【エヴァンゲリオン幻戦記】
これまでのあらすじっ!
超絶美少女惣流アスカラングレー(何よ?なんか文句ある?)を探して旅するシンジとレイ。
ミサトの紹介で松代の邑を目指す道中でマユミと知り合ったり、追っかけてきた人形をやっつけたり、とまぁついてるんだかついてないんだか。
結局松代にもアタシ…じゃなかったアスカの情報はなかったんだけど、松代の代表者の冬月さんが情報集めをしてくれるって言うんでちょっと一休みってところね。けど相変わらずシンジはエヴァが出てくるのが嫌らしくて加持さんにいろいろ言われて悩んじゃってるわけ。ほんとバカよね。
木々の間から注ぐ日差しの下、シンジとレイの二人はずっと日向ぼっこをしていた。
「…え?」
ふとなにかに気づいたレイが目を開ける。
「なに?」
レイの様子に気付いたシンジが顔を向ける。
「………」
レイは自分の手をじっと見る。
「なにか…変」
目の前でゆっくりと自分の手が動く、シンジの方へ向かって。
「綾波?」
「いか………!?」
突如、レイの両手が伸びるとシンジの首をつかんだ。
「!?」
「あやな…ぐっ!」
「違う!私じゃ…」
懸命に手を放そうとするレイだが、意識が徐々に遠くなって行く。そして、それと反比例するようにシンジの首を絞める手に力がこもっていく。
「だ…め…いか…く…にげ…」
ここに至ってシンジは状況を理解した。
「エ…ヴァ…」
「………」
レイは答えない。
既に目からは光が失われている。
「ゆる…さ…な…、…のっと…なんて…」
懸命に声を絞り出すシンジ。
『オマエハ、イチイチウルサイ』
その言葉を認識したのを最後にシンジの意識は闇に閉ざされた。
バン!!
突如、ドアが吹き飛んだ。
「!?」
加持さんは咄嗟にベッドの上へ跳ぶと、腰のマグナムを引き抜いて構えた。
襲撃者に狙いをつけて引き金を…だが、射線の先に予期された襲撃者は存在せず、
「どうしてくれるんだ加持!?」
そう叫ぶ少年がいただけだった。
驚きから立ち直った加持さんは銃を下ろすと慎重に相手を観察する。
紅の瞳。
挑戦的な眼差し。
やたらに綺麗な顔。
なにより放つオーラとでも言おうか、空気が違う。
「…エヴァンゲリオン、か?」
相手は不機嫌そうに顔をしかめた。
「僕のような美男子が他にいるとでも思ったか?」
やや子供っぽさを感じはするが、こういう時の顔立ちはやはり男のものだ。
「やれやれ、もっと静かにノックできないかい?」
気を取り直した加持さんはベッドへ跳ぶ際に蹴飛ばした椅子を起こすとほこりを払う。
「そんなことはどうでもいい!それよりこの始末をどうしてくれるんだ加持!?」
床に倒れているドアを起こして観察する。
ドアは蝶番が弾け跳んだだけで扉そのものには傷一つ無い。
(どういう開け方をしたんだか…)
ドアを壁に立てかけると問い返す。
「この始末というと何の事だい?」
「健忘症にでもなったか?お前が余計なことを言うからシンジの奴がいらんことを考えるんだ!ちょっと一休み?冗談じゃない!!僕は一分一秒でも早くアスカに会いたいんだ!!」
「…なるほど」
大体の状況を推察した加持さんがうなずく。
その一方でこうまで彼等の会いたがるアスカという少女への興味が増す。
結局の所、“彼”と“彼”がなぜアスカを探しているのか加持さんには理解出来てはいない。
シンジが彼女を探す理由はもっともそうでいてなにか根源的な部分が抜けている気がする。
今、目の前にいる少年は異常なまで彼女への執着を言動で示してくれるのだが、なぜ探しているのか聞いたことは無い。
そんな加持さんの思考にはかまわずエヴァは続ける。
「だがしかしっ!マユミのことを放っておくのも後腐れが悪い。そこで僕は既成事実をもってあの馬鹿共に対抗する事にした」
「既成事実?」
「バンクから種を回収してくる。それだけだ」
少年はいともあっさりと言ってのけた。
