【新世界エヴァンゲリオン】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<リツコの研究室>

 

 

「修学旅行?」

ミサトの言った単語にリツコは手を止めてモニターから目を離した。

「そっ」

今日も今日とてコーヒーを飲みにやってきたミサト。
 

「中学の時は待機で行けなかったでしょ?せめて高校の修学旅行くらいは行かせてあげたいな〜って思ってね」

「気持ちはわかるけど司令や副司令が許可するかしら?パイロットが4人ともいなくなるのよ」

「だからリツコに頼んでんじゃない。碇司令がうんといえばどうにでもなるでしょ?」

「呆れた公私混同ね」

「だってさぁ、放っておいたら、

 

 シンジ『僕が残るからみんなは気にせず行っておいでよ』

 アスカ『シンジが行かないなら私行かない!!』

 カヲル『僕がシンジ君を置いて行ったりするわけないでしょう?』

 トウジ『中学の時はシンジ達のおかげで行けたんや。今度はわいの番や』

 

 てなるのは目に見えてるでしょ。

 第一、昔と違っていきなり使徒が攻めてくる心配もないし。

 ま、本当ならレイも連れてってあげたいけど

そういってレイを見る。

研究室の一角に設けられた専用のベッドですやすやとお昼寝の真っ最中だ。

なお、この時間帯にこの周辺で騒ぐ者がいたら速やかに排除される。

「さすがに無理ね。シンジくんに子守をさせるわけにはいかないし、私まで行かないといけなくなるじゃない」

「なんならリツコも行く?」

「家族同伴の修学旅行がどこにあるのよ」

呆れてため息をつくリツコ。

「しょうがないわね、とりあえず話はしてみるわ」

「サンキューリツコ」

両手を合わせるミサト。

「一応、私もシンジくんの母親だしね。今日はシンジくんを借りるわね、その方が確実よ」

 

 

<碇家食卓>

 

というわけなんですけど、如何かしらゲンドウさん?」

リツコがご飯をもったお茶碗を渡しながらゲンドウに言う。

「いいんですよリツコさん。やっぱり誰かが本部に残ってないと」

「でもねシンジくん

「僕が残るよ。そのかわりアスカ達は行ってもいいだろ父さん?」

予想通りの提案をするシンジ。

本当にこの子は

「シンジくん、気持ちは

「シンジ」

突如、ゲンドウが口を開いた。

「何、父さん?」

「お前は行きたいのか?」

「それは

「行きたいのかと聞いている」

久しぶりにプレッシャーを感じる物言いに気圧されるシンジ。

う、うん。行きたい」

仕方なく素直に答えるシンジ。

「ならば後のことは気にせず行って来い。むろん、4人全員でだ」

「ゲンドウさん

わかったよ。ありがとう父さん」

………

ゲンドウは無言で食事を始めた。

「あら、照れてるのゲンドウさん?」

ゲンドウは茶碗をもったまま後ろ向きになる。

シンジはそんなゲンドウの背中にもう一度礼を言った。

 

 

 

支度