八海山 Mt. Hakkaisan 南魚沼市



八海山は、駒ケ岳、中ノ岳と合わせて越後三山と呼ばれている。小出付近から見て、左から駒ヶ岳、中ノ岳、八海山である。
鋭い岩峰群を頂く鋸の歯のような山容はどこから眺めてもそれと分かる。山頂の岩峰群は八ツ峰と称し、八海神社から見て左手から、地蔵岳、不動岳、七曜岳、白河岳、釈迦岳、摩利支岳、剣ヶ峰、大日岳と連なる。大日岳(1720m)が10合目主峰であるが、八海山の最高峰はその右手の入道岳(1778m)だ。
地層は、今から約二千万年前の、第三紀中新世前期と呼ばれる時代にできた。その後、この地域に激しい造山運動が起こって土地が隆起し、八海山を含む越後三山が形成 された。尾根の部分は、非常に硬い礫岩と呼ばれる岩石でできている。
八海山は古くから信仰の山として、また山岳宗教の修験の場として知られてきた。新潟県を代表する 名山で、古くから農業の神様とされて親しまれてきた。八海山にかかる雲や残 雪の形で天候を占い、農業の暦として役立てられてきた。
信仰の山だけあって、登山道や八ツ峰には、各合目石や標石とともに神仏像や祠、鳥居などが多く置かれている。山頂は、八ツ峰または八剣といって、いくつかの岩峰からなり、信者はそのひとつひとつを巡拝して、大日岳(奥ノ院)に達することになっている。これを、八ツ峰巡りとか八剣巡りと言って、不浄の者が登れば、雲霧が生じて山が荒れるという。
8つの峰の一つ、標高1720mの大日岳が山頂で、八海大明神を祀る奥の院があり、麓の六日町山口、大和町の大倉と大崎にはそれぞれ里宮があって、そこが登山口になっている。
毎年3万人を超える登山者がいるが、白装束に身を固めた、山岳修験のための登山者の姿も少なくい。 また麓の幾つかの里宮では、毎年「火渡り」の儀式も行われ全国から多くの信者や見物客が集まる。

山麓から中腹(4合目)までは八海山スキー場になっていて、ロープウェイがかかっているため、一般的には山頂駅から登山を開始する登山者が大多数。八海山女人堂 ( おばこどう )遙拝場まで登ることができるため、多くの人々が気軽に登山できるようになった。かつて女性はこの先に行くことを禁じられ、最後の遥拝をして下ったという。ここから山頂までの登山道は厳しい岩場を通る。
ロープウェイは山開きが行われる7月1日に合わせて営業を開始する。八海山の花の季節は6月中旬がベストといわれ、従来の登山道を登って楽しみたい。カタクリイワウチソウタムシバオオカメノキなど春の花が迎えてくれる。(案内図)

🔶八海山ロープウェイ利用 (※動画)

ロープウェイで、10分余りで山頂駅に着く。山頂駅付近は鬱蒼としたブナ林で、クロジのスローテンポな鳴き声が目立つ。降りて少し登った尾根上に、『八海山遥拝所』がある。この展望台地(1120m)で大崎口からのコースが合流し少し行くと4合目だ。雑木に覆われた尾根道をしばらく進むと『四号半』で大倉口のコースが合流する。池ノ峰脇の平坦な道を行くとモリアオガエル生息地の『コギ池』がある。
ここから急登となり、右の岩峰下の穴を登る『胎内潜り』と分岐する。胎内潜りの道は少し先の上で、登山道と合流する。先で視界が開け、『女人堂』(6合目)に着く。女人堂から上部の薬師岳まではベニサラサドウダンアズマシャクナゲヒメシャガシラネアオイマイヅルソウゴゼンタチバナアカモノなどが足元を飾っている。
先をくだっていくと浅草付近、信者たちが最後に身を清める『祓川』と呼ばれる沢の水場から薬師岳への急登が始まる。ハシゴや鎖のついた岩場を経て多くの仏像が並ぶ1653.3m薬師岳に着く。
薬師岳を越えてひと下りすると、『千本檜小屋』に着く。ここに宿泊してみる日本海に沈む夕日の眺めは、まさに絶景である。
小屋の少し先で右に『迂回コース』を分けて、『八ツ峰コース』は地蔵岳から大日岳まで19ヶ所の鎖と梯子の連続である。
大日岳は海抜1720m、八海山の主峰で、日神岳や奥ノ岳とも称し、いろいろの神仏がところせましとばかり並んでいる。眺望はよく、薙ぎ落ちた水無川のかなたには駒ヶ岳が悠然と聳え、中ノ岳・小沢岳・下津川山など上越国境の山々や妙高山、火打山から北アルプスの峻嶺、さては日本海に浮ぶ佐渡ヶ島までよく見える。
大日岳の長い垂直の鎖を下ると八ツ峰は終わる。先を行くと、右下に迂回路や新開道への分岐がある。
『迂回ルート』は、日の池、月の池を経て大岩のはしごを登り、八ツ峰ルートと合流して八海山の最高峰1778mの入道岳に至る。
帰路は迂回路を行く。迂回路といっても鎖場や、絶壁をトラバースする所もあるので慎重に足を運ぼう。千本檜小屋の手前で来た道と合流して、往路を下る。