「それだけって、あのバンクにはゼーレの部隊が………君には関係ないか」
先日の一件を思い出し嘆息する加持さん。人形などいくら集まろうとこの少年の敵ではないのだろう。
「そういうことだ。わかったらさっさと支度しろ」
「支度?」
「お前を運転手として使ってやると言ってるんだ。光栄に思えよ」
少年はあくまでも偉そうに言った。
【第六幕 敵】
つまるところエヴァは道案内と運転手が欲しかったらしい。
加持さんはすばやく荷物を整えると、バンクの位置を調べて車を調達した。
せっかくエヴァが出てきているのだ、この機を逃す手はない。
冬月さんだけには簡単に事情を説明しておいて、急いで車を出した。
かくして数時間後。
「で、どう攻める?」
バンクを守るゼーレの基地を前に加持さんが尋ねた。
「どう攻めるもこう攻めるもない。ただ潰すだけだ。お前は邪魔だからその辺で僕の華麗な戦いを見物してればいい」
「ありがたくそうさせてもらおう」
加持さんは喜んで従った。
なんといってもエヴァの戦闘能力をじっくりと観察する事ができるんだもんね。前回ろくに見る暇がなかったぶん今回取り返そうというところかしら。
エヴァは深く息を吸い込んだ。
「天か呼ぶ!地が呼ぶ!人が呼ぶ!人形倒せと僕を呼ぶ!今、天下無敵の必殺必中大爆発!
どっかぁぁぁん!!!」エヴァが叫んだ瞬間地面が震えたかと思うと、数百メートル先の基地で盛大に煙が立ち昇った。
「よおぉぉっし!!いっくぞぉぉぉぉ!!!!」
ジッと何かが地面を擦るような音がしたかと思うと土煙を上げてエヴァは基地に突進していった。
薄暗い空間に二人の男女がいた。
もっとも真の闇だとしても二人にはさしたる支障はない。
(そう…風間は脆弱な人間などとは違う)
女…というよりは少女に近い細いシルエットの人物は考える。
風間は肉体を捨て自分達と同じ高位な存在になったのだから、と。
そう、自分と同じ…
「実地訓練のデータを検討した」
男性が口を開く。若い男の声だがほとんど感情を感じ取れない。
「十分な成果だ。君の“母上”もお喜びのことだろう」
男の背後のディスプレイにはいくつかのデータが羅列されその先頭に“ANGEL−3”というコードが表示されている。
「いえ…それは風間の…的確な指示があったからです…」
「それは違うな。これは君の実力だよ。私も喜んでいる」
男…風間は資料を見ながら話を続ける。
「は、はい…風間に喜んで頂けるなら…私もうれしい…です」
「この分だとデータの収集も予定より短期間で終わることだろう。それは他の子達の調整にも役立つ」
「でもお姉様達をさしおいて私ばかり…そ、それに次の作戦は私一人でと聞きました」
「それが?」
「いえ、その…私、風間がいないと」
「無論、私は全ての状況をモニターしている。ただ、次からは私の指示無しに君の考えだけで行動するというだけだ」
「わ、私はまだ…」
「私は君は一人でも十分に任務を遂行できると考えているんだがね」
「………」
「それとも私が信じられないかい、キリエ」
ダークグリーンの瞳が闇の中から少女…キリエを見つめた。
キリエはその瞳に吸い込まれそうになる。
「…いえ…風間は…信じます」
その答えに風間が浮かべた表情、その意味をキリエは知りえなかった。
『どうだ地道に戦争してるのが馬鹿馬鹿しくなっただろう?』
前回、登場した際、かの王子様はそう加持さんに言っていた。
(しかしまぁなんというか…本当にばかばかしくなるな)
双眼鏡で見守る加持さんの視界には、爆発が起きては中に巻き上げられてばらばらに吹き飛んで行く人形達の姿ばかりが映っている。
たまに視界を横切る影がたぶんエヴァだろう。強化されて必要以上に性能のいい加持さんの目でもその姿をとらえることは難しい。
ザッ
視界内の人形をあらかた片づけたエヴァは右足で急ブレーキを掛けて踏みとどまる。
