「ごめんね、ちょっちうれしかったんで泣いちゃった」

「葛城

「ミサトさん

「あ、だいじょーぶよ」

にっこり笑うミサト。

「でもミサトさん、一つ条件があります」

「何?部屋が狭かったら駄目?シンちゃんも大きくなったもんね〜。一応シンジくんの部屋は出ていった時のままにしてあるんだけど

………

僕の部屋。出ていったときのままそうかいつでも僕が帰ってこれるようにしておいてくれたんだ)

「どうしたシンジくん」

「いえ、ミサトさんと同じように泣きそうなっちゃって。やっぱり僕は弱虫ですね」

「泣きたいときには泣けばいいさ。それができるってのは素晴らしいことさ」

「はい。ミサトさんありがとうございます。でも、そうじゃないんです。おわかりかも知れませんがアスカのことです」

「そう」

やっぱりね〜さぁどうくるかな?)

「ぼ、僕はその………

言いかけて口ごもる。

二人は温かく次の言葉を待った、というわけもなくそら言え早く言えとミサトが何やらオーラを発している。

それがわかるためシンジの顔は真っ赤になる。

「僕はアスカのことがす好きです」

「えらい!よく言った!」

ミサトはシンジの首に腕を回して引き寄せた。そのまま首をぐいぐい絞める。

シンジも逆らわない。もっとも顔は真っ赤のままだが。

「僕はアスカを幸せにしたい、アスカの幸せを守りたい。そう思っています」

「うんうん

だけど」

「だけど?」

少し暗くなったシンジの顔をミサトはのぞきこんで促す。

「アスカに嫌われていたら、遠くからアスカを見守ろうと思っています。それがアスカのためだと思うから」

何かを振り切るようにシンジは言った。

ミサトは眉間にしわをよせて加持を見た。加持はミサトを見て顎をしゃくった。

そうね。これはあたしの役目ね)

シンジの方に向き直るミサト。

そうね、その方がいいかもね。

 でも、シンちゃんあいっかわらず女心がわかってないわね〜」

「は?」

「つ・ま・り、そういう心配は無用という事よ!大体アスカがシンちゃんの事嫌いなわけ無いじゃない。好きでもない男と同棲できる?ね〜?」

加持の方に話を振る。

「ね〜といわれても困るがま、そうだな」

「ど、同棲って、ミサトさんと3人での同居でしょ?」

「あーに言ってんだか、今と違って昔の私は夜遅いし帰らないときも多かったしその間はふたりっきりでしょ〜。完璧に同棲じゃない。なーんにもなかったの?」

「何ってなんですか!?」

思い切り動揺しているシンジ。

「あら、何か身に覚えがあるのかな〜ま・さ・か」

「何もないですったら!」

「おねーさんに隠し事はだめよ〜」

「まあまあ葛城。その辺にしておけ。楽しみは後に取っておこうじゃないか」

「そうね。話を戻すけどシンちゃん、ほんっとうにアスカの気持ちわからないわけ?」

「?はい」

正直に答えるシンジ。

「あっちゃーシンちゃんはやっぱりシンちゃんなのね〜。ま、そこがまたいいんだけど。

 いい?よーく聞いてね。シンちゃんがアメリカに留学表向きね、した後アスカがどうなったかわかる?」

少し考えたがわからないシンジ。

いいえ」

「三日三晩泣き続けたのよ」

「え!?」

「ほほう、それはそれは」

「『引き留めたかったのに、そばにいて欲しかったのに、引き留められなかった』ってね。

 あのアスカがよ。それからも何度も夜泣いているのを聞いたわ」

「美しい女性に泣いてもらえるとはお互い男冥利に尽きるなシンジくん」

シンジは真っ赤で答えられる状態にない。

「というわけでぜんぜんオーケーよ。家の中でもしっかりアスカをガードしてね。

 あ、ベッドの中は私が留守の時にしてね」

「ミ、ミサトさん!!」

「だいじょーぶよ。アスカもう16になってるし保護者のあたしも認めるし、碇司令やリツコもたぶん反対しないし、当然アスカ本人はいつでもOKよ」

「おいおいそういじめるなよ。シンジくんが鼻血出して倒れるぞ」

「あら、本当、ティッシュ、ティッシュ」

「シンジくん血を流すのには慣れていたと思ったが

「二人ともいい加減にして下さい!!」

堪りかねたシンジが叫んだ。そして、同時に、

 

 

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