【新世界エヴァンゲリオン】

 

 

 

 

<翌朝 通学路>

 

 

ヒカリは昨日に引き続いて自分より早く来ていたアスカを見て驚いた。

「おっはよ〜ヒッカリー!」

満面に笑みを浮かべるアスカ。

並の男ならこれだけでイチコロだろう。

「ど、どうしたの?やけに機嫌がいいわね」

「別にぃ気のせいでしょ?」

そう言ってさっさと歩き出すアスカ。

今にもスキップを始めそうだ。

慌ててヒカリも追いかける。

「今日もミサト先生呼び出されたの?」

「そんなことないわ。たぶんもう学校よ」

遅刻常習犯のミサト先生が)

「雪でも降らなきゃいいけど

ヒカリは天を仰ぐ。相変わらず強い陽光が注いでいた。

 

 

<昇降口>

 

「おっす委員長!惣流!」

妙に気合いの入った挨拶をするトウジ。

「お、おはよう鈴原。相田君」

「おはよ委員長、惣流」

「おっはよ。相っ変わらずバカ面ねー」

言っていることは相変わらずだが口調は楽しげでありかつ笑顔のアスカ。

すかさずケンスケがカメラを取り出す。

「何や朝っぱらからひどいで惣流」

答えるトウジも笑顔である。

「事実でしょーが」

笑顔の二人を前に言うべき事のないヒカリ。

「鈴原も妙に機嫌がいいわね」

「あ、惣流もか?なんかトウジの奴、妙にうきうきしてるんだ」

「なにかいいことでもあったのかしら?」

そこへマナとマユミが現れる。

「あ、おはよみんな」

「おはようございます」

「おはよマナ、マユミ!」

バックに花でも咲きそうな笑顔におもわず固まるマナとマユミ。

いつもの如く下駄箱からこぼれ落ちるラブレターなど眼中になく意気揚々と教室に向かうアスカ。

「なにかあったんですか?」

「そうね。いつもなら『ほんっとうに男ってどうしてこうバカばっかなのかしら!』って踏んづけてくのに

 

 

<2−A教室>

 

ホームルームまでの間、級友達はあれこれと二人が機嫌のいい理由を話し合っていた。

本人に聞けばすむことなのだが

「何があったの?」

「な、何って

直球勝負のマナの質問に対し、顔を真っ赤にするアスカ。

『!?』

見慣れぬものに後ずさる一同。

これ以上聞くとやばいかもしんない、というかあまり関わらない方がいいかも

一同の見解は一致していた。

必然的にマナ達の追求はよりくみやすい相手、すなわちトウジに向かう。

「すーずはーらくーん」

笑顔のマナに思わずひくトウジ。

「な、なんや霧島」

アスカの機嫌のいい理由、知ってるんでしょ?」

「な、なんのことかいな?」

あからさまに動揺するトウジ。

トウジ、お前って本当に嘘がつけない男だな」

「さぁ白状しなさい!!」

「そうよ鈴原、何があったの?」

マナとヒカリに挟まれ逃れようのないトウジ。

「か、堪忍や委員長、霧島。こればっかりはどうしても言えんのや!」

両手を合わせて頭を下げるトウジ。

鈴原」

あまりに必死なトウジに追求を思いとどまるヒカリ。

マナさん」

マユミもマナをとめようとする。

「そうねここまで隠そうとすることだもん。しょうがないか

「マナ

「マナさん

「霧島

収まりかけた場にケンスケが油を注いだ。

でも、ここまで隠そうとされると余計に知りたくなるよね」

「そのとーり!ほら、白状しなさい鈴原!!」

「ケンスケ!この裏切りもーん!」

そのときガラッと扉が開いてミサトが現れた。

「起立!礼!着席!!」

条件反射で号令を掛けるヒカリ。

慌てて席に着く一同。

 

「おっはよー!みんな今日も元気〜?」

『はーい!』

大多数の大多数が返事をする。

「よしよし」

「ミサト先生までご機嫌ね」

「何があったんだかね

ヒカリに答えながらケンスケはミサトの笑顔の撮影に余念がない。

「突然だけど転校生を紹介するわ!!」

『えぇっ!?』

「バカな俺の情報網には引っかかってないぞ!?」

予想外の事態に驚愕するケンスケ。

「ミサト先生、男の子ですか女の子ですかーっ!」

女子が質問する。

「知・り・た・い?」

ミサトがニヤニヤ笑いながら言った。

『知りたいでーす!』

「喜べ女子っ!!男よーっ!!」

男子のブーイングと女子の歓声が響きわたる。

「しかも容姿・性格そろって超一級品よ!」

女子の黄色い歓声が上がる。

「さぁいいわよ!入ってきて!!」

 

まったくミサトさんは先生になってもミサトさんなんだな)

そう思いながら教室に入るシンジ。

ふっと静まり返る教室。

一度立ち止まったシンジが微笑んだ。

刹那、女子達から歓声が上がった。

一転して騒々しくなる教室。

シンジは教室を見渡してアスカを捜した。

窓際で自分を見つめるアスカを見つける。視線が合うと赤くなってうつむくアスカ。

次にトウジを見る。腕を組んでうなずくトウジ。シンジもうなづいて返す。

その近くにはケンスケ、ヒカリ、そしてマナ、マユミがいた。4人は唖然として言うべき言葉がないらしい。

ミサトを振り返ると手招きしていたので教壇にあがる。

「静まれ静まれ!とりあえず転校生に自己紹介をしてもらうわよ」

シンジは黒板に名前を書くと生徒達に自己紹介をした。

「初めまして、碇シンジです」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

【第四話】

【平穏、衝撃、のち平穏】