ぶおっ
その場でおもむろに右腕をふりかぶると叫ぶ。
「もくひょおかっくにーん!ぶっこわーす!!」
サイドスローぎみに振り抜いた右腕から放たれた何かが空気を押しのけて突き進む。
それが基地のもっとも奥まった場所にある施設を直撃した直後、施設の中からばふっと煙が吹き出た。
同時に人形たちが一瞬硬直したかと思うとバタバタバタと次々に倒れていく。
ややあって施設の上に立っていたアンテナがゆっくりと傾いて地面に落下した。
人形達はそのままぴくりとも動かない。
ゼーレからの命令を中継する設備とアンテナを破壊したためである。これで文字どおり人形と化したわけね。
ゆっくりと基地に踏み入ってきた加持さんは立ちつくしているエヴァを見て怪訝そうな顔をした。なにやら元気がないように見える。
「…どうかしたかい?」
ゆっくりと顔を巡らすエヴァ。
そのままぽつりとつぶやく。
「…あまりのかっこよさに感動した」
「………」
しばしの間、言葉を失う加持さん。
ややあって我に返ったエヴァは猛烈に文句をならべ始める。
「…ところで加持」
「なんだい?」
「なんださっきの台詞は!ここで僕に話し掛けるのに『どうかしたかい?』はないだろう!」
「じゃあどう言えばいいんだい?」
「いろいろあるだろう!?『かっこよかったぞ』とか『ほれぼれした』とかだな!」
「あぁかっこ良かったよエヴァ、ほれぼれした。ところでバンクから種子を回収しようと思うんだが?」
「…なんかお前とは致命的に相性が悪いような気がするぞ」
EVANGELION ILLUSION
Stage06: ENEMY
「隊長」
呼びかけにジープの助手席で昼寝をしていたミサトが目を覚ます。
「ん?なぁに?」
話し掛けた方も話し掛けられた方も移動中だ。辺りには何台ものバイクや車が並んで走っている。
現在葛城ファミリーは先日までのアジトを引き払って本拠地へ帰還中である。
日向副長の運転するジープの助手席の隣をバイクで並走しているのは、先行していた相田ケンスケである。ヒカリなどと同じく葛城ファミリーでも最年少の隊員の一人だ。戦闘よりも敵の発見や土地勘などに優れており部隊に先行して危険の発見や排除に努め、部隊の進行ルートを確保する役目を負うことが多い…ってなんだか最近妙に作者の作品での役回りがいいわねアンタ。そのうち痛い目にあうわよ。
「この先で“三浦”から逃げて来たらしい難民に会ったんですけど」
「三浦?そう、やっぱり逃げ切れた人もいたか」
三浦は最近連続して襲撃された集落の一つだ。生存者は一人もいないという話だったけど…いくらゼーレが綿密な作戦を取っても逃亡に成功する人はいて当然ね。
「それで?」
「妙なことを言ってましてね。『手から火を出す女に村を焼かれた』っていうんですよ」
「火?」
「ええ、ま、実際は火炎放射器なり爆弾なりでしょうけど。人形じゃなくて女ってのが気になったもので」
「………そう」
しばし考え込むミサト。
「ありがとう、偵察に戻ってちょうだい」
「はい」
軽くエンジンを吹かすとバイクは軽快に走り去っていった。
「隊長?」
日向さんの呼びかけに応えずミサトは再び瞼を閉じた。
「緑のせいだな」
「え?」
ぼーっとしていたエヴァが不意に口を開いた。
今はバンクの奥底から問題の種子が入ったカプセルが取り出されるのを待っている所だ。
加持さんが操作したコンソールの近くに排出口がありそこに目的のカプセルが出てくるはずである。
当然、他にもたくさんの各種保管物資が眠っているのだが、それは松代の住人なりなんなりにあらためて来させればいい。
エヴァはじっと立ったまま視線だけを巡らせる。
「この辺りの大気には力がある。緑があるからだな。大地にも力を感じる」
「力…かい?」
「大切なことなんだぞ?緑のないところには水も何も残らない。だから大地にも大気にもほとんど力がない。完全に枯れてしまうこともある」
