登が続き体力を要する。難易度は初級~中級程度で、登山経験の少ない人でも時間に余裕を持って歩けば山頂まで到達しやすいコースとなっている。




菱ヶ岳のブナ林 動画

長野県境の菱ヶ岳(1129m)の西潟斜面に存在する天然林である。国道403号線が通り、ブナの天然林に容易に触れることが出来る。早春のブナの芽吹きは、残雪に映える光景は、特に目を見張るものがある。ブナ林の周囲には、ミズバショウの群落、タムシバの林、それに清流に住むイワナ、サンショウウオ等がみられる。

火炎石

不動滝登山口駐車場の手前、登山道西口の道路反対側に、柱状の火炎石群がある。不動滝の上部に当たる。マグマが地下で固まってできたといわれる奇岩である。ここから滝の下までは50mを超す絶壁。絶景の眺めである。

不動滝 動画 ※GOOGLE 画像

落差30m、2段の滝。菱ヶ岳を源流部とする小黒川にかかる。火炎石の下にある。水量は豊富。昔は、菱ヶ岳と共に薬師信仰の対象であり、山伏修験者の道場だった。
不動滝登山口駐車場に簡単な標識が設けられていて、滝の上部地点から約15分、急降下しブナの巨木に囲まれた景観の素晴らしい台地にでる。轟音を立てて落ちる不動滝が樹林越しに見える。滝壺はまっすぐ下となり、幽谷を成している。

















上越・信越 国境山脈

上越・信越 国境山脈

  • 作者:
  • 出版社:山と溪谷社
  • 発売日: 2019年09月28日頃




































グリーンパーク登山口 西口登山口 菱ヶ岳 不動滝 火炎石