「私が何を願うか?」

そういってアスカは腕を組んだ。

「そうねぇ

脳裏に少年の笑顔が浮かぶ。

「考えるだけ無駄ね。私の願いはシンジがずっとそばにいて私を一人にしないこと、決まってるじゃない」

………

「何よ、言ったわよ?」

無言のレイに不安になるアスカ。

でもこいつがしゃべらないのはいつものことか

そう。あなたはそう願うの』

「そんなのはじめからわかってるでしょ?」

『いいえ。わからないわ』

「何でよ?」

『あなたの口から聞くまでは、それは私の推測にすぎない』

ま、それはそうかもしれないけどさ」

いちいち当たり前の事を言う奴ね〜

『あなたの願いはわかったわ。でも、それは碇くんの願いなの?』

「え?」

『あなたは碇くんにそばにいて欲しい。そして今は碇くんが側にいる。でも、碇くんはいつまでもあなたのそばにいてくれるの?』

「い、いてくれるわよ」

『どうしてそう言えるの』

「あ、あいつがいったからよ。アタシのそばにいたいって」

『それは本心なのかしら』

「本心に決まってるじゃない!!」

『どうして』

「だって、だって!」

『あなたは碇くんの側にいるために何かした?』

………

『碇くんのためになにかしてあげた?』

………

料理、掃除、洗濯。そんなことはみんな昔あいつがしてくれたこと。あいつは馬鹿だから何の打算もなくやってくれてた。

『それで本当に碇くんがそばにいてくれると思うの?』

「うるさい! うるさい! うるさい! 何でそんなこと言うのよ!! アタシはあいつが好きであいつはアタシの事が好きで

『本当に?』

「!?」

アスカは膝をつき自分の体を抱きしめた。

ふるえが止まらない。

あいつはアタシが好き。あいつはアタシのそばにいてくれる。アタシを一人にしない

でも、本当に?

忘れていた震え

一人のさみしさ

独りの恐怖

 
 
 
 
 

『本当のことは誰にもわからない。そう、碇くんにも
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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