「………」
「この世の生きとし生けるすべてのもの…といっても動植物に限るんじゃないぞ?この世のありとあらゆる存在には力がある。だが、それ自体は持っていてもまず使われることはない意味の無い力だ。だから代わりに僕が使ってやるんだ。もちろん少しずつみんなから集めてな。僕が使うことで力は再び還元される。ちゃんと輪になっているんだ。わかるか?…わかんなくていいよこんなこと」
珍しく演説ぶったかと思うと最後で投げやりになるところがこいつらしいというかなんというか。
「いや、わかる。完全じゃないがな。君の力にもちゃんと説明のつくシステムがあるということだな。森羅万象の理とかいう奴かもしれないが、少なくとも無から有を生み出す神様と一緒にいるんじゃないってことはわかった」
「神なんか知らない。エヴァはエヴァだ」
どこか機嫌が悪そうなエヴァと対照的に加持さんは落ち着いていた。
どんな仕組みであれそれがあるのと無いのとでは心構えが違う。
以前に話していた二人分の存在が一人の存在に変わると一人分の存在力が余るという説明も、つまるところ位置エネルギーのようなものに直して考え直したところさほど不思議な話とも思わなくなった。それを行う方法は相変わらず想像すらできないが、立派にエネルギー保存の法則がなりたっているわけね。
ガコン、と音がして目的のカプセルが排出される。
加持さんは持ってきたバックパックにカプセルを入れると背負い直し、外のエヴァのもとに向かう。
「よし、回収した。引き上げ…どうした?」
「………」
エヴァは加持さんの声に反応しない。じっと何かをうかがっているようだ。
「エヴァ?」
その時、加持さんは首筋にちりっとした感覚を感じ、無意識に地面を蹴った。
「何!?」
「!!」
ゴゥッ
突然、加持さんの足元から炎が立ち上った。
火はほんの少しの間で消えた。何も燃えるものが無かったからだろう。
姿勢を変えることなく顔も向けることなくエヴァが問う。
「大丈夫か?」
「そう言いたいところなんだが…あいにくと右脚がしばらく動きそうにない」
「ちっ」
舌打ちするエヴァ。
視界の隅に光が生じるのを捉えた瞬間、大きく跳びすさった加持さんだったけどさすがに躱し切れず右脚に火炎を受けることとなった。服は一瞬たりとも炎を止めることはできず、外装が何個所か破損し内部の配線系統が断絶、一部は完全に消滅している。損害そのものは小さいため時間を置けばじきに修復するだろうがさしあたって右脚の膝から下は当分動かない。
「貴様出てこい!」
加持さんから見て右手の方向をにらむとエヴァが叫んだ。
加持さんは気配すら感じないがおそらくその方向にこれをやった主がいるのだろう。
「?」
加持さんの視界を何かが飛んできた。
それはほとんど視認できない小さなものだ。曇っている今だからこそかろうじて見えているが、晴れていたらまず気づかないだろう。それは…
(火種!?)
ゴゥッ
「なにぃ!」
エヴァの左腕が燃え上がる。
「エヴァ!?」
「あちちち!」
エヴァが腕を一振りすると炎が消える。
即座に治癒したのかガードしたのかはわからないが差し当たって被害は見当たらない。
「…なんだ?」
不思議そうなというよりもむしろ唖然ととした顔をしているエヴァ。
「エヴァ!」
新しい火種を見つけた加持さんが叫ぶ。
「…このっ!」
エヴァが右腕を振る。
エヴァの眼前1mくらいのところで炎が燃え上がった。炎はなにかの表面を走るかのように広がるとすぐに消える。
(エヴァのシールドか?だがさっきの一撃はガードしていなかったのか?)
すでに加持さんがダメージを受けた後だ。そんな油断をしているとは思えない。
(エヴァのガードを破ったということか?…二撃目はエヴァが本気で防御を行った為シールドに阻まれたということか?)