🔶屏風道コース

芝草の2合目登山口、屏風道の標識から小道を下る。屏風沢を渡渉し杉林に入る。3合目を過ぎ『生金沢』となる。対岸から尾根を回る。大岩から左へ曲がると生金道との分岐がある。生金道は廃道で進入禁止だ。急角度で右に曲がるとすぐに、岩場の始まりである。5合目過ぎから険しさを増す。6合目は岩の平坦地で。
7合目『摩利支天』は水に囲まれた小広場で。ここは屏風岩の真上。7合目の先を下ると枯れ沢に出合う。赤い矢印に導かれ、30m登って対岸に移る。しばらく登ると8合目だ。鎖場を斜上すると尾根上に出る。小笹の中の道をひと登りとすると9合目『千本檜小屋』に着く。八ツ峰渡は19本の鎖や梯子を伝い、約1時間で大日岳に着く。大日岳の下から入道岳寄りにわずかに登ると、分岐を記した石の標識が置いてある。そこから下へ10数本の梯子を下り、斜面を横にへつると新開道分岐の標識がある。屏風道コースは降りに使うと危険なため、帰りにはこの新開道を使うとよい。

🔶大崎コース

大崎登山口は、頂上までの距離がいちばん長いが、最も登りやすく、かつ手入れも行き届いている。
杉林に囲まれた八海山神社里宮があり、ここが1合目になっていている。八海山神社わきは深い谷となっていて、ヤマセミハクセキレイの棲みかとなっている。信者はこの裏にかかっている不動ノ滝で修行する。傾斜のきつい道を登るにつれ2合目十二倉ノ森につき、ここから頂稜の道となる。右に行者ノ滝へいく道と分かれて清水がこ滾々と湧いている金剛冷泉と霊泉小屋がある。
樹林を抜けて3合目となる。4合目で八海山ロープウェイからのコースと合流する『八海山遥拝所』がある展望台地と合流する。








☆ 八海の放れ駒の言い伝え ☆

越後では、昔から月遅れの5月6日の後節句に、馬を入れて田かきをしてはならぬとい う固いタブーがあった。この禁を犯せば、その年は凶作になるからだという。
昔、東頚城郡松之山に、与作という怠け者で変人の男が住んでいた。与作は後節句の日 に馬を田に入れ、田かきを始めた。
ところが、与作がいくらあせっても馬の動きが鈍くて働こうとはしなかった。与作は思 うようにならない馬の態度に怒り、力任せに馬の尻をたたいた。すると馬は「ひひーん 」と一声いななき、空中へ舞い上がってしまった。
このはずみで与作は泥田の中にしりもちをついたが、
「馬なんかになめられてたまるもんか」
といって起き上がり、手綱につかまって天を駆ける馬の後を追いかけていった。そして 山を越えたにを渡り、一生懸命追っているうちに、馬は魚沼の霊峰八海山の上空まで着 てしまった。
ここで馬は地上に舞い下り、山をめぐりはじめた。与作は手綱にすがって、馬を追い かけているうちに、とうとう力尽きて倒れ、死んでしまった。
毎年4月の融雪期になると、八海山の斜面に、馬の姿がありありと見えるという。この 地方の人々は数百年後の現在も、この馬の行き方を仰いで農耕の適期を知り、人の道を 踏み外すまいと自らを戒めている。
(新潟県伝説集成)


☆ カタクリ ☆

南魚沼の地に春の訪れを知らせるピンクの可憐な花【カタクリ】。山あいを覆う薄紫のじゅうたん-。南魚沼市山口の八海山ロープウエー山麓駅付近では春の1ヶ月間、カタクリの花の大群生をお散歩気分で気軽に楽しめます。
ロープウェーの青空散歩で萌え立つ越後の大パノラマを楽しむ&カタクリを楽しむことが出来る、一粒で二度オイシイ観光地です。
南魚沼の自然にあふれる春独特の優しい色・空気を五感でお楽しみ頂けます。


  • 〔所在地〕八海山ロープウェー山麓駅周辺
  • 〔駐車場〕 1000台
  • 〔見どころ〕

    • カタクリの群生
      〔見頃〕 4月下旬~5月初旬


    • カタクリまつり

      〔開催日〕 ゴールデンウィーク中に
      〔開催場所〕八海山ロープウェー山麓駅のゲレンデ
      〔特徴〕魚沼きのこ汁の振舞いと、地元の城内観光協会による飲食物などの販売を行います


  • 月期間 期間 カタクリ→




















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