レイは微笑んだ。

それはシンジにしか見せたことの無い笑顔。

アスカはなぜか心が安らぐのを感じた。

「…ファースト?」

『そう、忘れないで』

「………」

『あなたにこの世界を見せたのは思い出してもらうため。

 サードインパクトの時の事を全部覚えているのは碇くんだけ。

 他の人はぼんやりとしか覚えていない。

 だけど、あなたにも思い出して欲しかった』

…あなたと、そして碇くんのために

「ファースト…あんた」

『夢から覚めたらあなたが覚えているかどうか私にもわからない。でも…』

「…馬鹿ね。私は惣流アスカラングレーよ。覚えてるに決まっているでしょ」

レイを遮ってアスカが言った。

『…ありがとう』

「…あんたに礼を言われるとどうも背中がかゆいわね」

本当に背中をかくアスカ。

『…そろそろ起きる時間よ。

 忘れないで碇くんを信じるということを。

 そして碇くんもあなたを信じているということを…』

「ちょっと待ちなさい! …一つ忘れてるわよ、レイ」

アスカがレイをレイと呼んだ。

『…?』

「アタシはあんたのことも信じてるし、あんたもアタシのことを信じてる。そうでしょ?」

『…』

レイは一層幸せそうに微笑んだ。

「ま、シンジがあんたをどう考えてるかは本人に聞いてちょうだい」

『…ありがとうアスカ』

レイもアスカをアスカと呼んだ。

「…ふん」

照れ隠しに鼻を鳴らすアスカ。

『…もう一つ、いずれあなたと碇くんに危険が迫るわ』

「だからわざわざ出張してきたわけ?余計な心配よ。アタシとシンジなら何があっても大丈夫に決まってるでしょ!」

胸を張りあふれんばかりの自信をもって答えるアスカ。

『…そうね』

「そうよ」

二人は顔を見合わせるとクスリと笑った。

 
 
 
 

アスカは急に眠くなってきた。徹夜続きで緊張が解けた途端に眠くなったような感じだ。

「ふ…ふぁ。夢の中で眠くなるなんて変な話ね…」

『眠ったら夢を見るのだから、夢の中で眠れば起きるのは自然でしょう?』

「そう、かな? ま、いいわ。眠たいから寝る、わ…」

そういうと目を閉じる。

『………』

「暖かい…」

シンジがそばにいるときとは別の暖かさだ。

弐号機に乗ってママに抱かれたときのような。

レイ…綾波レイ…リリス…全ての母…

『さ…』

さよなら、と言いかけたレイは言い直した。

『じゃ、また。アスカ…』

「またねレイ…」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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