「誰だお前?」
エヴァの声に顔をあげる。
そこに女が立っていた。
(女…か)
もっとも女といっても見るからに華奢な造りだ。全身をぴったりと覆うボディスーツを着ているため体のラインがよくわかるがまだ少女といってもいいだろう。主要な個所はプロテクターが装着されている。長い黒髪はそのままに、目元はバイザーで覆われているが、それでも美人とわかる顔付きだ。だがやはりどこか少女という雰囲気が残っている。人間なら年の頃は15,6、いやもう少し上か…
(人間なら、か)
加持さんは口中に苦いものを感じた。
「…何ですかあなたは?」
少女が口を開く。やや硬い感じもするが概ね外見通りの声をしている。
「僕はエヴァだ」
躊躇無く答えるエヴァ。
「…EVA?」
復唱する少女
「そうエヴァンゲリオンだ」
「………」
「そういうお前は誰だ?だいたい僕が先に質問したんだぞ!」
「………」
少女は答えない。
「礼儀知らずな奴だな!こっちはちゃんと名乗ったぞ!」
「何…あなた…わかりません…理解不能…排除します」
少女は一方的に宣言する。
「ちょっと待てぇ!!」
少女は構わず地面を蹴ると後方へ跳躍しながら両手を胸の前にかざした。
「!!」
少女が手を突き出すと空中に火球が生じた。
火球は明らかにエヴァを狙って空中を走った。
「このっ!」
エヴァがかざした手の前で火球が弾ける。
ぶおっ
顔をあぶる熱風に顔をしかめる加持さん。
(やはり完全には防ぎきれていないな…)
何かが焦げるような匂いに加持さんは顔をあげる。
「…おい」
「………」
エヴァの髪が微かに…ほんの数ミリだが、焦げて白くなっていた。
「…加持」
「なんだ?」
「やっぱりやめた」
「は?」
「お前なんか知らない」
「なにを…!」
駆け出したエヴァを見て瞬時にエヴァの意図を悟る加持さん。
「待てエヴァ!」
「やかましい!動けないサイボーグなんて足手まといなんだよ!!」
少女もまた加持さんを無視してエヴァに合わせるように走る。
(あいつ!)
エヴァは二人分のガードに力を割いては防御しきれないと判断し加持さんから離れることにしたのだろう。
「このっ!」
「!!」
エヴァが腕を横なぎに振るう。
ガォン!
次の瞬間、衝撃音と同時に少女がよろめいた。だが少女は態勢を立て直すとそのまま走り続ける。
「!?」
(ガードされた、のか?)
おそらくエヴァがなんらかの攻撃を放ち、それが少女のシールドなりなんなりで弾かれたのだろうと推測する加持さん。
双方の力は今見ただけでは互角のようだ。
「くそっ」
かなりの速度で遠ざかっていく二人を見送りながら加持さんは舌打ちした。
少女…キリエは途方に暮れていた。
今までと同じ単なる実地試験のはずだった。
けれど目標の集落へ向かう途中で近隣の中継ステーションから緊急信号が出されたのである。
(なぜこんな時に!)
だが信号の優先度は現状でもっとも高いものだった。
キリエが到着したのは緊急信号が途切れてからしばらく後。
だが、そこには敵の大部隊などは存在せず、たった二人の人間がいるだけだった。だが…
ガゥン!!
自分のシールドを揺さぶる衝撃に耐えるキリエ。
攻撃は防いだ。ダメージはない。
反撃のために念を集める。
指先で数個の原子を弾くと標的に向かって放つ。
ゴォォォォ!!
標的を火炎が包み込むが、すぐにその中から標的が現れる。
効果確認。確実にダメージを与えている。
しかし、標的からの敵意に衰えはない。
ガァン!!
再びシールドを衝撃波が揺るがした。
(いったい…いったいなんなの!?あの少年“エヴァ”は!?)
予告
転んだとき人はいろいろな反応を示す
怒鳴り散らすもの、恥ずかしくてごまかすもの、気にせずさっさと起き上がるもの
だが、それは転ぶ事に慣れているものの反応だ
初めて転んだときどうしたか、あなたは覚えている?
エヴァンゲリオン幻戦記 NEXT STAGE
ま、アタシも人のことは言えないわね