レイは微笑んだ。

それはシンジにしか見せたことの無い笑顔。

アスカはなぜか心が安らぐのを感じた。

ファースト?」

『そう、忘れないで』

………

『あなたにこの世界を見せたのは思い出してもらうため。

 サードインパクトの時の事を全部覚えているのは碇くんだけ。

 他の人はぼんやりとしか覚えていない。

 だけど、あなたにも思い出して欲しかった』

あなたと、そして碇くんのために

「ファーストあんた」

『夢から覚めたらあなたが覚えているかどうか私にもわからない。でも

馬鹿ね。私は惣流アスカラングレーよ。覚えてるに決まっているでしょ」

レイを遮ってアスカが言った。

ありがとう』

あんたに礼を言われるとどうも背中がかゆいわね」

本当に背中をかくアスカ。

そろそろ起きる時間よ。

 忘れないで碇くんを信じるということを。

 そして碇くんもあなたを信じているということを

「ちょっと待ちなさい!一つ忘れてるわよ、レイ」

アスカがレイをレイと呼んだ。

?』

「アタシはあんたのことも信じてるし、あんたもアタシのことを信じてる。そうでしょ?」

レイは一層幸せそうに微笑んだ。

「ま、シンジがあんたをどう考えてるかは本人に聞いてちょうだい」

ありがとうアスカ』

レイもアスカをアスカと呼んだ。

ふん」

照れ隠しに鼻を鳴らすアスカ。

もう一つ、いずれあなたと碇くんに危険が迫るわ』

「だからわざわざ出張してきたわけ?余計な心配よ。アタシとシンジなら何があっても大丈夫に決まってるでしょ!」

胸を張りあふれんばかりの自信をもって答えるアスカ。

そうね』

「そうよ」

二人は顔を見合わせるとクスリと笑った。

 
 
 
 

アスカは急に眠くなってきた。徹夜続きで緊張が解けた途端に眠くなったような感じだ。

「ふふぁ。夢の中で眠くなるなんて変な話ね

『眠ったら夢を見るのだから、夢の中で眠れば起きるのは自然でしょう?』

「そう、かな? ま、いいわ。眠たいから寝る、わ

そういうと目を閉じる。

………

「暖かい

シンジがそばにいるときとは別の暖かさだ。

弐号機に乗ってママに抱かれたときのような。

レイ綾波レイリリス全ての母

『さ

さよなら、と言いかけたレイは言い直した。

『じゃ、また。アスカ

「またねレイ

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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