湯の平渓谷 Yunohira Valley 新発田市



東北電力の加治川ダム工事のため、当面の間赤谷林道及び湯の平登山道を全面通行止め(歩行者を含む)とし、再開はわかっていない。(※詳細は新発田市の紹介ページへ)

飯豊山塊に源を発する加治川は、新発田市内を流れて、北蒲聖籠町から日本海に注ぐ。途中、加治川治水ダムと加治川ダムを越える。加治川ダムから先は飯豊川と呼ばれている。湯の平では天然湯が流れ落ちる。
加治川治水ダムと加治川ダム間の林道を赤谷林道、加治川ダムから湯の平までを湯の平登山道と呼び習わしている。
東赤谷集落から加治川治水ダムまでは5.5㎞、自動車でも行けるが、歩くと1時間30分で、途中の渓谷で見るべきところも多い。
加治川治水ダムは、よく整備された親水公園になっている。ここから先、上流の加治川ダムまでの赤谷林道で8.2㎞、は豪雪地で雪解けが遅いため、6月を過ぎないと車は通れない。徒歩で2時間30分である。治水ダムからは登山届が必要で、提出するためのポストもある。
両側の山は殆ど絶壁ばかりの狭く深い渓谷で、谷底に日が当たるのは午前8時近くになってからである。日が差し明るくなると、アカショウビンオオルリの声が渓谷に響く。
加治川ダムから北股岳(2024.9m)への湯の平登山道に入る。カマボコ型の湯の平山荘まで3.4キロ、1時間40分の行程。幾つもの沢、断崖絶壁の岩越平を越し、北股川出会いの吊り橋を渡って水天狗坂を下れば同山荘に着く。
岩石がせり出す渕、巨岩に囲まれコバルト色に住む瀞、谷を埋める大きな石がゴロゴロ、バラエティーに富んだ渓相は明るい。過去に土石流で崩れた渓谷の湯壺は「蟹湯」として甦った。昔、マタギが発見した湯だ。この温泉周辺はブナの天然林で知られた場所であり、夏の新緑、秋の紅葉と心奪われる。
尚、「湯の平」の呼称については「ゆのたいら」「ゆのだいら」「ゆのひら」など確定したものがなく、時々に応じて呼ばれていたが、新発田市で今後、「ゆのひら」に統一していくと平成22年(2010)に表明している。


湯の平温泉のブナ林

加治川ダムからブナの天然林の中3.5㎞の湯の平登山道を行くと、野趣あふれる露天風呂の湯の平温泉に着く。湯の平温泉の周辺一帯は遅い春から始まる。残雪の中、ブナの若緑の芽が吹き出し、自然は一斉に目を覚ます。夏、ブナ林の緑が深まり、秋、山々の頂から始まった紅葉が温泉までとどき、燃えるような自然に取り囲まれる。


やおきの泉


湯の平温泉 ※GOOGLE 画像

湯の平山荘の周囲はコバルト色に澄む清流。源泉は、山荘から50m余り離れた渓流沿いにあり、河原に露天風呂が設けられてあって、対岸からミソサザイの歌声が響く。男湯は崩壊で埋没し、現在は女湯に時差で男女交代で入浴することになっている。晩秋、身を紅葉に染めながらの入浴気分は格別、星空を眺めながらの夜もまた楽しい。秘境的魅力にあふれた静かな山の湯宿である。
文久年間(1860年代)に山形県米沢のマタギ(猟師)が3人がクマ狩りに飯豊川へやってきたが、そのうち一人が過ってがけ下へ転落、負傷した。
しかし谷が深く、残された2人は救助することもできず、持っていた食料を投げおろしやむなく引き返した。負傷したマタギは、谷をくだって行くうち、一カ所だけ雪が溶けて熱湯が湧き出しているのを発見。手当をかねて入浴すると傷は意外に早く治り、マタギは無事生命を取りとめた。これが湯の平温泉のはじまりと言われている。

❏〔開設期間〕 毎年7月初旬から10月末
(降・積雪状況により変動。この間、山荘管理人が常駐)※この開設期間以外は途中の吊り橋を撤去するので通行できません。
❏〔施設〕 露天風呂(泉質:ナトリウム、カルシウム塩化物、硫黄泉、湯温:45℃~70℃、効能:リューマチ、痛風、皮膚病)
炊事場、トイレ、キャンプ場(テント10張可)
❏〔山荘定員〕 宿泊25人
❏〔利用料金〕 宿泊1000円、休憩200円

















湯の平山荘 北の股川吊り橋 加治川ダム 加治川治水ダム